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「しつこく」新×3もろもろ日記

今になって夫が「進撃の巨人」に興味を持ち始めました^^

児玉清著「負けるのは美しく」

2011年06月08日 | その他モロモロ
児玉清さんが亡くなられて、今更で申し訳ない気もするのだが
著書を是非読んでみたいと思い。楽天ブックスで注文してみた。

同じ思いの方は多かったようで、しばらくしてHPで確認すると
「負けるのは美しく」というタイトルの本は品切れ。
送られてくるのもちょっと時間がかかった。

著者紹介の部分には2011年逝去と書かれており
増刷されたんだな~やはりと思ったりした。

もともと学者肌の雰囲気ぷんぷん(笑)の児玉さんが
どうして俳優になったか気になっていたのだが
大学の卒業式に出席している時に母親が急逝。
一家の収入は母親にゆだねられていたため、
大学院進学を断念。就職しようとしても多くの会社は
もうその年の採用者を決めている。
それで腰掛け程度に・・という軽い気持ちで
「東宝ニューフェイス」の試験を受けたのだという。

これで合点がいった。本来なら俳優になる人ではなかったのだ。

独語や仏語も原書で読みこなすほどの語学力というのもすごいが
仏語ができるようになったのは学習院大で一年先輩だった
篠沢秀夫教授によるところも多いようだ。
(篠沢氏にスカウトされて学生時代全編仏語のお芝居をした)

テレビで見た黒澤監督とのやり取りも書かれていて。
神様ともあがめられた監督に楯突くなかなか骨のある青年
だったようだ。大部屋俳優としてくすぶっていた時間も
長く、辛い経験もかなりされていたのだそうだ。

ダンディでスマートなイメージだった児玉さんだけれど
自分の内面(頑固者で一匹狼タイプ)との
ギャップに絶えず悩んでいたこともわかった。

自称「神」と名乗る不思議な預言者・アベさんとの付き合いや
個性的な俳優や監督との交流。私でも知っている
有名人とのエピソードは特に興味深く読んだ。

ひょんなことから三船敏郎氏のマイカーに乗せてもらったこと
西村晃氏からあたたかい演技のアドバイスをもらったこと等等。

最終章にきている愛娘・奈央子さんについての文は
涙なくしては読めない。37歳で亡くなったとは
聞いたことがあったけれど、スキルス性(進行性)胃がんで
しかも信頼していたかかりつけの病院からそんな仕打ちを
受けていたとは。訴訟を起こしてもおかしくないような
事件を児玉さんは「自分の病気の際には良くして
もらったので」ぐっと飲み込んだという。

病院を訴えたところで娘はもうかえってこない
そんな気持ちもあったのかもしれない。

闘病中の児玉さんは病室でどのような日々を過ごしたのだろう?
切り絵を制作していたというのは知っているが
奈央子さんのこともよく頭をかすめたのではないだろうか。


素顔の児玉さんを知りたい方、読んでみてください。



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