2000年5月8日
マジックパワー
今回のバリ滞在は思ったよりも長引き、なかなか帰れないでいる。涼しい日が続き過ごしやすいのだが、相当に疲れがたまってきた。
さて、さらに疲れがたまる話。朝、事務所でイダが、まじめな顔をして、ちょっと話がある、という。
「モトキさんが信じるか信じないか、それは別として、僕が管理しているお金三百万ルピアが失くなったのです。プトゥも一週間程前、オカも二週間前、持っていたお金の一部が失くなっておかしいなぁ、と思っていたところ、今度は僕だったので。三つ考えられるのです。どろぼうがいるか、自分達の思い違いか、マジックパワーか」
僕は、「それはどろぼうに決まっているじゃないか」と言うと、イダは「マジックパワーだと思うので、実は今日、プリーストに行って、おまじないしてもらいたい」と言う。
今まではマジックパワーの話を気楽に聞いていたが、今回のことは笑っていられない。
「イダ、今回は事情が違うので、マジックパワーを僕は認めるわけにはいかない。君がプリーストのところへ行くのは勝手だ。失くしたお金は自分で賠償するのだから。けど、このようなことがマジックパワーで片付けられていたら、お金が失くなればマジックパワーのせいで、誰でも簡単に物を盗めるじゃないか。ここは、まずお金の管理の仕方を今日から変える。それから重たい、容易には開けられない金庫を買おう。それに僕がバリにいるのでデイリーリポートが途切れていたが、僕がバリにいる間も毎日やろう。」
と指示した。
マジックパワーはマジックパワーを信じる人だけに通じるのだそうだ。バリでは兄弟姉妹や親戚どうしのねたみ合いが多いという。「わら人形」に釘を打つようなことが多いというのだ。このようなことは僕には不気味でもなんでもないが、厄介なことだ。大事なことがマジックパワーで片付けられてしまうことがあるのだ。
2000年5月9日
薄気味悪い
いつまで経っても、バリで薄気味が悪いのは、路上でたむろしている男達だ。
店の辺りでいつもたむろしているのは、だいたいが妻かガールフレンドが仕事を終えるのを待っているのか、何かお金になることはないか、物色しているか。たとえば、白タクの運ちゃんとかポン引きとかである。
ヤーマの道路をはさんで向かいに昼間、ニセモノの時計や香水を売っている出店があり、そこにはいつも五、六人の男が座って、何やら話をしたりしている。僕とよく目を合わす。いつもこの店をうかがっているようで、何だか不気味である。
ある日、その男達の中に入っていって、話をする契機にニセモノの時計を買ってみた。一人は時計を売り、一人はオモチャのようなものを売っている。白タクのものもいる。職がなく、観光客を捕まえては、何を買いたいのか聞き、わかるとそれを売っている店に連れて行き、店からお礼をもらう、そんな男もいる。気さくな、人の良さそうな男ばかりだ。
話をすると不気味さも消えるのだが、知らない人だといつまだたっても不気味に思える。
この正体がまだよくわからない。
マジックパワー
今回のバリ滞在は思ったよりも長引き、なかなか帰れないでいる。涼しい日が続き過ごしやすいのだが、相当に疲れがたまってきた。
さて、さらに疲れがたまる話。朝、事務所でイダが、まじめな顔をして、ちょっと話がある、という。
「モトキさんが信じるか信じないか、それは別として、僕が管理しているお金三百万ルピアが失くなったのです。プトゥも一週間程前、オカも二週間前、持っていたお金の一部が失くなっておかしいなぁ、と思っていたところ、今度は僕だったので。三つ考えられるのです。どろぼうがいるか、自分達の思い違いか、マジックパワーか」
僕は、「それはどろぼうに決まっているじゃないか」と言うと、イダは「マジックパワーだと思うので、実は今日、プリーストに行って、おまじないしてもらいたい」と言う。
今まではマジックパワーの話を気楽に聞いていたが、今回のことは笑っていられない。
「イダ、今回は事情が違うので、マジックパワーを僕は認めるわけにはいかない。君がプリーストのところへ行くのは勝手だ。失くしたお金は自分で賠償するのだから。けど、このようなことがマジックパワーで片付けられていたら、お金が失くなればマジックパワーのせいで、誰でも簡単に物を盗めるじゃないか。ここは、まずお金の管理の仕方を今日から変える。それから重たい、容易には開けられない金庫を買おう。それに僕がバリにいるのでデイリーリポートが途切れていたが、僕がバリにいる間も毎日やろう。」
と指示した。
マジックパワーはマジックパワーを信じる人だけに通じるのだそうだ。バリでは兄弟姉妹や親戚どうしのねたみ合いが多いという。「わら人形」に釘を打つようなことが多いというのだ。このようなことは僕には不気味でもなんでもないが、厄介なことだ。大事なことがマジックパワーで片付けられてしまうことがあるのだ。
2000年5月9日
薄気味悪い
いつまで経っても、バリで薄気味が悪いのは、路上でたむろしている男達だ。
店の辺りでいつもたむろしているのは、だいたいが妻かガールフレンドが仕事を終えるのを待っているのか、何かお金になることはないか、物色しているか。たとえば、白タクの運ちゃんとかポン引きとかである。
ヤーマの道路をはさんで向かいに昼間、ニセモノの時計や香水を売っている出店があり、そこにはいつも五、六人の男が座って、何やら話をしたりしている。僕とよく目を合わす。いつもこの店をうかがっているようで、何だか不気味である。
ある日、その男達の中に入っていって、話をする契機にニセモノの時計を買ってみた。一人は時計を売り、一人はオモチャのようなものを売っている。白タクのものもいる。職がなく、観光客を捕まえては、何を買いたいのか聞き、わかるとそれを売っている店に連れて行き、店からお礼をもらう、そんな男もいる。気さくな、人の良さそうな男ばかりだ。
話をすると不気味さも消えるのだが、知らない人だといつまだたっても不気味に思える。
この正体がまだよくわからない。
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