「ああ、この子は、見た目より若いのだよ。妻はまだいない。そういう子でないと、ギルビア公爵邸から離しておくのは無理なのだそうだ」
レアンドラは手を伸ばして、柵ごしにユニコーンの鼻づらをなでた。
「モードレッドには、もうしばらくわたくしのもとにいてほしいと思っている。飼育が無理とわかれば、返すのはしかたないけれど」
「わたしだって、返さずにとどめておけるものなら、そうしていたよ」
ほれぼれとユニコーンをながめて、ユーシスは言った。
「だが、ユニコーンは他のけものと相容れないし、竜と同様に南方の生き物だ。そう思ってあきらめたが、このアッシャートンなら飼えるかもしれないね」
笑顔を見せてレアンドラはたずねた。
「また乗ってみたい? 竜騎士どの」
「竜退治は、一度でたくさんだけどね」
ユーシスは答え、レアンドラはうなずいた。
「それはわかる。ユニコーンは、これほど見かけを変えても竜の一種なのだ。乗った者にしか、そのことが真実わからないけれど、ユニコーンを愛せる者は、竜を愛することもできるのかもしれないね」
アデイルは、雌馬のテトラが急に恋しくなった。アデイルも、テトラを牙套價錢東の砂漠へ返してしまった。もう一度テトラにニンジンを食べさせたかったし、その背中がなつかしかったが、ランスロットと名のついた翡翠《ひすい》色のユニコーンにそう感じたことは一度もなかった。
ここにいるスミレ色のユニコーンも同じだ。角の怖さは克服できても、馬より大きく裂ける口、あぎとにびっしり並ぶ尖った歯、悪食と言っていい餌を好む生き物には、これっぽっちも親近感がわいてこない。
アデイルを見やって、レアンドラがくすりと笑った。
「どう、アデイル、あなたもモードレッドを手なずけてみる? ユニコーンを従える点では、その腕輪のほうが効率いいかもしれないよ。なんといっても公爵夫人の品だから」
アデイルはかぶりをふった。
レアンドラは手を伸ばして、柵ごしにユニコーンの鼻づらをなでた。
「モードレッドには、もうしばらくわたくしのもとにいてほしいと思っている。飼育が無理とわかれば、返すのはしかたないけれど」
「わたしだって、返さずにとどめておけるものなら、そうしていたよ」
ほれぼれとユニコーンをながめて、ユーシスは言った。
「だが、ユニコーンは他のけものと相容れないし、竜と同様に南方の生き物だ。そう思ってあきらめたが、このアッシャートンなら飼えるかもしれないね」
笑顔を見せてレアンドラはたずねた。
「また乗ってみたい? 竜騎士どの」
「竜退治は、一度でたくさんだけどね」
ユーシスは答え、レアンドラはうなずいた。
「それはわかる。ユニコーンは、これほど見かけを変えても竜の一種なのだ。乗った者にしか、そのことが真実わからないけれど、ユニコーンを愛せる者は、竜を愛することもできるのかもしれないね」
アデイルは、雌馬のテトラが急に恋しくなった。アデイルも、テトラを牙套價錢東の砂漠へ返してしまった。もう一度テトラにニンジンを食べさせたかったし、その背中がなつかしかったが、ランスロットと名のついた翡翠《ひすい》色のユニコーンにそう感じたことは一度もなかった。
ここにいるスミレ色のユニコーンも同じだ。角の怖さは克服できても、馬より大きく裂ける口、あぎとにびっしり並ぶ尖った歯、悪食と言っていい餌を好む生き物には、これっぽっちも親近感がわいてこない。
アデイルを見やって、レアンドラがくすりと笑った。
「どう、アデイル、あなたもモードレッドを手なずけてみる? ユニコーンを従える点では、その腕輪のほうが効率いいかもしれないよ。なんといっても公爵夫人の品だから」
アデイルはかぶりをふった。