日光山系 ななころびのあの山の向こうに

あの山の向こうには何が待っているのだろう。7回ころんだら7回起き上がる、平凡ハイカーななころびの気まぐれ山行録です。

一人半畳の小屋から強風地獄の稜線を経て、灼熱渋滞地獄の下山道へ 笠ケ岳/その2

2012-09-21 00:59:41 | 山行

笠ケ岳、その1からの続きです。   (見だし写真: 笠ケ岳から抜戸岳への強風吹きすさぶガスの稜線)
3:30頃 小屋に戻る、引き続きどんどん登山者が受付しにくる。まだ、大きな団体が来ていないという。今日どんだけ混むの? なんだか気が重くなる。
結局夕食は40人づつ5回転らしい、自分は2回めのグループ。自分の第2グループは5:15から食事スタート、食事が始まるとすぐ、小屋の人の説明がある。夕食は5回転、、5:45には自分たちのグループのお膳を下げたいとのこと、要は30分も食事を楽しめないということだ。前、隣など缶ビールで晩酌しているおじさんもちらほら、かわいそうになア。山でくらいゆっくり飲みたいだろうに・・・、まあ、誰がわるいわけでもない仕方ないか。朝ご飯の説明、朝は5時から食べられる、早いもの順とのこと。
気を取り直し食べ始める、が、だめだ。食が全然進まない、若いころもたまにあった。徹夜運転明けの長時間登りで消耗すると私は食が細くなってしまう時がある。今日がその典型、それでも何とか頑張って食べるよう努力、味噌汁やお茶でなんとかご飯を流し込む。メニューは極普通、とり唐揚げに魚、漬物、山菜等がぱらぱら、それにフルーツ1切れ、汁とご飯はおかわり自由だ。食事全体の評価はというと、北アの山小屋の標準が高いのもあるが、極平凡とだけ言っておこう。これだけ高所で、人の手による調理品が食べられるだけありがたいのだ、と自分に言い聞かせる。
食事を終え食堂を出ると、第1グループで食事をした団体の人たちが廊下で宴会の真っ最中。6,7人ずつ3個の車座になり盛り上がっている、30代から60代くらいの男女混合の団体、通常の自分ならどう思うだろうか。疲労もあり、食欲も出ずで、混雑でろくに満足な着替えもできず意気消沈中の自分には、ほんとに元気だね、としか思えなかった。2階の更衣室も乾燥室も客室に変身していた、自分の部屋に戻る。上下2段の寝床の作り、布団が横に10枚ほど並ぶ。その中の下段入って右から5番目、ひとつの布団に二人で寝ることになる。右は50代くらい?のご夫婦、私の左となり同じ布団使用者は50代半ばのおじさん、そのかたと談笑などし時間をつぶす。こぎれいな身なりのおじさん、変な癖もなくいいかたで助かった。
外はガスで真っ白だし疲れているので、早々に就寝。7時には寝たか・・・ でも寝れないのだ、5人ほど隔てた左で大いびき、しばらく続くと今度は左3人めくらいで同じようないびき。あーしまった、耳栓は必須なのをこの数年のアルプスブランクで忘れていた。二人でいびきをかかれてまるではもっているかのよう。しばらくは我慢するしかない。一人が止まると今度は上階で盛大に始まる。まあ、そんなことが1時間は続いたが、自分も疲れて寝てしまった。
寝ている間も寝返りが容易にはうてない。右隣のおじさんの体に触れてしまったり、左に寝返りをうとうとしたらおじさんもこちらを向いて寝ていて、さすがに寝返りを中止したり。そんなこんなを繰り返しながらも睡眠は取れたが・・・
寝ていると未明から猛烈な強風の音、ずっとやむ気配が無い。昨日話したテント泊のご夫婦は大丈夫だろうか?、そう思うほどすさまじい風音、自分だったら一晩中これをやられたら精神が持たないだろう。
朝5時近くなるが風の音が一向に収まらないので、早立ちしてもしょうがない、そう都合よく解釈して朝一番のご飯グループには並ばず。すると1階の食堂前から2階の自分の部屋前まで朝食待ちの列が連なってきた、その後しばらくするともう1列別の列が2階まで伸びてくる。何の列? 聞くとトイレ待ちの列だそうだ。うーむ、私は本格的に悩みだしてしまった。もうさすがに並ばないと何時に出発できるかわからないゾ、明日からは会社だし。観念して朝食のほうの列、最後尾に並ぶ、階段の2階に届くところだ。並びだし10分程度で最初のグループの食事が終了、40人分の列が進む。1回で入れるかな、食堂の手前まで来る、係りの若者が空席を数え始める、いやーな予感。3,2,1・・・とカウントをしながら並び人を食堂に入れていき、私が入って最後、セーフ。危なかった、もう一人分遅ければまた30分は待たされたろう。朝食はきわめてオーソドックスな内容、今回はしっかり食べられ体調回復を感じさせられた。
いろいろ、小屋の中でのことを書いたが、全て真実または本当に自分が感じたことだけを記したつもりである、自分のコースタイムや失敗も含めて虚偽を書く事はブログを続ける意味が無いに等しいと思っている。なぜなら、ここに書いているのは他のかたに読んでもらいたいこともあるが、まずは自分のための記録だからだ。小屋も混んでいたので、マイナスイメージが多少増えたが、例えば、自分の登山相棒が秋に紅葉の笠に登ろうよ、などと言ってきたらまたこの小屋にとまってもいい気がしている、その程度のことだ。(ただし次回泊まるときは混雑状況を電話で確認させてもらうよ)  (写真下) 稜線上、東斜面チングルマの群落・・・

6:30 小屋を出発、天気は猛烈な強風、周りはガスのために真っ白、昨日笠山頂に行っておいてよかった。迷わず下山路は笠新道と決める。昨日歩いた稜線を戻るコース、強風が半端ではなく強い状態。東から西に吹きつける、稜線上にいる時は西側斜面に吹き飛ばされるのではないかと思うほど。まともに前進できない。途中一箇所稜線のやせ尾根上、猛烈な突風、尋常ではない、身の危険さえ感じやせた。稜線上にうずくまる。後ろから来たテント泊の青年もうずくまり2人で、しばらくやり過ごす。稜線の西に少しでもルートが入ると風はほとんどさえぎられるのだが、それ以外の場所では稜線からはずれるまで終始この強風に苦労させられた。
(写真下) 抜戸岳への斜面、ハイマツ帯。こんどいつアルプスのハイマツに会えるのだろうか・・・

 (写真下) 抜戸岳への稜線 強風がふきすさび、東から西へガスがびゅんびゅん飛んでいった・・・




稜線からはずれ、昨日苦労した岩場斜面の下りに入る。距離は長いが、下りなので苦労しない。歩きやすいし気も楽だ、ここら辺で下るにつれ風が徐々に収まっていく。一転暑くなってくる、レインウェアを脱ぐ。このあたりで雷鳥なんかが現われてくれないかななどと思った。アルプスを知らない会社の同僚のみんなに雷鳥の写真のおみやげをと期待していたのだ。今回の遭遇はなし、次回のお楽しみだ。(写真下) 杓子平への下り・・・草原は秋の気配。







振り返ると、抜戸岳方面、上部にはまだガス。あのあたりはまだ強風なのだろう・・・




(写真下) 笠、方面もまだガスの中・・・




杓子平を過ぎると、いっきに気温が上がる、昨日と全く同じだ。丁寧なジグザグのコースを下る、下りはもっとストレートに下りたい。手元の温度計は今日も27度以上を示す、この時期、この場所では異常な暑さではないか? 水分をこまめに取る。槍ヶ岳が雲から開放された。(写真下)



穂高連峰の上部はまだわずかに雲が・・・




笠新道登り口まであと2時間くらいのところ、前方にやけに気になる団体の存在が目につきだす。(写真下)団体の最後尾のおばちゃん。 そのおばさんによると40人の団体だという。ツアー会社主催の団体らしく統率が取れていない、抜いてくださいなど他の登山者への気遣いも無し、常時休憩しているようなペースなのだが、止まっての休憩はなかなかしない。道はさすがに細くおおっぴらには追い越せない。2,30分は牛歩に付き合わされた。簡単なはしごやちょっとした岩の段差が出るたびに渋滞、停止。手元の温度計は時に30度をこえる数値を示しだし、のろのろ歩きがかえってつらい、何かのタイミングで最後尾2,3人を抜けたのをきっかけに40人全員を一気に追い抜くのに成功。(全員、高齢者だった。このペースに付き合っていたら、コースタイムの2倍かかる)やっと、これで通常歩行ができると思いきやその前にさらに10人以上の団体らしきものが3グループ、その人達はモラル的であり率先して追い越しさせてくれた。せっかくだからその追い越しの際のペース(自分の下りでだせる最速ペース)で笠新道登り口まで降りてみた。久々にその手の歩きを1時間、渋滞で多少もやもやした気分がすっきりした感じだ。






降り立った、笠新道入り口の分岐(水場)、登山者が憩っている・・・



水場から林道を歩き、マイカーのある駐車地へ向かう。林道進行方向右には岩峰群が現われだす。昨日の未明とは全く違う見え方。(写真下)



この岩峰群の中に笠ケ岳があるような気がする、よくわからない。見え方として最高の気持ちよさだ。なぜなら自分は数時間前まであの上部にいたのだから・・・(写真下)
今回は笠ケ岳に初登頂できた、久しぶりにアルプスの稜線も2日だけだが歩けた、小屋はもう少し混まない時のほうがいいが・・・、 次回もアルプスに来たいというモチベーションも生まれた。天候にもまあまあ恵まれた、特に暑さの面からすると恵まれすぎの感もある。登り往路時、多少感じたいつものヤブ山との比較での不足感(ルーファンでのスリル感の無さ、 ルートを常に自分で確認していかねばならない中での達成感などの無さ)は笠ケ岳のでかさ、車での移動を含めた登山に要する労力の多さなどにより、ほぼ打ち消された状態になっていた。




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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
小屋泊まりと団体さん (みー猫)
2012-09-21 05:19:17
いろんな意味で、お疲れ様でした。
3000m級の素晴らしい眺め、あまり知らない小屋泊まりの世界の記述、新鮮でした。あと、団体さんに追いついた直後に、「コンニチワー」なんて声かけると、最後尾のサブリーダが気を利かせてくれて、そのままスルーさせてもらえることありました。余裕の無い歩きになってると、後ろに黙ってついても気づいてもらえないことが多々ありますので、そのために鈴も鳴らしたりしてます。たくさんの方が訪れるのは、それだけ魅力的な場所であるとは思うのですが・・・今回、自分はアルプスじゃないところに1泊で出かけましたが、こうも違うのも面白いものです。それにしてもありのままに書くのって、たいへんですよね。
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笠ヶ岳山荘 (たそがれオヤジ)
2012-09-21 08:26:20
いやぁ小屋の描写、いいですね。壮絶ですね。笠ヶ岳あたりにも団体さんが入るようになりましたか。トイレのこと気になりましたが、無事に済ませられましたか?その後の行動に影響が出てきますし、他人ごとではありませんわ。
下山時はかなり暑苦しかったようですね。擦れ違いやら追い越しに手間取ってれば、いらいらしてさらに暑くもなるものです。日光、足尾の山歩きのようにはいきませんよ。
こういう百名山、メジャー系の山も、たまには歩いて、いい景色を見て、そしてうんざりしないと、山の良さもわからないものです。
北アルプスは遠ざかっていますが、やはりいいですね。南アルプスと違って、奥深さが感じますよ。
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みー猫さん (ななころび)
2012-09-21 12:48:02
こんにちは、遠征前の励ましのメールありがとうございました。自分は百ハンターではないのですが、百名山はやはり良い山が多いのでできるだけ登れればいいな、という感じです。でも百以外でもいい山がたくさんあるのは、みー猫さんがブログで証明してくれてますので、やはり、自分の行きたい山、登りたい尾根にこだわることにしています。
今回の遠征もいろいろな問題点(長距離移動、不眠での疲れ、山中の混雑、恐怖を感じる強風など)有りましたが、全てひっくるめてトータルで山は楽しいものなのでしょうね。
みー猫さんは先週すごい縦走されてますね、Pt4まで読み応え有りすぎです、自分の全く知らない山域です。もっとよく読ませてもらい後で訪問します。
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たそがれオヤジさん (ななころび)
2012-09-21 21:44:44
小屋の描写等へのお褒めの件、全くの想定外です。ハイトスさんも一人半畳のこと面白がってらっしゃいました。今回も皆さんを喜ばせてしまったようですね(笑)。
ブログに書いた以外にも、山中での人や小屋の件では、ネット上で文にするのははばかられることも何件かありました、どこかのヤブ山でご一緒した時にでもお話します。幸い、入山2日めは前日の寝不足と疲労でたいした食事もできなかった状態ですので、トイレでがんばる必要性を感じませんでした。
こんな問題だらけの山行でしたが、全て自分が好き好んで行っていること、良い事も悪いこともひっくるめても尚今回の山行は満足です。またアルプスをいろいろつめてみたくなりました。
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笠ヶ岳 (ハイトス)
2012-09-21 22:58:34
この山は昨年南岳からの稜線から眺めて意欲をかき立てられた山です。
やはり人気の山なのですね。(とにかく目立ちます)
もっとも今回の3連休の南北アルプスの山小屋はどこも混んでいたことでしょう。
あまりの強風は幕営者に不安を抱かせます。
幕営場によっては砂地でペグがあまり効かないところがあり、ここで強風にやられるとフライを飛ばされることがあるので要注意です。
その点小屋は安心なのですが。
お隣さんがこちらに顔を向けているときは、その方向には寝返りはうてませんね。(笑)
自分の時は悲惨にもお隣の御仁が大いびきで参りました。
超至近距離だと耳栓も効果無しで大変ですよ。
ななころびさんもハモられてつらい思いをされたようですが、こればっかりはつんつんするわけにもいかないので困りもんです。
最大は布団1枚に3人だそうで、これ以上は詰め込みようがないですが、この場合は確実に体育座りですからね。
初日にアルプスの素晴らしい景観を堪能されておりますので満足されているとの事、我々もそうでしたが確率5割ならまぁ良しとしなくちゃなりませんでしょうか。
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ハイトスさん (ななころび)
2012-09-22 02:48:56
こんにちは、今回のテント場では朝、主不在のテントがひっくり返っていたりしました。こんな恐怖の風は久しぶりでした。
私は以前、金峰山で布団3人も経験済みで、その時はひとりずつ交互に頭と足を逆に寝て、寝る角度も斜め、ダークダックスの姿勢というものでした。それから比べたら今回の混みはましなほうだったかもしれません。
自分が行きたい山、行きたい季節は、他のかたも行きたい状態なのだから、小屋が混むのは仕方がないのでしょうね。今後は小屋のことも考えてコース、日程の計画をたてないと・・・
なんだかんだ言っても、もうまたアルプスに行きたくなってきている自分がいるのもおかしいですね。また、新たな目標、歩きたい稜線(双六、黒部五郎方面)(樅沢、槍方面)もできましたし。
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笠新道 (青空ヒュッテ)
2012-09-30 08:39:28
先日はご訪問&コメントどうもありがとうございました!
来年あたりに笠新道からテン泊装備で笠ヶ岳に登りたいと思っていたので大変参考になりました。
小屋の混雑状況を考えても、やっぱりテントの方がよさそうですね。。
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青空ヒュッテさん (ななころび)
2012-09-30 23:22:14
こんにちは。いろいろネガティブイメージ連発のレポを見てもらっちゃったようですね、こちらのブログを見てもらえるとは思ってなかったのでご訪問うれしいです。私は今年7月からブログを開始したばかりの新米発信者です。
笠ヶ岳ですが私の下山時(2日目)には、笠新道の登りグループはほんの2,3グループしかいなかったような気がします。混む混まないは季節や日程次第のようですね。
これからも私のレポとは対照的な、爽快感満載のレポ期待しています。
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