あぽまに@らんだむ

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いえないことのは(審神者&平野)

2020年04月15日 | 刀剣乱舞関係

 

 

 

審神者、東雲千尋と平野藤四郎の会話形式のSSです。

とても短いSSですので、それでも宜しければ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<いえないことのは>


今日の演練も終わり、千尋には大きく溜息を吐いた。
相手の審神者は可愛い十代の女の子で、先程闘った本丸の審神者は美しい女性だった。
何で自分だけ男で、然も三十代のおっさんの審神者なのだろうか。
これで何度目かの自問になるが、問わずには居られない。何故自分なのだろうか。
可愛い女の子や美しい女性が審神者の方が、本丸の刀剣男士達の指揮も上がるだろうに。
「どうしたんです、主様。何か悩みごとでしょうか」
鎧に付いた泥を払いながら、平野藤四郎が近付いて来た。
今日の第一部隊は、近侍に歌仙兼定、副部隊長に鯰尾藤四郎。
それに平野藤四郎、小夜左文字、博多藤四郎、不動行光。
この本丸の中の、極部隊でも一番レベルの高い刀剣男士ばかりである。
演練相手に失礼のないよう、第一線で闘う刀剣男士を出すのが千尋の策で在った。
それにしてもである。
「悩みごとでは無く、単純な疑問なんだけどね」
「はい」
「何で僕だけ男で、三十代のおじさんなんだろうって思ってね」
「はい」
「はいって・・・平野くんは嫌じゃないのかい」
千尋はきょとんと見返してくるおかっぱ頭の少年の背格好をした付喪神、刀剣男士に聴いた。
平野はおかしそうにふふと笑うと審神者で主である千尋にこう返した。
「僕の主様は最初から東雲千尋、あなた様だけです。何の疑問もありません」
「おかしいとは思わないのかい」
「おかしいどころか、僕は主様があなた様で嬉しく思っています」
千尋は健気な平野に目尻に涙を滲ませ、口角を上げ微笑んだ。
何故かずっと言えないでいた悩みから救われたような気がしたからだ。
「有難う、平野くん。君がそう言ってくれただけで、僕は報われた気がするよ。
こうやっていつまでもくよくよと悩んでいては、駄目だね。
君達本丸の刀剣男士達に胸を張って貰えるような審神者にならなきゃね」
「はい。あ、そう言えば逆に他の本丸の審神者様に謂われた事が有ります」
「え。何をかい」
「あなたの本丸の審神者様は素敵なオジ様ねって」
「えぇぇぇぇ」
大きな声を出して千尋は目を大きく開いて吃驚している。
平野は胸を張って、えっへんと言い、そして声高らかに笑った。
「主様、何でも言って下さい。あなた様のお役に立つ事が僕達、刀剣男士の喜びなんです。
鬼を狩り、時間遡行軍から歴史を護るのは、主様、審神者様を護り、信頼する事と同じ事。
僕は、そんな愁傷な事を言われる主様を可愛らしく思います」
「・・・平野くんってば、オジサンを揶揄うの止めてよ」
「ふふ」
平野は、払っていた泥も綺麗になり、すっかり艶を取り戻した甲冑を確認しながら、笑った。
単純な事で憂いていた千尋も漸く笑顔を取り戻す。
自分でいいのかと悩む事は、信頼してくれている本丸の刀剣男士を疑うようなもの。
悩むくらいなら、彼等が誇れるような審神者になればいい。
「主~!どうしたんだ」
「大将~!何ばしよっとか」
「ねえ。君。僕に何か言いたい事があるんじゃないかい」
「僕、話、聴くよ」
「主!悩みなら俺に言っちゃいなよ」
遅れて来た他の5人の刀剣男士が、深刻そうな話を平野としていたと勘違いして雪崩れ込んで来る。
「わわっ・・・・そんなんじゃないから心配しないで。大丈夫だから」
こんなにも心配してくれる。大家族のような我が本丸の刀剣男士達の優しさに、
急に審神者を命じられ、本丸に送られて来た時を思い出す。
でも、今はあの頃とは違う。
初期刀から今では、日向正宗以外の刀剣男士が揃う大所帯だ。
その一振り一振りとの思い出、想いがある。
「悩みごとなんて全部吹っ飛んじゃったよ」
さぁ。帰って自分の出来ること。手伝い札でも書こう。
千尋はそう思い、皆の背を押し演練場を後にするのだった。

<了>

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おじさん審神者ってそう居ない気がするのですが、
大体夢SSの方は、女性だったり小柄な女の子だったりですよね?
あ、うちは勿論、BLにはなりません!!!!    …多分。

 

 

 


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