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いつものように僕の焙煎珈琲豆を持って土曜日の珈琲を一緒に飲みに実家に行った時。
一時はあの世の人になりかけた親父が針を持っていた。
親父は元テーラー、紳士服の仕立て職人。
3年前の冬だったかもう次の桜は見れないなと思った時期もあったけど、ある薬をやめた途端奇跡的な回復を見せてそれから良くないなりにも良くなっていた。
それでもまさかまた針仕事で仕事場に座る姿を見ようとは思ってなかった。
聞けば、下着シャツの着丈が長すぎてどうにも気に食わないらしく、短く加工しているということらしい。
生来の性格と長年のミリ単位の仕事が相まってなんでも100%満足出来ないと気が済まない性格。
その性格が老いと体の不調に打ち勝つ力になったことで、今目の前の光景を僕は見ている。
「そこに座っとったら10年若こー見えるよ」
と言うとニヤリと笑った。
そのニヤリが、親父はいま脳みそも10年前の機能を取り戻しているのだなと僕に思わせた。
僕は持ってきていたゾナー50mmf1.5付きのコンタックスⅡaに急いでニューシーガル100を込めて、戸の影に隠れて親父の姿を狙った。
体がダメになってから、写真を撮られるのが嫌いになった親父を撮るにはこの方法しかない。
幸いにして耳が遠くなっているから確実にシャッター音は聞こえてないはず。
撮る姿さえ見られなければあとは気にするものはない。
横構図で3回、縦構図で2回シャッターを切った。
今まで何度か親父の仕事姿は撮ってきたけど、最後に撮ったのはいつだったか忘れたけど、まさかまたこの姿を撮れるとは。
カメラを持ってきていて良かった。
あとは70年くらい前のオールドゾナーがオールドマンをどう描写してくれてるか。
現像が楽しみだ。
この5月で90歳。
再びこの姿を撮れたらいいなと思う。
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