あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

ある家族の風景(ベナハク)

2016年11月14日 | うたわれるもの関連







腐要素有りと思われる方もいるかもしれませんので、ご注意下さい。
大丈夫な方のみ下へスクロールして御覧下さい。拙いし、凄く短いです。すみません。
他に公開していた作品はR指定が入る為、未公開となります。
今後は「うたわれるもの 二人の白皇」の「ミカオシュ」とか書きたいです。友情としてね!


































<ある家族の風景>



「お父さんの嘘吐き!」

昨日、アルルゥと野苺摘みに出掛けると安易に約束したハクオロは、案の定城を抜け出す前にベナウィに掴まり書斎に閉じ込められてしまった。
昼を過ぎても一向に減らない木簡を見て、愛娘に約束を守れないと申し開きに行きたいと散々懇願したのだが、ベナウィに聞き入れて貰え無かった。恐らくそのまま逃亡すると思われているのだろう。正しくその通りなだけにハクオロは返す言葉も無い。
午後になっても迎えに来ない義父に痺れを切らして書斎に来たアルルゥは、愛すべき義父の横に山と積まれた木簡を見て、今日の約束は守って貰えないと判断したのだろう。愛娘から無惨にも浴びせられた言葉にハクオロは徹底的に打ちのめされた。
真っ青になって、小さな後姿が走り去った廊下の方を向いたまま硬直している。
そして事の重大さに気付いたのか、次第に涙ぐみ、とうとう唇を噛んでしまった。

「嘘吐きって…嘘吐きって言われた…」

今にも泣き出しそうなトゥスクル皇にベナウィは大きな溜息を吐いた。
隙を見ては公務を放って城下町や各地域の町村に出向いてしまうハクオロ自身がいけないのだ。しかし、それは机の前では分からない国民の声を直に聞き、取り入れていきたいという優しいハクオロの意志の表れでもあるのだ。
しかし各地域をお忍びで訪問してばかりでは政は成り立たないのも事実である。その為には多少、家族や仲間達との交流も控えて貰わなければいけないのだ。しかし、すっかり意気消沈してしまった愛すべき我主にベナウィの良心が咎めた。
ベナウィとて、愛しい君主にはいつも微笑んで欲しいのだ。無表情を装い、ベナウィはハクオロの許で跪く。

「聖上。私もお手伝い致します。この地域税管理表と目安箱を処理して頂ければ本日の分は終わりです。今は夏、まだ日が落ちる迄には時間もございましょう。西の森なら近いですし、それからでもお出掛けになっては如何でしょうか?日が暮れてからの警護の為、私もお供致しますゆえ」

「ベナウィ…」

ハクオロはベナウィの優しい提案に吃驚して見上げてくる。
濃紺にも見える漆黒の瞳が涙に濡れ、煌くように揺れている。幻想的なまでの美しさだった。
それはハクオロの内面、心の美しさそのものに見えて、ベナウィはつい見惚れてしまう。
きょとんとした幼い表情から、暫くしてハクオロは嬉しそうに微笑んだ。
ベナウィはその笑顔を見れただけで瞬時に幸せになる。凍てついた心さえ溶かしてしまえる程の温かい笑顔。ハクオロの笑顔はそんな笑顔なのだ。
すぐ横にまで来て慰めていたので、ハクオロの顔は自分の胸の位置にある。無意識なのか甘えなのか、ハクオロは着痩せしたベナウィの厚い胸に頬を摺り寄せた。

「有難う…ベナウィ。お前が補佐で良かった…」

「聖上…。勿体無いお言葉です。さぁ、早速片付けてしまいましょう。そして先ずはご一緒にアルルゥ殿に謝りに参りましょう」

小さくコクンと頷くとハクオロはまた皇の顔に戻り、せっせと木簡に目を通していく。
ベナウィは自席に戻り暫く主を見守っていたが、廊下の向こうからエルルゥと共に耳を下げてやってくる、皇の愛娘の姿を見止めると小さく微笑んだ。



<了>


--------------------------------------------

これで出来てないなんて…と思う私も。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 全ては御心のままに(ベナハク) | トップ | 座席の距離感に付いて »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

うたわれるもの関連」カテゴリの最新記事