「いちじくをみると〇〇(私の名前)を思い出すんよ」
私の住むところにもいちじくは
たくさんでてるけど、私に食べてもらいたいという好意を毎年ありがたく頂いています。
私は大人になるまでいちじくを食べたことがありませんでした。
祖母にいちじくの汁が口の回りにつくと痒くなると言われ、食べるタイミングがなかったんです。
20代半ばに勤めていた会社は
一つのビルの中にテナントで入っていて、その他の会社の人とも
顔見知りでした。
ある日外回りから帰ると、データ管理を一人で任されているAさんという私よりふたまわりは年上であろう男性にビルの共有スペースで声をかけられました。
「おいしいものがあるから来ない?」と。
なんか、こう書くとめっちゃキケンな感じですが
Aさんの人柄も知っていたし
くたくただったのでちょっと休憩のつもりで寄ったのです。
一人のオフィスなのに
とても整然としていて余計なものがない部屋でした。
他の会社に入るなんて思っても見なかったのでキョロキョロと見回していると
「はい」と、いちぢくを二つ
手渡されました。
「今朝庭でとれたんだけど、この2つしかないの。だからここで食べて」と。
「食べたことがないから食べ方が分からない」というと
呆れた顔で「え〜っ?」と言われ
「じゃあ、これが白いちぢくと赤いちじくだということもわからんね」と笑われました。
「全然違うから食べ比べてみて」と、初いちじくを贅沢にも
食べ比べるという経験をさせてもらいました。
今まで食べたことのない繊細な
甘さとプチプチとした食感…
こんな美味しいものがあったのかと思いました。
でも、これは大人の味だなとも。
祖母が私達子供にいちじくを遠ざけた理由がその時なんとなく
わかってしまいました。
(父にも少し分けました)
(冷凍にしても美味しそうです)