「大阪府、コロナ重症センターの看護師を急募」っていう記事があった。
時給単価4200円(手当込み)と書いてある。臨時雇いで対応、これで集まると思っているのでしょうか?
大阪で最近、市民病院や保健所が廃止され、そこで働く看護師さんも、働き場がなくなったわけです。
雇用が少なくなれば、そこを目指す人も減少し、看護師も減っていくでしょう。
つまり、行政は、看護師の市場を縮小させたのでしょう。
そんな時にコロナで需要が急拡大したら、価格は高騰する、これって基本的な市場原理ですが、政治家さんたちはどうお考えなのでしょうね。
さてでは、今、看護師を採るのに必要な金額は?
看護師さんは、資格が必要で、専門職ですから、働きたい人は、どこかで働いているでしょう。
そのような人を、どうしてもほしい場合、今の職場を辞めてもらう必要があります(いわゆる引き抜き)、そうすると、今30歳の人なら、定年の60歳まで、30年間の給与を補償しなければなりません。年収700万だとすると、30年で、2億1千万、退職金は、2000万で、合計2億3千万。さらに現状の企業から引き抜くわけですからプレミア50%として、3億4千5百万ですね。
日本は、専門職に対する評価が低すぎると言われますが、時給4,200円って、ちょっと低すぎませんか?
こんな価格で専門職を集めようなんて、虫が良すぎませんか?
今なら、弁護士さん(時間単価 3~5万円程度)と同じくらい必要なんじゃないんですか?
しかし、それまで、市民病院で働いてきた看護師さんなら、意識も高く、同等の(リスクに応じた手当は必要かもしれませんが)給料で、危機対応もするでしょう。
ということからすると、公設病院などの看護師や検査技師の雇用は、危機対応のための先行投資であるということも言えます。
さらに、通常時から、業務をこなしていただく訳ですから、逆に「お得」なのではないでしょうか。
市民病院や保健所は、拠点を減らして経費削減をする、施設(ハコ)として見られていますが、別の視点で見れば、看護師や検査技師、そして保健師などの人材を確保しておくための制度(しくみ)として考える必要があると考えました。つまり、これらは、警察や消防などとおなじく、行政の大きな役割の一つとして含めなければならないものでしょう。そのあたりを、政治家や役人は、見誤ってしまったのかもしれません。
行政のスリム化にあたり、事務の職員数よりも、保健師や検査技師など、専門職の職員の削減の比率が高いようです。でも、有事に必要なのは専門職でありました。
組織としては、消防(救急)の中に、医師、看護師、検査技師等を入れていくのも良いのかもしれません。消防署に緊急時のための保健所があり、救命設備もあって、医師・看護師・検査技師が配置されるというのも良案かも。
行革に携わってきた経済・経営の先生方も、今は何も発信されていませんが、専門家として、どう見ておられるのでしょうね。テレビ局なども、いまだからこそ、「こんな値段で看護師や検査技師があつまるのでしょうか?」って、専門家に聞いてほしいですね。