あぽまに@らんだむ

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煤竹色の髪を漆の櫛で(審神者&蜻蛉切)

2020年04月24日 | 刀剣乱舞関係

 

これは、審神者、東雲千尋(しののめちひろ)と蜻蛉切のSSです。

腐的表現有りですので、閲覧には充分注意して下さい。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<煤竹色の髪を漆の櫛で>


ある春の日の早朝。
障子の向こうに大きな人影が気配を纏って正座しているのに、審神者はふと気付いた。
此処は、とある本丸の審神者、東雲千尋の部屋の前。
既にベッドから起き出していた千尋は、寝巻のままベッドに座って着替えを始めた。
「おはようございます、蜻蛉切さん。起きてますので入って下さい」
身支度をしたまま千尋がそう言うと、音もなく障子が開いて大きな体躯が敷居を潜った。
其処には内番姿の蜻蛉切が控えており、審神者の寝所に続く執務室へ入って来たのだ。
「主。おはようございます。身支度のお手伝いは必要でしょうか」
「はい、後ろを整えるのを手伝って下さい」
二人で姿鏡の前で正装に着替えると、鏡台の前に千尋が座り、漆の櫛で髪を梳いていく。
「主、宜しければ私が主の御髪を整えましょうか」
「え。いいのですか」
「勿論です。近侍として主の身支度のお手伝いをするのは当然の事です」
「それでは、お言葉に甘えちゃおうかな。僕、人に髪の毛を結って貰うの、初めてなんです」
「主には、ご姉妹が沢山いらっしゃるのにですか」
「はい。妹達の髪をお結ってあげるばかりでした。
姉は余りそういう事には無頓着な人だったんで、自然と自分で結ぶようになったんです」
千尋は幼くして両親を失った妹達の母代わりとして、身支度や衣類、全ての事に気を配った。
特に妹達は千尋に甘え、髪の毛を結んで、着て行く洋服を選んでなど困った注文ばかりした。
手先は器用だとしても、無骨だった千尋は、懸命に調べ観よう見真似で対応してやったのだ。
そんな事ばかりしていた千尋は、自分の事には無頓着で髪の毛も伸ばしたままだった。
「切っても構わなかったのですが、この髪の色は現世では変わっていたので、
美容院などで奇異の目で見られるのに耐えられなかったのも有ります」
「こんなに綺麗な色の御髪をでしょうか」
「蜻蛉切さんや他の刀剣男士達も綺麗な色の髪をして居ますが、
現世では地毛が皆決まった色の人以外、珍しいと思われるんですよ」
紫掛かった煤竹色の髪。
現世では染めていると言えば簡単だっただろう。
しかし、眉毛や睫毛まで同じ濃い目の色だと、歳を取る毎に訝しまれるようになっていった。
兄や姉の存在や、学校側の理解もあり、学校生活では支障は無かったが、
同じ学生同士、「特別待遇」や「家族の七光り」等、陰口を叩く輩も居り、
千尋は次第に実家の道場での友人や家族以外、心を許せる友人を持てなくなっていった。
「だから、髪を人に結って貰うのは、初めてなんですよ」
理由を聴きながら、蜻蛉切は大きな掌で器用に千尋の髪を結い終える。
「自分は顕現した時に既にこの長さだったのですが、自然と結えるようになってました。
不思議なものですな。思えば、元の主やその環境で観ていたのかもしれません」
「そうですね。蜻蛉切さんも結ってますよね。顕現かぁ。皆そうなのかな。
元の主さんの処で、見聞きしたのも経験として残っているんですね。きっと」
「はい」
「だから、主も此処で近侍になる刀剣男士にこれからも、結って貰うといいです。
この私が結えるのですから、女子力とやらが高そうな乱殿や次郎殿は喜んで結うと思います」
「ふふ。そうだね。頼もうかな」
「はい」
「でも、出来れば、僕は蜻蛉切さんに結って欲しいです」
「はい。それも分かって居りますよ」
お互いに鏡越しでふふと笑うと二人は連れ立って食堂へ向かう。
それはある春の日の早朝のこと。中庭には中紅色のつつじが綺麗に咲き誇っていた。

<了>

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もうこの二人付き合っていいと思う。

相変わらずオチなんて有りません!

 

 

 

 


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