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とある社長のつぶやき

人生100年 シリーズ13:人間だけが持つ老後の意味

2025-01-22 07:46:37 | 日記

 皆さんは、「老いる」ことにネガティブなイメージを持っていませんか?実は「老後の人生」は、私たち人類が進化の中で手に入れた、とても特別な特徴です。今回は「老後」という不思議な時間について、少し深掘りしてみたいと思います。

 

多くの動物は、次世代を残した後にその命を終えます。たとえば皆さんご存じの”鮭”は、産卵や放精を終えた直後に寿命を迎えますよね。繁殖という「生物としての役割」を果たした後は、エネルギーを使い果たし一生を終えます。

 

また、ゴリラやチンパンジーといった人間に近い動物も同様で、生殖可能な時期を過ぎると寿命を迎えるのが一般的です。彼らは群れとして(繁殖せずとも種全体で役割を分担しつつ)次世代を育てることに集中しています。そのため、いわゆる「老後」と呼べる期間はほとんどありません。(ただし、飼育されている動物には老後に似た時間があるとされ、それは人間の老後と同じ理由と考えられている)

 

しかし、人間は違います。ある年齢を迎えると、子育てや家庭の中心から少しずつ離れながらも、社会の中で何十年も生き続けます。この「老後」という時間は、私たち人類が進化の中で選び取った、大切な期間なのです。

 

ではなぜ人間だけが老後を持つのでしょうか?

「おばあちゃん仮説」という進化の理論があります。この仮説では、年齢を重ねた人々が若い世代を助け、知恵や経験を伝えることで、種全体の生存率を高め、社会全体の安定を支えてきました。

 

また、すべての個体が子供を持つわけではありませんが、進化論では、繁殖しない個体も種全体の生存に欠かせない存在であることが示されています。同じように、人間社会でも子供を持つかどうかに関わらず、それぞれの形で社会に貢献することができ、すべての人が重要な役割を果たしているのです。

 

たとえば、文字が無い狩猟採集の時代には、ベテラン世代が持つ「この季節にはどこで食べ物を探すべきか」「どうすれば危険を避けられるか」といった知識が若い世代の命を救いました。このような利他的な行動が種全体の生存率を高め、進化の過程の中で必要な要素として人間に老後が生まれたのです。

 

最近は、“若さ”が称賛されることが多い一方で、年齢を重ねた人たちの価値が見過ごされがちに感じます。しかし、ベテラン世代には、長い経験から培われた「冷静な判断力」や「全体を見渡す視点」、そして「困難に直面したときの対応力」といった強みがあります。これらは、日々の仕事や社会生活において欠かせない要素です。

 

人生100年時代の今、若い世代のエネルギーとベテラン世代の知恵が融合することで、組織も社会もより豊かに成長できます。若い世代が新たな可能性に挑戦する一方で、ベテラン世代も長年の経験を活かしながら、新しい課題に挑み続けています。

 

全ての世代が力を発揮し、挑戦を楽しむことで、組織や社会は一層強くなります。これからも、全員が活躍できる環境を築き上げ、未来への道を共に進んでいきたい。そう感じています。