あぽまに@らんだむ

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ある主従の昼下がり(ベナハク)

2016年11月26日 | うたわれるもの関連






これは「うたわれるもの 二人の白皇」の多大なネタバレが絡んでますので、ご注意下さい。
ハクはハクでもハクトルさんの、ヤマトのハクではありません。これで察して下さい。
一応「×」はあるものの、CP要素はありません。飽くまでも主従です。主従愛です。
それでも大丈夫な方は下へ↓↓↓↓↓スクロールして御覧下さい。凄く短いです。























<ある主従の昼下がり>



筆の走る静かな音と印章を押す音が定期的に聞こえる。
トゥスクルの侍大将であり、執務補佐官でもあるベナウィはその音の先、皇(おうろ)が座する神坐につい目を遣ってしまう。
此処はトゥスクルの皇居内の執務室。
其処は本来、皇を継いだクオンが座するべき場所なのだが、彼女は現在、今はマシロと呼ばれる大神になったハクを追い求め、宛ての無い旅を続けている。
その為、代わりに茶道の趣味が転じて陶芸にまで手を出した隠居の身であるオボロが座する筈なのだが、それでは可哀想だろうと、現世に転生したばかりの懐かしい存在が印章を押しているのだ。
暫く集中して執務を続けていた彼は、自分へ向けられる熱い視線に漸く気付き、暫く躊躇った後、ことりと首を傾げた。

「ベナウィ、どうした。久し振りだからな。何か間違っていたのなら、遠慮せず言ってくれ」

不安そうに問うのは、ベナウィが生涯ただ一人と永遠の忠節を誓った存在、ハクオロ。
ハクがその大神たる高位存在の力を根こそぎ奪っていったお陰で、仮面と永遠の命の呪縛から脱し、ただの男としてこの世に戻って来たのだ。
その相貌にはあの角を拝する白き仮面はもうない。
寿命があるただの人間、ただのハクオロが目の前で、自分を見詰めているのだ。
ハクオロは想像していた通り、美形と言うよりは、温かい、優しい貌をしていた。
封印された時から時が流れていないのか、歳を取っていないようだった。
敬愛する主より遥かに年上になってしまったベナウィは今更ながら目頭が熱くなって来て、堪える為に俯いた。
共に執務を始めて既に幾日か経っているというのに、白昼夢でも見ているのかと何度も確認してしまう自分に更に自嘲する。
無言のまま筆を折れそうなほど握り締めている忠臣に、ハクオロも察したのであろう。困ったように微笑んで見せた。
蒼にさえ見える黒髪がさらりと白い頬に零れる。ベナウィは息を呑んだ。

「自分も、素顔の自分にまだ慣れていないんだ。そんなに見詰めてくれるな」
「そ…それは…、聖上の執務を中断させてしまい、申し訳ございません」
「ほら、また間違える。今の聖上はクオンだろう。自分はただの隠居だぞ」

それでもハクオロはトゥスクル建国の父である。
上皇であるオボロの更に前の皇であるし、現在公務を取り仕切っているのは、実質このハクオロなのだ。
聖上と呼んでも間違いないだろう。
現在の皇、クオンが無期限の不在中なのだから寧ろハクオロが聖上に復位すれば良いのだ。
名前などで呼べないと無言で抗議をするベナウィにハクオロも根負けしたのか、降参とばかりに両手を上げ、小さく笑みを浮かべた。

「分かった、分かった。好きに呼べばいい。娘があんなに立派になるまで育てて貰ったんだ。自分で良ければ幾らでも手伝うさ」

大神ウィツァルネミテアとして封印されていた際、一人で苦しみ、抗い、憎しみと破壊への衝動と闘って来たのはハクオロだと言うのに護られていたのは自分達だと言うのにとベナウィは歯痒くなる。
もう苦しまなくていいのはあなた自身なのだと労いたくなる。それでも愛情深いこの男は小さく首を振るのだろう。

「それに…もう、逃げたりはしない。安心していい。執務からも、お前からも」

頭の回転が速いベナウィが呆然とその言葉を理解するのと、「お父さぁぁん」「おじ様ぁぁ」と彼を愛する娘達が執務室に雪崩れ込んで来るまで、後三分。それは昼下がり。いつもの執務室の風景。



<了>

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直すかもですが、衝動で書きました。
色々間違っているかもですが、すみません。雰囲気でお願いします。
















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