
入山日 2012年9月16日、17日 単独 (見出し写真: 抜戸岳付近の稜線から見た笠ケ岳)
今年の夏は自分の長期休暇と天候の折り合いがかなり悪く、念願のアルプス遠征ができずに終わってしまった。9月中旬過ぎの3連休、通常の年の自分なら絶対行かないタイミングのこの時期だが、ハイトスさん、たそがれさん、みー猫さんのたて続きの遠征レポ、予定などに触発されたことも大いに影響されているのだろう。往復の移動を含め2日で行ける笠ケ岳に登ってきた。笠ケ岳は私にとって未踏峰でもある。
なんと当ブログ開始以来、初の栃木圏内から脱出の遠征レポである。日ごろ山には興味なく、私の為にこのブログを見てくれているN社の皆さん、いつものシャクナゲヤブやら、笹ヤブやら、白っぽいガスだらけの私のレポとはだいぶ異なるアルプスの世界を楽しんでいただきたい・・・
コース:
1日め 新穂高温泉無料駐車場 5:12 林道分岐(笠新道へ) 6:24-6:31 杓子平 10:16-10:34 稜線分岐 12:04 (抜戸岳往復) 稜線分岐 12:25 笠ケ岳山荘 13:48 (その後頂上往復、写真休憩を含み約30分)
2日め 笠ケ岳山荘 6:26 稜線分岐 7:35 林道合流 11:00-11:12 駐車場へ 12:15
3連休初日の15日は自宅の用事を早めに済ませ、山に行く準備にかかる。夕方仮眠を充分とるつもりが、いつものことだがなかなか寝付けない。結局2時間少々しかできなかった仮眠後、20時54分自宅を出発、高速道路を飛ばして登山口まで急いだ。終着点直前で数分の道迷いをするも、16日の2時30分に新穂高の無料駐車場に到着。入口になんと満車の看板、真っ暗だが入ってみる。出ずらいのかなア、とか不安に思いながら進入、やはり見渡す限りスペースは無しだ。ここで救いの神出現、遠くで赤いライトを照らして合図する人の姿、ん?人?って感じ、こんな時間に管理のおじさんがいたのだ。さくを開け中に案内してくれる、数百台のスペース中たった1台分、今空いたらしい。ラッキーだった。5時スタートを見込んでいたので、少々仮眠をとる。2時間くらいうつらうつら、5時近くなり外が少し騒がしくなり空が白んでくる。準備をして5:12 出発、数年ぶりの北アルプス、体は眠っているが気合は入る。
歩きだしは渓流左岸の林道を歩く、ほぼ水平歩行、山に向かう登山者はこんな時間なのにもう相当数歩いている、時々抜いたり抜かれたり。三々五々、山方面に向かって行く。まだ薄暗い感じの林道、いきなり渓流側上部に岩峰群のお出まし。最上部が朝日に輝きだしきれいだ。あの稜線のあたりに登っていくのか・・・(写真下)いきなり暑いので、長袖シャツをぬぐ、道はやや緩やかに登る平凡な林道、ゲートはあるが、SUVでなくとも走行できる荒れてはいない林道だ。
1時間ちょっとで笠新道取り付き点に到着、そこからは北西方向に樹林帯を登る。ブナ、ナラ、針葉樹の混合林の中をつづら折りにつめていく。早朝に関わらずいきなり汗が噴出す、たまらず帽子も取り、水分補給。道はかなりなだらか、だが、その分つづら折れの道が延々とつづくというパターンだ。道はもちろん明瞭、というか非常によく整備されていていたれりつくせりという状態。鉄板で補強したり、はしごが有ったり、木で路肩を補強してあったり、道標もマメに出てくる。いつも栃木で歩いているヤブ尾根とは、天地ほどの差。だが、道を探さず、道迷いをする心配の全く無いコースを歩くのはある意味、大きな楽しみを欠落させている事のようにも感じた。(写真下) 笠新道上りだし40分付近の樹林帯・・・
(写真下) 笠新道登りだし1時間20分くらいのところ、相変わらずのジグザグ道、傾斜がゆるいのは助かるが恐るべきしつこさだ。このあたりからは周囲の樹林がまばらになり日差しがもろに直撃してくる。それにしても暑い、もう9月も後半だというのに異常・・・27度はあった。
暑さと共に、ちょっとしただるさ(睡魔か?)への不安が沸き起こってくる。徹夜の6時間運転の疲れが出てきたか?一瞬弱気になるが、錫ケ岳での13時間歩行を考えれば、問題あるまい。あとは熱中症、シャリバテだけには気をつけよう、今日は泥臭くてもいいのでエネルギー、水分補給をしっかりして最低限小屋につければいい。などと、現在の自分の体調と異常な暑さについて考えながら登りつめていくといきなり東から南方向の素晴らしい展望が広がりだす。
(写真下) 焼岳、遠くに乗鞍
(写真下) 久々に近くで見る穂高連峰・・・
(写真下)穂高連峰の隣、最も左に槍ケ岳・・・
(写真下) 展望が良くなりだしても引き続きジグザグ道、笠新道登りだし2時間20分くらいの所。登山者は程ほどの数、不快になるほどの多さでは無い。同世代の人たちとは抜きつ抜かれつ、顔を覚えてしまう。屈強な若者に数人抜かれた、スピードは絶対勝てない。登山弱者(高年者、婦人)はかなり抜いた。 足の疲れはほとんど無い、夏場の山歩きの積み重ねでスタミナの不安も無しだ。ただ、こののらりくらりのジグザグ道はかえってこたえる。ある程度の急登のほうが、気持ちもいいし効率もよい。引き続き、体のガス欠だけ気をつけて登り続ける。
(写真下) 東の山塊の斜面がくっきり見えてきた。
笠新道入り口から約3時間40分、杓子平に到着。樹林の小尾根状の部分を越えると、目の前に別天地が広がった。とりあえず、日陰にザックを投げ出し、ジュース、ゼリー、チョコ、ジュースだ。ここまで本当に暑かった、塩あめを忘れてきたのを後悔した。その地からはカール状地形の向こうに深い谷とその上にそびえる岩峰群、ひときわ高い笠ケ岳が目を引く。そこから右に目を向けると抜戸岳が堂々とした山容を見せる。初めて見る光景、おまけの抜戸岳ですら巨大に見える、あんなところ登れるのか、ルートを確認してみるがあの斜面のどこを登るのか、解答を見つけられなかった。
(写真下) 杓子平から抜戸岳斜面・・・
(写真下)笠ケ岳本峰、絵の右側のかたに小屋が見える・・・
(写真下) 抜戸岳、堂々とした山容でびっくりした。今まで存在を意識したことも無い。二つあるピークの写真右のほうのピーク下を左側から巻いていくような直登ルートのようだ、知らずに見たらとても登っていけるようには見えない斜度。
(写真下) 笠ケ岳から南への岩峰群・・・
杓子平からはなだらかなコースをしばらく辿る、正式には稜線にはまだ出ていないが、気持ち的には稜線にでて節目を踏んだ感じだ、風がありジグザグコース時よりはかなり涼しい。しかし、気持ちもよい状態は長くは続かない。なだらか斜面が終わり、岩のコースを小刻みに曲がりながらの直登が始まる。(写真下)抜戸岳斜面の岩の上の道を一歩一歩ふみしめながらの急登。でも、これくらいの登りのほうが、常日頃の山と同じ感じだ、かえって歩きやすい。最初のスタート地から6時間近く経過し疲れはあるのだろうが、もうダメ感は一切ない、いつものごとくある程度のペースなら程よくいつまでも歩ける感じ。ここ数ヶ月の栃木ヤブでの経験で、山へのモチベーションができたのと胆力とスタミナもある程度ついたのだろう。
(写真下)コース、脇や来た道などを振り返ると・・・
だいぶ、抜戸岳斜面を登ったところで仰ぎ見る上部、登っても登っても次なる上部が出てくる。
(写真下)登ってきた尾根(写真の左側)と斜面・・・
(写真下) 抜戸岳直下から見た穂高連峰、
笠新道を登り初めて約5時間30分で稜線分岐に出た、ついに北アルプスの稜線だ。吹き渡る風が心地よい。稜線沿いに続く笠ケ岳がくっきり見える。へーこういう風に見えるのか。すぐ北東にある抜戸岳に寄り道してみる。稜線を5分ほど行くとすぐピークらしき場所、目印も何も無いのでピークではないのかも、しかし、そこが一番高いと思われたが・・・。その場所で写真撮影会。今日のザック、ヤブ山用でないほうのザック。この子は購入してから2年近く経つが、その間、山にあまり行かなかったり、今年からはヤブの山にばかり行っていたりととにかく出番がない。おそらく今日の出番は去年の磐梯山以来ではなかろうか?
(写真下) 抜戸岳?と ミレーの第3ザック、レッド
(写真下) 抜戸岳から北方面、双六、鷲羽、樅沢岳など行きたい山々が連なる。絶景・・・
(写真下) 上写真の左に広がる風景、黒部五郎岳、 遠く薬師岳・・・
笠への稜線から抜戸岳方面を振り返る。
(写真下) 抜戸岳を往復している間に山ガールに抜かれてしまったようだ。笠ケ岳の山容。今日はこの稜線を辿って頂上まで行けばいいのみ・・・、安堵感がでる。
登ってきた稜線とその上部の斜面、すごい高度感・・・
本当にアルプスにきたなって感じ、笠のピークが近づいてきた。雲が多少多めになる。もう午後だから仕方ないか、きょうは登りのみの長丁場だ。
(写真下) 笠ピーク手前の抜戸岩・・・
(写真した) いよいよ、笠ピークが迫る。小屋は手前に見える。小屋まであと2,30分くらい?
(写真下) 小屋直下、山頂を仰きみる。ガスがびゅんびゅん飛んでいく。
ついには、こんなになってしまった、山頂が見えない。
稜線にでてからは、写真取りまくりでペースが乱れたが、大きな挫折無しに小屋まで到着できた。もう登るのイヤと言う瞬間はほとんど出ずにこれた。ただ、小屋直下数分のところで、いったん気持ちが切れて、ぐだぐだ歩きになってしまったが・・・、それと歩く距離と時間はさすがに長い。アルプスで一区切り区間を歩ききった時に味わういつもの出し切った感がある。要するにかなり疲れたのだ。
小屋に着くと、山頂はガスの中、湿ったガスだ、しかも肌寒いほど。小屋がこむ話を途中聞いていたので、頂上に行かず、まず小屋の受付に入る。小屋はすでにごった返し・・・休憩部屋、自炊スペース、土間など登山者であふれている。受付に並ぶが、6番目くらい。かなり時間がかかった。部屋に案内される、ひとつの布団に2人の割り当てらしい。久しぶりの一畳に複数人だ・・・十数年前の秋の金峰山以来かな。
明日、雨だと登る気がしなくなるので、カメラだけもって頂上に向かった。ガスで真っ白、風が強い、半そでシャツで来たのを少し後悔するも、我慢できないほどではなかった。頂上にはあっけなく着く。体力も回復している。何も見えない頂上に二等三角点がある、その前で記念撮影。本当に証拠写真撮影だけの為のピークになってしまった。初めて北アに登った燕、常念の稜線を歩いた時遠くに見えた三角すいの笠ケ岳、すぐにでも行けるように思っていたが、20年近くたってしまった。百名山は狙っていないと言いながらもひとつのピークの踏破を増やせるのはなぜか嬉しいものだ。ただ、周囲が何も見えないことだけはいただけなかった。
-------> ”その2” に続かせていただきます。
(写真下)笠ケ岳山頂、3人座っている。
もう15年前になりますが、笠ヶ岳を登った時の印象は、ただ「きつかった」その一言です。
その時のルートは、ななころびさんのルートとは、ビミョーに違うようでした。笠新道は下りに使い、上りは鏡平山荘に泊まって、翌日、弓折岳から抜戸岳その経由して、笠に行き、ちょっと戻って、笠新道を下っていました。
その時の歩きを、ななころびさんの写真を拝見しながら、いろいろと思い出しました。弓折岳に至って、双六に行こうかとも悩んだことを思い出しもしました。
しかし、北アルプスも混んでいたのですね。半畳スペースですか。もしかして、体育座りでお休みだったのでしょうか。
続編を楽しみにしております。
私も笠への行程はボロボロまでは行かないまでもかなり手ごわかったです。でも4日も経つと不思議とまた行きたい気が少し沸き起こったりもしています。笠ケ岳登頂は、不思議とヤブの強敵山の登頂ほどうれしさを感じなかったのですが、今は登れたことに非常に満足感を感じています。、
抜戸から見た北方面、双六、黒部五郎、三俣、樅沢方面も近じか勝負してみたくなってます。今年はもう無理でしょうが・・・ Part2にコメント続けます。