あぽまに@らんだむ

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竜を屠る剣(アビ往)

2020年04月05日 | 日記

 

 

これは、昔のアニメ「天保異聞 妖奇士(てんぽういぶん あやかしあやし)」の再掲です。

CPは「アビ往壓(ゆきあつ)」です。二次創作SSですが、半分は公式です(笑

私的には既に二人は出来ている前提ですので、腐の描写があります。

閲覧には充分注意して下さい。大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<竜を屠る剣>


駁竜(はくりゅう)に化身しアトルの生み出した妖夷(ようい)「祗影(ギエイ)」を喰らった往壓(ゆきあつ)は、
身体から噴出す瘴気に吼えた。
このままでは、鳥居の思惑通り、自分は八百万の神の代わりに妖夷と一体になってしまうだろう。
そして自分の精神は恐らく保たない。
「竜導往壓(りゅうどうゆきあつ)」としての人格は破壊され、妖夷を屠り続けるのだ。
其処に往壓の意思は何もない。
ただ幕府を護るだけの道具だ。往壓を征服する事は神の鎧をも恐れない傲慢な所業だった。

-助けてくれ-

想像を絶する激痛に往壓は流石に根を上げた。
身悶えて泣き叫ぶ。
ケツアルコアトルと一体化している雲七(くもしち)が何とか、往壓を自分から輩しようと足掻いているのが分かる。
しかし往壓は神に対して余りにも無力だった。
必死に霞む視線で周囲を見回す。
自分が自分で無くなる前に一目でも見ておきたい。
浅黒い肌、厚い胸、漆黒の瞳の山の民、アビを往壓は必死で探す。
大きな竜眼から大粒の涙が溢れて来る。
異界から逃がれ、異界を否定し、人として現世で生きようと決意したのは常に彼、アビが傍にいてくれたからだ。
奇士の中でも常に一人で居ようとした自分に、いつも温かい手を差し延べてくれた。

-アビ、アビの許に帰りたい-

駁竜の身体に祗影と今迄屠ってきた妖夷の幻影が重なる。
そしてそれが全て吸収されると駁竜の白い身体が金色に輝き始める。
往壓は身体が引き裂かれる激痛と更なる身体の変化に怯える。

-アビの許へ帰らなければ-

その強い思いだけが、唯一残った往壓の人間の欠片になった。


まるで幽鬼のように人影がこちらに向かって歩いてくる。
髪はざんばらで、ぶらんと腕を下げ足許はふらふらと覚束無い。
しかし必死に歩く姿が見て居る者の胸を打つ。

「お…お前…往壓なのか…?」

傍らに居た狂斎が震える声でその名を呼ぶ。
しかしアビは既に分かっていた。
尖った耳もこめかみから生える竜の角も既に彼が人ならざる者になっている事を意味していた。
両の手からは鋭い爪が長く伸び、唸る口許には牙が生え揃っていた。
まるで獣のように唸る往壓は一糸も纏わぬ姿で周囲の人間達を威嚇している。

「人に戻り損なったか…」

江戸元閥の囁きに、アビはやっと我に返る。
幾ら異形になり人に戻り損なったとしても、彼は往壓なのだ。
愛しい自分の魂の片割れなのだ。
元閥が握らされた村雲の剣にアビが地を蹴る。
しかし、それより先に元閥は動いた。
鞘から剣は解き放たれ、剣は竜を屠る喜びに周囲に歓喜の雨を降らせた。

「止めろ~!」

鳥居の叫びに竜化した往壓がはっと振り返る。
其処には先刻まで仲間だった男が剣を握って迫っていた。

-アビ…。助け…て…-

しかし往壓の声はただの唸り声にしかならなかった。
胸に大きな衝撃が走り、遠くで愛しい人の叫び声が聞こえた気がした。
背中まで剣を突き刺され、往壓は力なく元閥の腕から地に堕ちる。

「往壓さん…。往壓さ~~ん!!」

アビが駆け付け竜化した往壓を抱き起こす。
しかし、何故か剣の痕は無かった。
不思議に思い、まだ傍に立ち見下ろしてくる元閥を睨み上げる。
まるで自分の身で往壓を護るかのように抱き抱える。
すると手の中の往壓の肌から、ぱらぱらとまるで呪術が解けるかのように土気色の皮膚が剥がれ落ち、
牙や角もつけ物であったかのように落ちていく。
鬼のようだった形相も、優しげな往壓の顔に戻っていく。

「こ…これは…」

アビは驚きを隠せない。
元閥が気を遣い自分の羽織りを往壓に被せてやった。
アビは理由を視線で問う。

「これは竜を狩る為の剣。人は斬れないのだよ。
詰まり、竜導さんの竜の部分だけを斬ったのだ」
「だから…元に戻った…」

アビはもう一度往壓の身体を抱き締めた。
微かに呼吸する気配がする。
生きていた。
絶望の後の至高の喜び。
もう一度往壓の微笑みを見れるのだ。
アビは初めて山の神に本気で感謝した。

「江戸元……お前は……」
「アビ、竜導さんを任せましたよ。
二度と妖夷にならないようにと伝えてあげてください。私はもう…」

元閥はそういうと西の者と名乗る後南朝の者達とアトルを連れ去ってしまう。
狂斎は余りもの事にすっかり硬直してしまっている。
自分の中で情報が処理出来ないのだろう。
アトルを救うつもりが幕府のいざこざに巻き込まれてしまった感もある。
しかし、お馬ことアトルも心配だが、眠り続ける往壓の事も心配だった。

「また一人にさせてしまう処だった」

自分の胸に抱き寄せ寒くないように破壊された家の下に潜り込む。
往壓が目覚めれば前島聖天に戻り小笠原や宰蔵に今までの事を伝え、
元閥達の暴挙を止めなければならない。
そして攫われたアトルも救い出すのだ。
それにはやはり往壓の漢神の力が必要になるのだ。しかし…。

「もう二度と駁竜にはさせません」

物語はクライマックスへと突き進んでいた。


<了>

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力ちゃんのアビに往壓が啓ちゃんという「萌えろ」と言わんばかりのキャスト。
因みに江戸元は三木ティだったと思います。これも凄い。

最終回直前の話での公式に二次を入れたSSです。エロい設定だったなぁ。

 

 


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