ふきの指定席

謎の美女

当マンションに
似つかわしくない謎の美女の出現にドギマギしている
年の頃は20代後半
いつも同じノースリーブの黒のフラットなワンピースを着ている
それは色白で細身のすらりとした体型にとても似合っている
毎回朝のゴミ出し時に遭遇する
時間を微妙にずらすのだが 何故かかち合ってしまう
部屋まではわからないが同じ階の住人のようである
会えば「おはようございます」と挨拶をするのだが
女はニコリともせず いつもノーリアクションである
日本人ではないのかな…
新宿の歌舞伎町あたりの匂いがする
クールで品があり且つ1㌫のバタ臭さ
男ならみんな骨抜きにされそうである
父ちゃんにその女性の事は言っていない
あの氷のような冷たさは
魔女のようにも思えるから
でも絶世の美女である



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