あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

付喪神に恋する者(審神者&蜻蛉切)

2020年07月12日 | 刀剣乱舞関係

 

 

 

これは、審神者、東雲千尋(しののめちひろ)と蜻蛉切のお話です。

以前書いた「弟は嫁にやりません!」とちょっと繋がっているので、

もし宜しければ合わせてご覧下さい。内容は会話形式で凄く短いです。

腐的要素が有りますので、閲覧には充分注意して下さい。

大丈夫な方のみ、下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

<付喪神に恋する者>


夏も近付き、看護師の仕事のパートに出始めた一真の嫁、小鳥の手伝いで、
千尋はまだ実家に居る家族の為に食事の作り置きをしに東雲家に帰省していた。
近侍はいつもの蜻蛉切である。
周囲を警戒し、今は千尋の屋敷の見回りに出ている。
一通り食事を作り、一真に説明しながらタッパーに詰め、冷蔵庫や冷凍庫に入れていく。
そんな中、いつものお説教が始まるのだ。
「千尋、誰か愛する人はいないのか。一生を共に出来るそういう相手、居ないのか」
冷蔵庫にタッパーを入れながら千尋は暫く無言で居た。
ある人の影が脳裏に過ぎる。でも、答えは否だった。
「・・・いないよ」
「あの刀達は駄目だぞ」
「うん」
「お前はあの付喪神様達を置いて逝ってしまう。傷付けてしまうだけだ。
だから、人間の愛する人を見付けるんだ」
そう、千尋は審神者。
刀剣男士と呼ばれる、刀の付喪神達を率い、時間遡行軍と闘っているのだ。
審神者は人の中から選ばれる。
でも、刀剣男士達は刀の付喪神、刀が折れない限り、永遠に生き続ける。
「彼等も分かっているんだ。僕が老い、やがて彼等を置いて逝ってしまう事を。
僕も分かってる。彼等を残して逝ってしまう事を。それでも」
「千尋」
「それでも、僕は恋し続けるんだと思う。愛しく、想うんだと思う」
脳裏に浮かんだ影がやがて振り向き、優しい橙が細められる。
長い赤紫の髪が靡き、大きな体躯が腕を伸ばしてくる。
「お前はそれで幸せなのか。一生報われないんだぞ」
「うん」
「俺はそんなお前を観ている事しか出来ないのか」
「うん、ごめん」
冷蔵庫にタッパーを入れ終わり、千尋は振り向くと申し訳無さそうにまた謝った。
しかし、ぱっと表情を変えると、ふと思い出したように人差し指を上げた。
「あ。そうだ。ふみ兄の方が心配じゃない。夏蜜(なつみ)ちゃんとはどうなの」
「あいつ等も籍は入れないだろうな」
「え~」
「夏蜜も世界を目指す武闘家だ。二海もそれを支えるのに生き甲斐を感じてるしな」
「それでいいのかな」
「論点を摺り変えるな。今はお前の心配をしているんだぞ」
「うん、ごめん」
「謝ってばかりいるな。俺がお前を苛めてるみたいじゃないか」
其処へ末っ子で俳優の卵、京伍(けいご)が帰宅した。
京伍はすらりとした長身で、色素の無い金のような薄茶の髪と瞳の青年だ。
今売れっ子の俳優だけあって千尋と違った浮世離れしたイケメンである。
「ちぃ兄。蜻蛉ちゃん、門に来てるよ」
「京伍、お帰り。じゃあ、そろそろ時間かな」
「只今、ちぃ兄。かず兄、ちぃ兄を苛めないでよね。また蜻蛉ちゃんとの事だろ」
「な、千尋、皆お前の味方なんだ。ズルいよな」
「蜻蛉ちゃん、優しくて大きくて包容力有って誠実で、何が駄目なのさ」
「彼が・・・」
「「彼が・・・?」」
言い辛そうに一真が言い淀む。もごもごと雄々しい一真らしくない。
そう、一真は蜻蛉切に似ているのだ。
千尋もブラコンなのは自覚していて、一真のように包容力のある蜻蛉切に惹かれたのだ。
やがて一真が意を決して怒鳴るように口を開いた。
「彼が可哀想だろう。お前は彼を置いて逝ってしまうんだぞ」
「それって、認めてるのと何が違うのさ」
京伍が冷めた視線で、仕方無いなと言いながら突っ込む。
「かず兄・・・本当なの」
「だっ・・・駄目だぞ千尋。俺はまだ認めて無いんだからな」
必死に言い訳している間に玄関で雄々しい声が聴こえる。噂をすれば影だ。
「主殿。お時間です。蜻蛉切、只今参上致しました」
「うん、お迎え、有難う。蜻蛉」
「何のお話をされていたのですかな」
「ふふ、内緒。かず兄が恥ずか死ぬからね」
「こら!千尋!まだ話は終わってないぞ!」
千尋はエプロンを外しながら小鳥が用意していてくれたお土産の袋を抱え、
玄関まで飛び出して来る。
「蜻蛉‼受け止めて‼」
「はい。この蜻蛉切。主殿の全てを受け止めましょうぞ」
「その意味深な言い方!蜻蛉切!さては聴いてたな!」
「あれだけ大声で叫んで居ては自然と聴こえてしまうものですぞ。一真殿」
「蜻蛉切!俺はまだ許して無いからな!」
「はい、何度でもこの蜻蛉切、参上致します。この刃が欠けようとも」
夏も近いこの日。まだ梅雨は明けて居なかったが、二人の心は晴れやかだった。


<了>

-------------------------------------------------------------------------------------

二海と夏蜜ちゃんは事実婚って奴で、お互い拘る感じじゃないさっぱり夫婦です。
蜻蛉切と千尋、出来上がりました。夫婦感、出てますでしょうか。
告白の時はまたお話が降って来ましたら、是非。

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« なかなか梅雨が明けませんね。 | トップ | 審神者:東雲千尋の設定(俺... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

刀剣乱舞関係」カテゴリの最新記事