ソマリ

一か月前、我が家に新しい家族が来ました。
エレナが昨年11月に亡くなり、今年の春ぐらいから運命の出会いがあれば子猫を迎えたいと思っていました。
探していたのはメインクーンのクリーム色の男の子。
でもなかなか、そんな色の子はいません。
そんなある日、いつものように近所のペットショップに見に行くと、まだ2か月にもなっていない小さなブルーのソマリの女の子がいて、「かわいい～～」と、王子と二人で見ていると店員さんが「抱っこしますか？」と・・・



エレナがソマリだったので、もうソマリを飼う気は全くありませんでした。
ソマリを飼ったらエレナを思い出して辛いと思っていたし。
なので、全く買うことなど考えずにただ抱っこだけして帰るつもりが…

気づいたら連れて帰ってきてた～～～！！！

命のある動物を衝動買いするなど、絶対にあってはならないことです！！！
なのになのに・・・

まだ小さくて、しっぽも短くてまるで灰色のネズミのような子猫。
クリーム色のふわふわのかわいらしいメインクーンの男の子をお迎えするはずだったのに、猫という以外何一つあってないじゃん！（笑）。
しかも、撫でられるのも抱っこされるのも大嫌い！
触ろうとするとものすごく抵抗して噛みついてきます。
うなり方も噛みつき方も半端なくて、やんちゃを通り越して凶暴な子猫。
ペットショップで抱っこした時は閉店間際だったので眠くて疲れていておとなしかったのかも・・・
正直な話、衝動買いして連れて帰ってきたことを後悔しました。
いつもは慎重すぎて石橋をたたいてもなかなか渡れなくて機会を逃してしまう私。
なのになぜか、ごくごくたまにこういうことをしてしまう時があるのでした。

ネットでいろいろな猫のブリーダーさんのサイトを見てみると、ペットショップの子猫は早いうちから親猫と離されセリにかけられ、店頭でたくさんの人に見られたり触られたりして落ち着かない生活を送り、親兄弟と離れるのが早いので社交性や協調性がない子が多く中には凶暴な子になってしまうと書いてありました。
まさにうちにいるこのネズミのような子猫がそうなのかしら・・・
人間もそうでしょうが、猫の性格を決定するのは血統と育った環境だそうです。
お金儲けしか考えないよくないブリーダーが凶暴な親猫であるにもかかわらず構わず交配させるとやはり凶暴な子猫が生まれるとも書いてありました。
納得するところはあります。
しかしそうとばかりは言い切れない気がします。

私が以前通っていたクラブの厩舎の隅で野良猫が子供を産んでしまったことがあったのですが、その時産まれた4匹のうち、３びきはものすごく警戒心が強くて凶暴で、撫でようとしたらものすごい剣幕で攻撃してきました。
しかしなぜか一匹だけは自分から足もとにすり寄ってきていたのです。

そして今通っているクラブでも近所で野良猫が子供を産んでしまったのですが、やはり同胞であるにもかかわらず、一匹は人懐こくて甘えてくるのに対し、もう一匹は触ろうとするとひっかいてきて全然違っていました。

同じ時期に同じ親から生まれた子猫。
血統も環境も同じはずですがまったく違っていました。
なので、サイトに書いてあることをうのみにするのはどうかと思いました。

どの道、すでにうちにお迎えしてしまった子猫です。
まったく懐いてくれなかったらさびしいし、撫でるのも嫌がられるのは悲しいけれど、この子はきっととても美しい猫になる。
だから、部屋の中の片隅にいてくれるだけでいいと思おうと思いました。
そもそも猫とはそんなもの。
エレナやレティーシャが犬のように人懐こくて、私の後をついて回るような子だったのですっかり忘れていましたが、インディは自分が一番のわがまま王子でした。
普段はクールで、でも自分が何かしてほしい時、気が向いた時だけやってきてくれる。
猫を飼う醍醐味はそのツンデレ感にあるのでしょう。
普段さびしいからこそ来てくれたとき何倍もうれしいってやつ（笑）。
呼べばいつでもやってくる方がよければ犬を飼えばいいのです。
と、自分に言い聞かせて、十二分の愛情をこめて接することにしました。
どんなに凶暴でも人に慣れなくても、猛獣じゃないんだから。
猫なんだから。
多くを望みさえしなければ、飼っていて全く相いれないなんてことあるはずありません。



お名前はいくつかの候補の中でなかなか決められず、王子とくじを作って決めました（笑）。
くじそのものも納得いかず何度もやり直して（笑）。

決まったのは、ハイディ。
元スーパーモデルのハイディ・クルムの名前をもらいました。
美しい娘に育ちますように。



なかなか名前を憶えてくれないので、常に名前を呼び掛けて嫌がられても噛まれても撫で続けました。
すると・・・
触られるのは嫌だけど、付いて回るようになりました。
台所に立つと台所に、ダイニングの椅子に座っていると足元に来て上にあげて！と足に抱き着いてきます。
一階に下りると一階についてくる。
二階に上ると二階についてくる。
気づくといつも足もとにいる。

撫でようとすると組みついてくるけれど本気で噛まなくなってきた。
まったくごろごろ喉を鳴らしてくれなかったのに、たまにごろごろ言ってくれるようになってきた。
抱っこしても暴れたり噛みついたりしなくなってきた

一か月の間に体もどんどん大きくなってしっぽも2倍以上の長さになって、登れなかった高さに飛び乗れるようになって、ぽよぽよしていた体がスリムになって、丸かったお顔が引き締まって、見た目も変わってきたけれど、中身も毎日うれしい変化があって満ち足りた日々を送っています。
心配だったエレナと同じ種類だということも杞憂でした。
エレナは完全に老衰だったと思えるし、亡くなったことはさびしいけれど、長生きしてくれてずっと一緒にいてくれてありがとうと思えるし、だから私の中で綺麗に完了しているので、ハイディを見ていてエレナの子供のころを思い出して泣くこともなく、自分でもびっくりしています。
むしろ種類の違うレティーシャが子猫の時の方が、もうすぐエレナが高齢で逝ってしまうのではという心配が常に頭にあったし、インディの最後の時に病院に連れて行って辛い思いをさせたことをずっと悔いているので、エレナやインディの子猫の時のことをことあるごとに思い出して涙していたくらいでしたが・・・



レティーシャは最初とても怒っていて、ハイディの入っているケージの前でうなり続けていましたが、徐々に存在に慣れてくれて、予防注射が完了して自由に部屋で遊べるようになったハイディのいいお姉さんになってくれています
あまりにレティーシャがやさしいので、もうびっくりを通り越して感動です。



ソマリはレッドとフォーンは輪郭がぼんやりしたお顔で、ルディとブルーははっきりした顔立ちです。
エレナはレッドだったし、丸顔でした。
ブルーのハイディは顔立ちがスマートでアビシニアンに近い感じ。
手足も長いです。
一か月たって、ネズミのようだった体はリスザルみたいになりました（笑）。



ふわふわの襟巻ができ、狐のようなボリュームのあるしっぽの美しいソマリになるにはあと2年近くかかるでしょう。
とても楽しみです