あぽまに@らんだむ

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厚い胸の存在理由(審神者&祢々切丸)

2020年04月26日 | 刀剣乱舞関係

 

これは、審神者、東雲千尋(しののめちひろ)と祢々切丸のSSです。

腐的表現が有りますので、閲覧には充分注意して下さい。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<厚い胸の存在理由>


「見ろ、八里先に綺麗な花が咲いている。走って行くか」
「え。八里ですか。一里が約4キロだから・・・。う~僕には無理です」
今日の午前の近侍は祢々切丸。
内勤の仕事が一段落付いたので、中庭を抜けて裏山の方まで気分転換に来ていた審神者は、
32キロの距離を走って行くかと聴かれ、流石に躊躇した後に遠慮した。
「では、この腕に捕まるか?我が運んで行こう」
「え。そんな祢々切丸様だって、慣れない内勤でお疲れでしょう。ゆっくりして下さい」
この本丸の審神者、東雲千尋は慌てて止めようとした。
祢々切丸は、大きな身体を必死に縮めて机の前に座り、千尋の手伝いを必死に熟した。
丸太程もある上腕二頭筋を身体にぴっちりと引き締め丸まる背中は可愛くさえあった。
「綺麗なお花は観てみたいですけど、休養も大事ですよ」
「何、我は元来、このような山でこそ本領を発揮出来る。軽い主人の身など物ともせんわ」
まるで花でも摘むように、祢々切丸は、千尋の腰に腕を回すと、ふわりとその肩に腰掛けさせた。
「主人よ。我の首にしっかり掴まっているのだぞ」
「え。えぇええ。祢々切丸様!待って!本当に八里先に行くのですか。わわっ」
止める間も無く、祢々切丸は主人である審神者を肩に留まらせたまま、全速力で走りだす。
堪らないのは千尋だ。
振り落されないように、必死にその幹のような太い首に両腕でしがみ付く。
裏山を抜け、見渡しのいい草原を風のように祢々切丸が走って行く。
「主人よ。目を瞑って居ては、この大自然の美しさが見えぬぞ。開けてみよ」
頬を旋風が吹き抜けて行く。冷たい。
でも、素直な千尋は、祢々切丸の言う通り、その頑なに瞑っていた目を恐る恐る開いた。
すると、眩しい程の光が目に飛び込んで来たが、それに慣れて来ると、
一面に小さな紫色の山野草のスミレが咲いていたのだ。
「わあぁ・・・。綺麗・・・」
祢々切丸はいつの間にか止まって居て、花の美しさに胸を打たれている千尋を、そっと地面に下ろしてくれた。
「どうだ。この付近は山野草のスミレが群生していてな。これを主人に見せたかったのだ。
内勤で疲れていたのは、主人も同様。花で心を癒すが良い。山は良いぞ」
「はい。有難うございます。祢々切丸様。僕ではこんなに短時間に来れませんでした」
「何。先程も行ったように、主人の体重など、羽根と同じにしか感じぬ」
「それはちょっと男子として傷付くなぁ」
「はははははは、済まぬ済まぬ」
互いに視線を通わせ笑い合う。
スミレは小さく儚かったが、群生していると、自分の本丸を思い出す。
一人一人の力じゃ弱いかもしれない。
でも、沢山の力が寄り合えば、人をこんなに感動させる大きな力となるのだ。
「祢々切丸様。本当に有難うございました。何だかこんないい陽気だと、眠くなっちゃいますね」
「ふむ。では、少し休んで行くといい。我が日の番をしよう」
「え。でも、祢々切丸様だってお疲れなのに、悪いです」
「何、近侍は夕刻には歌仙殿に代わる予定だ。我はその後、休む事が出来る。
主人の審神者の仕事は深夜にも及ぶのだろう。今、休んでおくといい。内緒だぞ」
「ふふ。いつも祢々切丸様は僕に甘いですね」
「山を美しいと言ってくれる主人の事を気遣うのは当然の事。気にせずとも良い」
「はい」
ぽかぽかと春の陽気に千尋の瞼が自然と落ちて来る。
そして自然とこたりと祢々切丸の胸に頬を寄せ、寝入ってしまった。
丘の上に胡坐を掻いた祢々切丸の膝の中、千尋は寝息を立てて寝入っている。
「・・・・主人。厚い胸が好きか」
祢々切丸は千尋を起こさないように、注意深く囁く。
そして軽いうたた寝は、千尋が叫び声を上げて起きるまで暫く続いた。
「ごっ・・・ごめんなさい!祢々切丸様!
男の僕にむっ・・胸に顔付けて昼寝されて、不快だったでしょう!ごめんなさい!」
「・・・む。馬鹿な。不快な筈が無かろう。良く眠れたか」
「それはもう、ぱふぱふで良く眠れ・・・じゃない!いえ、眠れましたけど」
「それならば、良い。では、そろそろ帰ろうか」
祢々切丸は、何事も無かったかのように、千尋の手を取り互いに立ち上がると、
また、来た時と同じように、ひょいと腰に手を廻し肩に担ぎ上げる。
「祢々切丸様、休め無かったでしょう。本当にごめんなさい」
「ふっ。主人は良く休めたようで、何よりぞ。この胸はその為にある」
「え」
「この胸は、主人を癒す為に存在しておるのだ」
「えええ」
羞恥に千尋は顔を紅潮させてしまう。
その顔を観られたく無くて千尋は、祢々切丸の内番の着物の襟に捕まると顔を背けてしまう。
厚い胸の存在理由が自分の為だと言うのだ。
(恥ずかしいけど、何か嬉しい。何で)
自分でも分からない気持ち。
千尋は本丸に戻る間、ずっと祢々切丸の首にしがみ付きながら、自問するしか無かった。


<了>

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祢々切丸様も自覚のない人たらし。
千尋も悶々するといいね。

 

 


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