これは「うたわれるもの 散りゆく者への子守唄」でシケリペチムの使者が来た時の、
腐SSです。ハクオロが襲われてます。閲覧には充分注意して下さい。
尚、再掲にあたり部分的に改訂しています。予めご了承下さい。
大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。
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<微笑みを護りたい>
手酌で酒を呑んでいたオボロは苦々しく上座を見遣る。
幾ら呑んでも酒の味がしない。
本来酒に弱い筈の自分が浴びるように呑んでいるのに、全く酔えないのだ。
それは全て上座で持て成されている軍事国家シケリペチムから来た傲慢な使者のせいだった。
いきなり皇都に小軍隊で乗り込んで来たばかりか、
義兄であるハクオロが治めるトゥスクルに一方的に属国になれというのだ。
大国なのを鼻に掛けた余りにも一方的な物言いにオボロは逆上するがハクオロはオボロを制し、シケリペチムに従うと申し出た。
急な事なので、詳細は後日と言い宴を開き、今三人の使者に極上の酒と八珍を振舞っているのだ。
しかし、そんなハクオロに使者達は更に屈辱的な支持を出して来たのだ。
「ハクオロ皇、ほら、盃が乾いてしまうぞ。早く酌をせい!」
「申し訳ない…。どうぞ…」
有ろう事か、皇であるハクオロに酌をするように命じて来たのだ。
これにはベナウィも綺麗な眉を潜めた。
先程から何も飲み食いせずに、その様を凝視している。
オボロやクロウとて同じ事だった。
視線で殺せるのであればと使者達を知らず知らずに睨みつけてしまう。
ハクオロばかり見て居るせいで使者達には気付かれてはいないのをいい事に、
いつでも手刀を撃ち込めるように構えてさえいた。
宴にはウルトリィやエルルゥは呼ばず、将と使者だけで豪勢な宴を催している。
無理難題を言う使者が娘達に何をするか分からないというハクオロの思索であった。
その為、使者達はハクオロに目を付け、何かと彼を女扱いした。
「おっと…、トゥスクルの酒は…透き通って…旨い」
「ほら、俺にも注ぐんだ」
自分は全く呑む事は出来ず、ハクオロは先程から三人の酌ばかりさせられている。
三人ともクロウやベナウィが注ごうとしても、断りハクオロに酌をさせるのだ。
ベナウィは既にこめかみに血管が浮いて来ている。
感情を表に出さない彼であっても、そろそろ限界なのだろう。
ハクオロの隣に座っている長い髪を三つ編みにしている冷酷そうな男が、
酒を追加注文しているハクオロの太腿に手を伸ばした。
座り直そうとしていたハクオロは、一瞬硬直するが何も無いかのようにそのまま腰を降ろした。
三つ編みの男は抵抗しないハクオロに調子に乗ってハクオロの太腿を撫で回し始めた。
円を描くように厭らしい動きで弾力のあるハクオロの脚を楽しむ。
「…し…使者殿…。お戯れを…。女をご希望なのであれば、色街にご案内致しますが…」
ハクオロは徳利を置き、身体をずらし三つ編みの男の手から逃れようとする。
しかし其処へハクオロを挟むように座っていたもう一人の使者である巨漢の男が、
背後からハクオロを抱きすくめた。
ベナウィはガタンと腰を上げた。
巨漢の男はハクオロの着物の襟から手を差し入れようしていた。
「お前等…一国の皇に手を出すつもりか?それはヤバいだろう。はははははは」
向かいに座っていた、もう一人の使者である目付きの鋭い男は、二人を制する処か、
下品に笑いからかっているだけだった。
「い…嫌…です。お許し下さ…い…」
「天子ニウェの使者である我等に逆らうとどうなるか、分かっているのだろうな?
大人しくせい、ハクオロ皇…。くくく…」
「くく…、く…?」
好色そうに笑い合っていた三人の使者達の声がぴたっと止まる。
そしてそのまま額を床に打ち付けるように突っ伏し寝入ってしまった。
ベナウィは大きく安堵の息を吐く。
「聖上…。極上酒の導入が遅過ぎます」
「兄者!無事か!」
二人の男に組み伏せられるように転がっていたハクオロは、クロウに抱き起こされる。
三人の使者達は兵士にそれぞれ用意した部屋へ連れて行かせた。
ハクオロは暫く放心していたが、クロウに呼ばれ今の状況に気付くと乱された裾を直した。
襟元も手繰り寄せ気丈にも「大丈夫だ」と三人に微笑む。
無理をしているのは明らかだった。いつもの微笑みでは無い。
余程怖かったのだろう。
自分の身体を抱き締め真っ青になっているのだ。
オボロは見て居られずに目を逸らした。
ベナウィは握った拳が震える程、憤慨する。
クロウはそんなハクオロを抱き抱えたまま、辛そうに何も喋らない。
「一番強い酒を出したのに…廻るまであんなに時間が掛かるとはな…。誤算だった」
三人を気遣っているのだろう。
必死に何でも無いと主張するハクオロにオボロは真剣に向き合った。
「兄者」
「……何だ?」
意を決してオボロは言い放つ。
「俺は戦場でしか、兄者からの恩に報いる事が出来ない。
だが、俺は…俺は全てから兄者を護りたい」
「オボ…ロ…?」
「聖上…。私とて同じ気持ちです。あんな危険な真似は、もうお止め下さい」
「そうですぜ。総大将。あんなに肝が冷えたのは、産まれて初めてですぜ」
三人の部下に優しく怒られ、ハクオロは段々落ち着きを取り戻して来た。
どんな強国が相手であろうとも自分にはこんなに自分を慕ってくれる仲間達がいる。
ハクオロは皆を護る為なら自分がどんな目に遭おうとも構わないと改めて思う。
後から手厳しく怒られようとも。
「あぁ…。皆、済まない」
今度こそ、いつもの最高の微笑みでハクオロは三人を安心させた。
その後、シケリペチムと幾度も戦をする事になるが、最終的には皇ニウェはハクオロ達、トゥスクルが討ち、
結果シケリペチムという国は崩壊するのである。
<了>
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原案はもっと危ない処までされるのですが、再掲にあたり改訂しました。
ハクオロさんエロい!