あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

僕に優しい君だから(FF4セシカイ)

2020年03月29日 | スクエニ関連

 

 

子供時代の「セシル×カイン」のSSの再掲です。

想像で書いたので、設定が違っていたらすみません。石の事は俺設定です。

確かそういう設定だったと思うのですが、昔に読んだ内容なので、不明・・・。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<僕に優しい君だから>


バロン兵学校の渡り廊下。
差し出された碧い石をセシルは呆けたように見詰めた。
目の前には耳まで真っ赤になったまま、そっぽを向いている友の顔。
カインは受け取ろうともせず、石を見ている相手に焦れて叫んだ。

「お前、今日、誕生日だろう?これ、やるから早く受け取れよ!」

カインは目を合わせないようにセシルの手を掴み取ると、
ペンダントになっている鎖と共に、碧い石を無理矢理握らせ身体を離した。
石の中に浮かび上がる銀の炎にセシルは驚いて顔を上げる。

「これ…竜の涙じゃないか。君のお母さんの形見だろう?受け取れないよ」

孤児同士、カインとセシルが知り合って早数年になる。
2歳の頃、バロン王に拾われたセシルは、拾われたその日を誕生日とされている。
同じ頃、竜騎士の父を亡くしたカインも同じくバロン王に引き取られ、
二人は兄弟同然に育てられた。
剣が振れるようになると二人揃ってバロン兵学校に入り、今に至る。
毎年何かに付けてお互い贈り物をして来たが、短剣であったり、
兵法などの書物だったり闘いに関するものばかりだった。
セシルは今年もカインから贈り物を貰った嬉しさよりも罪悪感が勝った。
同じ孤児とてカインはセシルとは違う。
カインは由緒ある竜騎士の家系に生まれ、両親の肖像画も残っており、数多くの遺品もある。
実家は取り壊され兵学校の寮の部屋は小さい為、遺品の多くは処分したが、
両親の面影が残る物は掛け替えの無いものばかりの筈だ。
カインとて1つでも失いたくないに違いない。
何より竜の涙はカインの母の形見と言うだけではなく宝飾品としても貴重で、大層価値のあるものだ。
それを子供同士の贈り物として受け取っていい筈が無い。
幼いセシルとてそれ位は分かった。しかしカインは引かない。

「俺には形見はそれだけじゃない。だからいい」

カインは頭の固い真面目な少年だ。
自分がこうと決めたら絶対に引かない。
だからと言ってセシルも簡単に受け取れなかった。
幼い頃からカインが懐からこの石を取り出しては、淋しそうに俯いていたのをセシルは知っている。
母の面影を移した大事な遺品を、いつ産まれたか分からない自分の誕生日如きに受け取る訳にはいかないと思った。
顔を背けたままのカインの前にセシルは回り込んだ。

「君がこの竜の涙を大切にしていた事、僕知ってるよ。だから、受け取れない」

カインは漸くセシルを見た。
優しげな相貌が哀しげに歪んでいる。
セシルは優しい。
自分の事よりも先に相手の気持ちを思い遣る。
そして傷付いた心をいつも敏感に察知してくれる。
途切れそうなか細い自分の悲鳴もちゃんと受け取ってくれた。
素直になれないカインの本音をいつも読み取ってくれた。
カインにとってセシルは掛け替えのない友だった。
セシルの淋しさを少しでも自分が救えればと思っていた。
しかし孤児の一兵士でしかない自分には何も無い。
兵学校では小遣い程度に給金は出る。
しかし毎年贈ってきた短剣や書物では、満たしてやれないと思った。
自分で持っているものでセシルにやれる物はないか真剣に考えた。

「竜の涙は………」

呟くようにカインが口を開いた。
セシルが首を傾げる。
いつもはっきりと物を言うカインには珍しかった。
先を促すセシルに導かれてカインは少し視線を彷徨わせると、続きを話し始めた。

「竜の涙は清らかな心を呼び覚ます効果があると言われている。
いつかお前が迷った時、その石がお前を正しい道へ戻してくれる。
だからお前が持っていろ」
「………清らかな心………」

セシルはカインを見詰めた。
照れ臭いのか、そわそわと落ち着かず視線を彷徨わせている。
怒ったような表情は照れ隠しだろう。
カインはセシルをいつも優し過ぎると言うが、セシルにしてみれば、
カインの方が余程優しいと思う。
不器用な為に伝わり難いだけで、傷付いている分、人の痛みに敏感で、
皮肉屋な処は傷付く事を恐れ、他人の間に壁を作り、心の奥底で一人怯えているだけなのだ。
竜の涙は清らかな心を導くと言う。
確かにカインは清らかで濁ることは先ず無いだろう。
それに、カインの心は自分が絶対に護るとセシルは思う。

「……うん。分かった。有難う、カイン。君の思い、確かに受け取ったよ」

カインの心情を察してくれたのだろう。
漸くセシルが嬉しそうに微笑んでくれた。
カインは安堵して同じように微笑んだ。
すると金木犀の花の香りがして、曲がり角の向こうで軽やかな足音が聞こえてきた。

「ローザだぞ?今年は更に花束の量が多そうだ。どうする?」
「同室のクラウスに嫌がられそうだし、……稽古場にでも行こうか」

カインが悪戯っ子のように笑った。
それに釣られてセシルも笑う。
運命の歯車が廻り始めていることを、幼い二人には気付ける筈も無かった。
物語は10年以上の時を経てその石の効果を示すのだ。


<了>

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カインのママンはカインの運命を知っていたとかいないとか。
暗黒騎士になる前のセシルはまだ純粋だと思ってます(笑

 


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