15歳で家を出てから
半世紀近く集合住宅で暮らし
その間 年末年始を家で迎えた事は
1∼2回ぐらいだろうか
必ず旅先で迎えていた
お正月を家で迎える事もなかったので
お正月の準備などしたことがない
せっかく戸建てに越したのだから
門松を立てたくなった
ちゃんとした立派な門松など
発注しなければ売っているはずもなく
どちらにしろ もう間に合わないけれど
何故に早くその思いにならなかったのか
門松を立てると
なんかとてつもない幸運を運んでくれそうな気がする
実家では「昔」
お正月には立派な門松が必ず飾られていた
いつからかそれもなくなり
静かなお正月になったらしいが
もとより
振り返りもせずの不詳の子の私
兄弟がどんなお正月を迎えていたのか
お互いに気にした事もなく
家を出てしまえばそれぞれの人生
仲が悪い家族でもなく
個々の精神は自立していた
会えば「やぁ」とそれぞれの空気が流れたが
またすぐ自分達の場所に戻って行った
それでいいのだと
家族みんなが思っていた
それでいいのだ…