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その背に羽根はなく(ギルタニ)

2020年01月25日 | 日記

 

タニスことタンサラスと異母兄のギルサナスとの子供の頃の兄弟愛的なSSです。
大丈夫な方のみ↓↓↓へスクロールしてご覧下さい。女性向けなので自己責任でお願いします。

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<その背に羽根はなく>

小さな少年の泣き声がする。
ギルサナスはその声に呼ばれるかのように、白亜の城を抜け石の橋を渡り、森の入り口までやって来た。
此処からは大人の許しが無ければ入ってはいけない領域である。
しかしその哀しげな泣き声に導かれるように、その脚は躊躇わず踏み出される。
終始、呼び掛けては耳を澄ます。
まるで小鳥が啼いているかのような甘く高い声は、ギルサナスの胸を締め付ける。
抱き締めて、もう泣かないでと宥めたくて、少年は必死にその姿を探した。
森に入って暫くすると清らかな小川の傍で、その少年は消え入るかのように蹲って痛む膝を抱えていた。
身に着けている服は、王族であるギルサナスと比べ粗末で、所々破けている。
否、元々は美しかったであろうその服は、手荒な暴力により破かれ、地面へ叩き付けられたのであろう、身体のあちこち擦り剥いて怪我をしている。
痛々しい姿だった。

「タンサラス?僕だよ、ギルサナスだよ」

少年は哀れな程身を竦ませ、震えながら振り返った。
頬は赤く腫れ、涙に塗れていた。
大きな緋色の目は元々は明るい茶色な筈なのだが、感情が高まると何故か紅くなる。
赤に近い茶色い髪は肩まで伸びていて、ほっそりした少年独特の姿はまだ少女にさえ見える。
タンサラスと呼ばれた少年は、大きなアーモンド型の瞳を揺らし、おずおずと後退った。
ギルサナスは彼が自分の許からまた逃げ出そうとしている事を悟る。

「待ってタンサラス。僕は君の味方だよ」

タンサラスは紅玉のような瞳でギルサナスを見詰める。
大きな瞳だった。
タンサラスの容姿はエルフには有り得ない。
エルフは金・銀・黒の髪の者しか居ないのだ。
赤い髪や茶色い髪の者は産まれない。
それにエルフならば、目は釣り上がり、耳はぴんと尖り立っている。
妖精族の証なのだ。
しかしタンサラスは目はエルフ程釣り上がっては居なく、大きく愛らしい。
耳も尖ってはいるが、それ程大きくは無い。
全て中途半端なのだ。
半分がエルフで半分が人間。彼はハーフエルフなのだ。

人間の暴漢が、エルフの奥方を強姦して産ませた忌み子。
呪われた子供。
望まれぬ命。
命を最も尊ぶエルフだった為、タンサラスの母は出産はしたが、難産だった為、タンサラスを産んだ後、すぐに死んでしまった。
虐待までは至らなかったが、養育をする気になれなかった弟の代わりに、ギルサナスの父、クォリネスティエルフの長、太陽の評議長が引き取る事になったのだ。
ギルサナスは彼の三人の子供達の次男で、長男のポルシオスは既に少年から青年になる時期だった為、タンサラスを忌み嫌い、産まれたばかりの末の妹に近付く事を許可しなかった。
魔法の勉学に忙しいギルサナスと遊ぶ事さえ許されず、タンサラスは城でいつも一人だった。

「ギルサナス…様…。僕に近付いちゃ…駄目…です…」

タンサラスは俯くと呟くように口を開いた。
ギルサナスは驚いて傍に寄ろうとした。
しかしタンサラスは瞳を涙で一杯にすると、一歩、また一歩と後退る。
ギルサナスは困惑する。
首を力なく振り泣き続ける少年にギルサナスは自分が如何に子供で如何に無力であるか思い知らされる。
しかし今、彼をこのまま一人で置いていく訳にはいかないと自分を鼓舞する。

「誰がそんな事言ったんだ!君は、太陽の評議長の第二王子ギルサナス、僕の弟なんだぞ!」
「おと…う…と?」

タンサラスはきょとんとした顔でギルサナスを見返す。
しかしすぐに微苦笑して頭を振った。

「義理だから、呼ぶな…と言われました…。僕は…私生児だから…。薄汚い人間の間の子だから…傍に寄るなって…。兄と呼ぶなって…。うっ…うぅっ…」
「タンサラス!」

ギルサナスは堪え切れず小さな弟を抱き締めた。
タンサラスは泣き過ぎて抗う体力も残っていなかったのか、抱き締めるギルサナスの腕に抱かれたまま、身を委ねて来た。
タンサラスの身体は少年らしくなく柔らかで陽と花の匂いがした。
柔らかい癖毛を撫でながら、ギルサナスは母の面影を真似て囁いてやる。

「僕の事は兄と呼んでいいんだよ?ポルシオスは頭が固いから放っておけばいい。ほら、呼んでご覧?」

泣き疲れてうとうととし始めていたタンサラスは促されて、とろんとした目付きでギルサナスを見上げる。
その無防備な顔にギルサナスは愛おしさが込み上げて来る。
最初に逢った時から、この幼い少年が可愛くて仕方無かったのである。
タンサラスは頬を染め、恥かしそうに何度か呟いた後、嬉しそうに微笑む。

「ギルサナス…にい、さま」
「もう一回」
「…ギルサナスにいさま…」

可愛いっとギルサナスは再度タンサラスを抱き締める。
手放したらまた、街の子や兄に苛められるかもしれない。
ギルサナスは魔法の師に邪魔にならないからと同席させて貰うように頼む事にした。
剣や弓の稽古も後数年すれば共に出来るようになる。そうすれば、常に一緒に居られるのだ。

「これからは、僕が一緒に居て護ってあげるからね。タンサラス」

額にちゅとキスしてやるとタンサラスは何をされたか理解出来ないようだった。
恐らくキスなどされた事は無かったのだろう。
知識だけはあったのか、暫くするとぽっと頬を染め恥かしそうに俯いてしまう。
しかしおずおずと視線を上げると、その明るい瞳に似合う眩しい笑顔で微笑んだ。
ギルサナスがタンサラスの手を取り立ち上がらせる。
その手を引っ張り城へ向かって二人の子供が駆けて行く。
それから100年近い歳月が流れ、ギルサナスは迂闊に口走った言葉で、あんなに愛した義弟を追い詰め、闇の手に堕とした事を知るのである。


<続/かない>

 

 

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詳細は余り覚えてないのですが、漢前な元カノに振り回されるタニスを良く覚えています。
最後の二行は妄想ですがタニス闇堕ち妄想かなりして萌え萌えしてました。
最悪な子供だったな~。読んだら忘れて下さい(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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