孤高の背セナ
そう感じる 自分の心が卑しく 封印をしていたが
今朝は
その知人の背が 心にやたらちらつく
今朝だけではなく
折に触れ 私の心に入ってくるのだ
数日前 街中で 彼女を見かけた
何年振りだろうか
ただ一点を見つめ歩いていた
元々スレンダーな女性であったが より細くなり
丸まった背に 彼女の鬼気迫る慟哭を感じ
声をかけることができなかった
彼女の事を 詳しく書くことは はばかられるが
彼女はジョークの天才
私との 丁々発止は ちょっと人気だった
そんな彼女となんとなく連絡が途絶え 気に掛けていた
そして
もれ聞こえてきたことは
身重のご主人の愛人が 突然家に押しかけ
そのまま居座ってしまったこと
まだ購入したばかりの瀟洒な家だった
小学生のお子さん2人を家において
彼女は身一つで家を出た
それも 近所のアパートに越した
彼女の 複雑な 強さ すごさ
人間がしでかす 酷さに 言葉もなかった
さきごろ あるタレントさんが 離婚されたが
このかた たしか略奪婚だったよねと
私の記憶がピッピッと反応
たまたまの
彼女の背と重なり 負が どさっと きてしまった
私の周りには そんな人間が沢山いる
刺す方も刺される方も
やはり
植木を買いに行こうかな
花を見て 悲しむ人はいても 怒る人はいない
ちょっと
花に すがりたくなって しまった