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銀の河 ~ 長浜奈津子のブログ ~

俳優座の大塚道子さんと お別れ






俳優座の大塚道子さんがご逝去されました

今年は大きな人たちが
つぎつぎと先へ逝ってしまう

ご葬儀の前日
都内のお寺へ大塚さんに会いに伺った
住宅地のなかのお寺は ひっそりと静かで
そこだけ違う時間が流れているようだった

静かに眠っておられる大塚さん
記憶に残る、あの声が響いてくるようだ

お寺なのに
大塚さんがいらっしゃる一室は

木の床で、お部屋全体が
アンティークな洋室のようです
なんだか神父さんが出てきそうな雰囲気

そのお部屋には
グランドピアノがありました

窓からやわらかな光がさして
大塚さんのお顔をくっきりとさせる

... あっ ....

すっと端正なお顔立ちで
美しかった

御生前は目の輝きの強さと
あのお声に耳をとられて
お顔立ちを拝見するなんて間はなかった

静かな土曜日の午後 _______


舞台の上で感じた

大女優の懐の深さ、存在の確かさ、
厳しさを含んだ 恐さと

そしてときおり目をきらっとさせて
女性としての茶目っ気をみせたあの表情
そう、よく目が光っていました


舞台「七三里」へ来て下さった時
差し入れはお饅頭で
その銘菓の名も「古狸」

その名前を大塚さんと重ねて
楽屋でクスクスと笑顔になる私たちを
きっと想像されたのでしょう

それを思うと、何重にも楽しくて
お茶場を覗いては、笑ったことを思い出します

またある時は
ひと言も発することが出来ないくらい
厳しい稽古場でのこと

なんどもなんども繰り返される
私へのダメ出し

その場面に一緒に出られている大塚さんは
なんどもなんども、私が止められる度に
くりかえし、くりかえし しなやかに軽やかに
大塚さんは私が止められる同じ回数だけ演じて下さった
その姿勢を 私も将来習おうと、そう心に決めました

研究生の発表会、
劇団の集まりには必ずいらっしゃった
若い人を可愛がって下さった
劇団を心から愛してくださった


こんな私だから
若い頃には嬉しくも叱られましたが

「なっちゃん」と呼んで下さり
ちらりと笑顔を見せて下さる瞬間が嬉しかった

それにしても、
大切で大変な人が 亡くなってしまった…

手を合わせると ぽろぽろと涙がこぼれた

「たくさんたくさん、ありがとうございました」
と、小さくつぶやいた


今日、そっとお別れが出来てよかった

今度は劇団の稽古場で
皆で大塚さんのお別れ会です

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コメント一覧

Natsuko
うめ~
http://nappy.gn.to

・・・流石ですね…
とにかく、完璧だったよね

イギリスの劇場に立って頂きたかったね
日本代表の女優として

うめち、メッセージありがとう!
またいつか、会いたいね

ガンバロー!

うめちゅう
私も訃報をロンドンで受け取りました。残念だなあ。入団したての頃、プロンプをして恐る恐る大塚さんに間違えを言いに行くと、台本と向き合って全部チェック。次の日には完璧に直されていたものね。本当に素晴らしい女優さんでした。遠い国からご冥福をお祈りします。。。
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