2023(R5)年4月16日、胎内市築地にあります真言宗智山派のお寺・惣持寺様にて
先代ご住職・本葬儀の司会を施行してきました。
(本記事については ご遺族の許可を得て撮影・掲載をしています)
海巌山 成就院 惣持寺 中興 第二十八世 権大僧都 若木 快暢 信雄 和尚(わかき かいちょう しんゆう わじょう)
この日は快暢和尚様の誕生日の翌日でした。
午前中に一般焼香を受付。
穏やかな午後、限られたご遺族や檀家役員の皆様、ご寺院の皆様のみで本葬儀が執り行われました。
花環と一般焼香所。
廊下には快暢和尚様と、2週間前に先立たれた奥様・富貴子様の手札写真が水芭蕉とともに飾られていました。
昨年春、桜を背景に「遺影写真を撮ろう」と言って同じ場所で撮影されたのだそうです。
「遺影なだけに、イエーイ!」と言いながらピースサインをしたという快暢和尚様。
穏やかにほほ笑む富貴子夫人。
それぞれご本人らしい、お人柄が偲ばれるとても良いご遺影です。
「来年まで使わなかったら、また桜の季節に撮ればいい」と仰られたそうですが、結局この写真を使うことになりました。
奇しくも、お二人とも同じ月(2022年12月)に ご逝去。
これからの年忌法要も、ずっとご一緒になります。
廊下には現住職のご趣味であるフィギュアがずらり。圧倒されます。
そのフィギュア棚の近くに生花スタンド。もちろん極一部です。
会場の様子。自宅祭壇を組んでいます。
廊下には更に沢山の生花スタンドが並んでいました。
有難いことに司会台一式とマイクもご用意していただきました。
前もって諸々打合せは済ませていましたので、当日はご挨拶と弔電などを含めた最終確認。
ご遺族やご親族、檀家役員の皆様がお集まりになったので司会開始。
ご焼香や携帯電話などの諸注意に加え、事前にお伺いしていた快暢和尚様のご功績などを中心にご紹介します。
学習塾で子供たちを見守る傍ら、位牌堂の建立や表参道の整備、本堂屋根や観音堂などの修理、そして梵鐘復興。
惣持寺歴代住職にはないご功績を残されました。
定刻になると大梵鐘が鳴り響き、総勢12名のお寺様方がご入堂。
荘厳な雰囲気です。
式中の様子。大導師は胎内市乙・乙宝寺ご住職です。
本葬儀前のご挨拶にて「青柳さんであれば安心ですね」と大変有難いお声掛けをいただきました。
そういえば2014(H26)年に施行された乙宝寺大僧正様のご葬儀は、快暢和尚様が大導師をお勤めされていましたね。
焼香の香炭が1箱だけ火が消えてしまっている些細なトラブルはありましたが、
ほか弔辞・弔電、代表ご挨拶、そしてご退堂まで滞りなく終了。
最後に、こちらも予めお伺いしていた快暢和尚様や富貴子夫人についてのエピソードをご紹介。
無事に本葬儀を済ませることができました。
終了後「素晴らしい司会だった」「私、ナレーションを聞いて泣いてしまいました。とても良いご葬儀でした」と
沢山の皆様から温かなお声がけをいただきました。本当に有難うございます。
胎内市乙・地福院様からが差し入れてくださったオリジナルラベルのお酒。
今はこんな注文もできるんですね!
最後に祭壇の写真を正面から。
地福院様から頂戴したお酒も2本飾られていました。
快暢和尚様とのお付き合いは私が葬祭業界に入った2003年からでした。
檀家さん曰く「口やかましかったけど、やるべきことはしっかりやった人」
敢えて人前で「これはどういう意味か分かりますか?」とスタッフに聞いてきたり
お子様が騒がしくしていると「このクソガキ!」なんて仰られて吃驚したこともありました(笑)
私も最初の頃は「違う!これだと○○だから、こうしなさい!」と何度も注意を受けたものです。
でもちゃんと意味があってご教示くださっているのが私には伝わっていたので
素直に「なるほど」「有難うございます」と受けとめて勉強することができました。
そしてある日「今日は良かったよ」と快暢和尚様から初めてお誉めのお言葉を受けたときは本当に嬉しかったです。
沢山のご寺院の皆様に育てていただいて今の私がいますが、快暢和尚様も間違いなくその中の大きな一柱でした。
それから20年近くのお付き合い。
快暢和尚様の晩年は杖から手押し車、そして車いすとなりましたが
和尚様はジョークを言いつつも穏やか。
お会いできたこと、教えてくださったこと、楽しくお話しした時間は今も宝物です。
ご遷化されてからの本葬儀打合せで初めて知ったのですが、
快暢和尚様は私の事を周りに大変誉めて伝え広めてくださっていたのだそうです。
「おめさんのこと、いっつも誉めてたんだで。だから(快暢和尚様の)司会はおめさんがいいねって」
「あの最初のナレーションが好きだって言ってましたね」
そう檀家さんやご遺族から聞いた時、涙が出そうでした。
私の事を気に入ってくださっていたのは存じ上げていましたが、ご本人からはそこまで聞いていなかったので…
宗派は異なりますが…曹洞宗のお経、修証義に『愛語』という言葉があります。
「向かわずして愛語を聞くは 肝に銘じ魂に命ず」
直接ではなく、人を介して優しい言葉・温かい思いがこもった言葉を聞くと、心に深く刻まれる…という意味です。
とても慈悲深く、寛大な『愛語』をいただきました。
「その諭された教えや、やるべきことを皆様と共に成し遂げるそのお姿、
言葉の後ろにある優しさは、これからも道しるべの様に、ずっと灯してくださるはずです。
本当に有難うございました。」
本葬儀の最後に述べたこの言葉は、檀家さんやご家族からの取材からではなく
私自身が快暢和尚様にお送りしたかった餞(はなむけ)でした。
つらい事に押しつぶされそうになったとき、
快暢和尚様や本葬儀で頂戴した温かな『愛語』を思い出して前に進んでいきたいです。
本葬儀の司会をさせていただき、本当に有難うございました。