バリ記 

英語関係の執筆の合間に「バリ滞在記」を掲載。今は「英語指導のコツ」が終了し、合間に「バリ島滞在記」を連載。

バリ記3

2019-12-14 10:10:57 | バリ記
1999年11月2日
バリタクシー


親切で良心的なメーター付きタクシーといえば、青色のバリタクシーでした。このタクシーに乗ると、本当に厄介な交渉も、メーターがあるにもかかわらずそれを無視してかかる運転手のイヤらしさを体験することなく安心して目的地までいけるのでした。食事をする時間もカウントすることなく、待っていてくれてそれはそれは良いタクシーでした。
ところが今回バリに来て、この青いタクシーが見当たらないのです。聞くと、全部この前の暴動で燃やされたらしいのです。暴動に乗じたイヤな野郎もいたもんだ、と苦々しく思っています。しかし、この暴動のおかげで、メガワティが副大統領になれた、ともっぱらの話です。ぎせいはバリタクシー。たいへん同情しています。出る杭は打たれる。もう出すぎて打たれづらいと思っていたら、暴動の力は、根こそぎと言うイメージです。

バリ・アガ(先住民の村)

さて、以前、トゥルーニャンという先住民の村(バリ・アガ)に湖を渡って行ったことがあります。風習がバリ人たちとは全然違うのですが、代表的なのは、この村は風葬をしているということです。死体を風にさらすわけですが、まったくいやな匂いなどはしません。大きな木の下に死体を置くのですが、その木が匂いを消すのだそうでう。その気の名前をメモしたのですが、今ちょっと思い出せません。
この村までは、実に旅をしたと言う感じでした。
バトゥール湖を小さなボートで渡る時、漁をしている女性の歌声が湖面に響きトゥルーニャンに近づくと裸の子供たちが船着場のところで、一体誰が来るのかいう好奇心を集団で見せています。
小さな小さな村でした。ひっそりとしていました。人々はどのように生きているのか不思議でした。
バリにダブルイカットやアッタの編物で有名なテガナンというやはりバリ・アガがありますが、この村もひっそりしていました。他のバリの村とは、雰囲気がまるで違います。
二つの村の共通したところは、イカットという織物の有名な生産地であることです。テガナンのイカットは、バリのたて糸も横糸も五年も十年もかけて染め、その糸をこまやかに織っていきます。テガナンのイカットは、バリの葬儀などで使われ、普通の人々は買えないので、貸し借りをしているほど必要で貴重なものとされています。
色には、それぞれ意味があり、色の意味を組み合わせ全体的な意味を持つように織り込んでいくようです。
テガナンもトゥルーニャンも静かでひっそりとしているのは、家の中で黙々と織物をしている人が多いからなのかもしれません。この気の遠くなるような根気、しかも手をぬいていないことは仕上がりを見たらわかります。
アッタの編物も堅牢で素敵ですが、出来上がりに、他の編物とは違う(日本の竹籠のようなもの)、強固さを感じさせます。
なぜ、二つの村だけが、混合してゆくことなく、今もなお存続しているのか、興味深いのですが、僕は知りません。
経済的に維持しつづけることができたからなのでしょうが。その維持には強い矜持と作り上げることへの並々ならぬ自信があったのかも知れません。そのような意志がどのようにできたのか、この村の長老たちは知っているのでしょう。あるいはまた、二つの村は維持に非常に苦しんでいるのかも知れません。
僕のようなたんなる異国での情緒に自分を浸しているような旅行者には、歴史の重層は見えません。誰か詳しい人がいましたら、ぜひとも教えてください。

バリの女性の名前

バリの女性の名前に、バリの花の名前が多いことを知ってなんだか気持ちがなごみました。
バリの会社のスタッフIda Bagus Oka Suwardana の奥さんは、Jro Champak といいます。チャンパカというとても香りのよい黄色いバリを代表する花です。オカのお兄さんの奥さんは、Jro Sandat といい、Sandat が花の名です。この花は、薄緑色でやはり美しい香りがします。
バリには、姓がなくカーストの階級をあらわすもの、次に長男か次男かなどをあらわすもの、最後に本人の名前がきます。Ida Bagus Oka Suwardana は、Brahmana (僧侶の階級)で第一番目ですが、そこに Sudra (一番下のいわば労働者の階級)からオカの家に嫁いできた彼女は、名前を変える必要があるのです。それで Jro Chanpak としたのです。因に Jro は下の階級から嫁いできた人が必ずつけるものです。同じ階級どうしなら、名前を変える必要はありません。
カースト制度は、儀式の時を契機にその姿をあらわしますが、普段は自由に恋愛し、どのカーストへの移行も女性なら自由なようです。男性の職業選択も自由ですが、 Brahmana にだけにはなれないようです。


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