あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

不埒な鳥は囀る(山鳥毛&短刀達)

2020年04月25日 | 刀剣乱舞関係

 

 

これは山鳥毛様と短刀・脇差VS浪人どものSSです。審神者もいます。

アクションらしいアクションも無いですが、言い合いになってます。

読んで頂けるのなら、下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<不埒な鳥は囀る>


「おい、お前!俺の肩にぶつかっておいて、何の挨拶も無しかぁ!」
突然の怒号に審神者、東雲千尋は驚いて振り向いた。
浪人風の男が六人。日中にも関わらず、帯刀しつつ酒瓶担いで道の真ん中を闊歩していた。
その中の取り分け体格の良い目に刀傷のある男が、千尋を見下ろしていた。
此処はとある時代の城下町。時間遡行軍の気配を感じつつも、
歴然とした場所が読めなかった為、審神者として千尋は第一部隊に同行していた。
余り同じ時代に留まって居られない為、道を急いでいたのもある。
しかし、千尋も武道家の端くれ。人にぶつかるという事は先ず有り得ない。
と言うと、これは人が良さそうで尚且つ身形の良い千尋を狙った言い掛かりなのだ。
今回の第一部隊で御付きとして同行していたのが、
見目が少年の短刀や脇差ばかりだったのも、狙われた一因かもしれない。
「ぶつかっては居ないと思いますが、何故あなたに挨拶しなければならないのですか」
「おうおう、言うじゃねぇか。俺は肩を脱臼してしまったのかもしれないのによぉ!」
「それはおかしいですね、一度医者に見せた方がいいかもしれません。さぁ。参りましょう」
人の良さそうな千尋の物言いに、段々背後の短刀達が殺気立って来ている。
少年ながら目をギラ付かせ今にも飛び掛からん勢いを感じて、千尋は冷汗を掻き始める。
千尋の背後の少年達の大人びた気配に、言い掛かりをつけた浪人風の男達は、
妙な違和感を感じつつも、その力量が足りないのか、相手の強さが分からないのだろう。
短刀達が何も言わないのも、更に助長させてしまったのかもしれない。
「皆さん、歴史が変わってしまうかもしれません。殺めてはいけませんよ」
「主。分かっております。こんな輩に我が本体を抜く必要などありません」
「何だ。本体?何言ってやがる」
「抜刀しないと言ってるんだよ。おっさん」
前田藤四郎の物言いに応えるように、後藤藤四郎が顔を傾けながら嘲る。
「何だと。抜刀しないんだな。ならばガキだからって容赦しないぞ」
其処を再度冷静に前田が、窘めるように遮る。
「お前達のような小物。抜刀する必要さえ有りません。それに手加減するのは我々です」
「おい。さっきからガキの癖に舐めた口利きやがって」
買物に一端席を外していた山鳥毛が紙袋に柑橘類を一杯詰めて戻って来た。
観るからに堅気では無い山鳥毛に浪人達六人は騒めき立つ。
しかし、浪人達は六人。山鳥毛以外は皆少年ばかりの剣士達だ。
此処で引けば良かったものの、浪人達はまた判断を誤った。
「小鳥が居るのに、双方とも殺気立って困るな。こんなに野次馬が出て来ているじゃないか」
「山鳥毛さん。良かった。人だかりが出来て困ってました」
「あぁ。目立っていたから、すぐに分かったよ、待たせて済まなかったね。小鳥」
「お・・おい、お前!さっきから、お・・俺を無視して何喋ってやがる!」
「不埒な鳥ども。そんなに囀るな。すぐに終わらせてやる」
「何だと!?」
「私の鳥達、いいね。さぁ優雅に舞え」
その場に野次馬で集まっていた老若男女の町人達は、一瞬風が吹いたかと思った。
しかし、瞬きして土煙が舞った後には、浪人六人が泡を吹いて伸びていて、
相手をしていた少年剣士と迫力のある剣客らしい男はその場から一人もいなくなっていた。
「あれ・・・?あの子達は何処に行ったんだ」
「不思議な髪をした男も頬に入れ墨をした男もいなくなってるよ」
町人達は周囲を注意深く探ったが、七人程いた少年達は、見付かる事は無かった。


「ふぅ。どうなる事かと思いました。・・・はい。歴史には影響ありません。大丈夫です」
別行動を取っていたこんのすけが合流し、歴史が変わってしまったか確認してくれた。
千尋はだいぶ遠くに移動した後、六人に深々と礼をした。
「僕の不注意で、難癖付けられてしまって、皆さんにご迷惑を掛けてしまいました。
今後は気を付けます。本当にごめんなさい。
でも、お陰様で時間遡行軍の出没する場所が特定出来ました。此処です」
千尋は、こんのすけに地図を出して貰い、とある城の近くの武家屋敷を示す。
「後は山鳥毛さん。お願いします。僕はそろそろこの時代に留まる限界のようです。
皆さん。今回はとんだ事態が起こりましたが、全力で護って下さって有難うございました」
「主を護るのは当たり前じゃん。気にしないで」
「主の為なら、あんな事、何でも無いから」
「僕、心配だったから、つい。出しゃばってごめんなさい」
鯰尾藤四郎と不動行光、小夜左文字が困った顔をして審神者に詰め寄る。
今回の事で、自分の主が存外、絡まれ易い事に気付いたようだった。
自分は存在感が無いと思い込んでいるようだが、紫掛かった煤竹色の髪に金と天色の瞳は、
どうしても悪目立ちしてしまうのだ。
その極めて異質な風貌は、人を惹き付けて止まないのだが、全然本人は自覚していないのだ。
「小鳥、任されたよ。安心して本丸に戻るがいい。あと、私が帰ったらお説教だからね」
「え。ええぇえ」
何で僕がお説教とぼやきながら千尋はゲートを開け、本丸へと戻って行った。
残されたこんのすけと六人の刀剣男士達は、お互い顔を見合わせると苦笑いした。


<了>

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全て山鳥毛さまに「不埒な鳥ども、囀るな」と言わせたかっただけのSSです。

 

 

 


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