写真家がすべきカラーマネジメントVol.2
さて前回に続けて詳しく書いていきます。
過去2回分を読まれていない方は最初からお読みください。
ところで本日また意見を頂きました。
今回はまじめなお話しなのでご紹介致します。
「・・・僕もカラーマネジメントにはいつも泣かされています。
モニター画面で見る画像とプリントを色合わせすると言っても、
使う用紙の白色点も違いますよね。
また写真展の会場で使う照明は、いわゆる蛍光灯は少ないわけで、
どのような環境光で鑑賞するかという問題もあります。
ですから僕の場合は、
モニターで観る画像とプリントは分けて考えていました。
しかしそうすると同じイメージで印刷できず、何回もデータを修正する場合が多々あります。
この時間のロスが悔しいですね・・・。」
写真家なら、多かれ少なかれこういう思いで悩まされた事はあるはずです。
もちろん私も同じでした。
そこで私が気がついたのは、
プリントアウトした結果で、CMS(カラーマネジメント)を考えていると、
いつまでたってもそこから抜け出せないという事です。
上のご意見の通り、どのような用紙で印刷するか?
また写真を観る環境における照明の色温度は?
そこまで計算しなければならず大変です。
要するに、我々写真家は撮影時のイメージこそが大切であり、
それを収めた画像データこそが写真家の心であり命なのです。
よってそのデータの情報を正しく把握することに、
まずは全力を傾けるべきだと思います。
さて話を進めますが、
撮影画像データを出来るだけ正しく見るためには、
もちろん素晴らしいモニターが必要です。
しかしプロはともかく、アマチュアの皆さんはおいそれと買えないはずです。
私は無理に高価なモニターを今すぐ買いなさいとは言いません。
今はモニターも相当良くなりました。
色空間がsRGBを再現するモニターであるなら、
5万円以下でもかなりの物が買えます。
また無理してAdobe RGBまで再現できる高価なモニターを買う必要はありません。
正直に言いまして、私が10台ほど評価画像でテストしましたところ、
ある規準で合格点を出せるモニターは数台でした。
Adobe RGBまで再現するモニターを買うなら、
今現在の定価で10万円以下のモニターはダメです。
しかもダメなモニターは、sRGB空間でさえまともに奇麗に再現できないのです。
これはメーカーのずるい戦略のワナです。
もともと大した能力のないモニターに、Adobe RGBが再現できますと、
無理やり名前だけの機能を付けて、その実はとんでもない商品である。
こんな代物を買わされてはたまりません。
また私が使用した感想を言いますと、
モニターによっては経年変化の差が激しいです。
某メーカーの安価な製品では、
すぐに色がずれだし、頻繁にツールでの測定調整が必要でした。
くれぐれも気を付けて下さい。
多少経済的に余裕があり、
Adobe RGB まで再現出来て、長く使いたいと考えるのなら、
今現在(2012年10月20日)では、
「ColorEdge CG246」をお勧めします。
15万円もしますが、それに見合う素晴らしいモニターです。
いずれはPCと同じでどんどん安くなり、10万円を切るでしょうが、
今現在はこれ以下のモデルはお勧めできません。
予算がなければ、まずはsRGB空間で構わないので、
しっかりと再現できるモニターを買うべきです。
それならそんなに高価でなくても良い商品は多数あります。
そして将来Adobe RGB空間に手を出してもおそくはありません!
しかも将来的には後日書きますが、写真家なら2台あった方が便利です。
アマチュアはプロとは違い、減価償却出来ないのですから無理する必要はないです。
ただし、今後どうしても用意しなければいけないのが、
モニター・プロファイルを作成するための「ツール」です。
これだけはどうしても必要です。
少なくとも自他ともに写真家を自任するなら、これだけは必要な道具です。
このツールについては後日書きます。
さてその点をお話しした上で、今日これから書くのは白色点(色温度)についてです。
モニターの白色点(色温度)は一番大切な基準点です。
この数値が画像データの「色彩」の基準になると考えて下さい。
皆さんが普通のモニターを買いますと、
白色点の基準の色温度を調整できるはずです。
一番多いのが5000K(ケルビン)か6500Kのどちらかに最初から設定されています。
ここからが問題です。
例えば、私が6500Kに自分のモニターを設定して観ている画像データを、
誰かの5000Kに設定しているモニターで見ますと、
それだけで色彩が大きく違って見えます。
これが大きな問題なんです。
この白色点の色温度についての知識がないと、
自分のモニターと他人のモニターとの見え方の違いの意味が分からず、
「・・・さんのモニターは色が悪い!」
そういう結論になってしまいます。
それほどに大切で重要な問題なんです。
結論から言いますと、
私が今まで書いてきたように、「撮影データを出来るだけ正確に見る。」
この観点から考えるならば、設定は6500K(ケルビン)にして下さい。
理由は前回の「ガンマ」と同じです。
カメラ内部のプロファイル設定が、6500Kだからです。
5000Kでは、撮影データと色彩が違い過ぎます。
我々写真家はまず最初に、モニターでその色温度で画像を見るべきだと思います。
そして最後に輝度、これはモニターを見る際の明るさと考えて下さい。
買ったままのモニターでは明るすぎる場合が多いです。
しかしモニターが良くないと、実は輝度を保つのは難しいのです。
メーカーやモニターによって推奨輝度は違いますが、
画像データを見るなら100~120cd(カンデラ)に合わせましょう。
ちなみに上記ColorEdge CG246でしたら、100cd位が良いと思います。
70cd~80cdは印刷する際の色合わせには良いと思いますが、
データの色を正しく見るためには暗すぎます。
さあこれで以前のブログ「写真家は色に拘る」に書いた、
三つの事項が決まりました。
すなわち、
1、ガンマ
2、輝度
3、白色点(色温度)
もう大丈夫ですね!
では続きはまた次回に・・・
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さて前回に続けて詳しく書いていきます。
過去2回分を読まれていない方は最初からお読みください。
ところで本日また意見を頂きました。
今回はまじめなお話しなのでご紹介致します。
「・・・僕もカラーマネジメントにはいつも泣かされています。
モニター画面で見る画像とプリントを色合わせすると言っても、
使う用紙の白色点も違いますよね。
また写真展の会場で使う照明は、いわゆる蛍光灯は少ないわけで、
どのような環境光で鑑賞するかという問題もあります。
ですから僕の場合は、
モニターで観る画像とプリントは分けて考えていました。
しかしそうすると同じイメージで印刷できず、何回もデータを修正する場合が多々あります。
この時間のロスが悔しいですね・・・。」
写真家なら、多かれ少なかれこういう思いで悩まされた事はあるはずです。
もちろん私も同じでした。
そこで私が気がついたのは、
プリントアウトした結果で、CMS(カラーマネジメント)を考えていると、
いつまでたってもそこから抜け出せないという事です。
上のご意見の通り、どのような用紙で印刷するか?
また写真を観る環境における照明の色温度は?
そこまで計算しなければならず大変です。
要するに、我々写真家は撮影時のイメージこそが大切であり、
それを収めた画像データこそが写真家の心であり命なのです。
よってそのデータの情報を正しく把握することに、
まずは全力を傾けるべきだと思います。
さて話を進めますが、
撮影画像データを出来るだけ正しく見るためには、
もちろん素晴らしいモニターが必要です。
しかしプロはともかく、アマチュアの皆さんはおいそれと買えないはずです。
私は無理に高価なモニターを今すぐ買いなさいとは言いません。
今はモニターも相当良くなりました。
色空間がsRGBを再現するモニターであるなら、
5万円以下でもかなりの物が買えます。
また無理してAdobe RGBまで再現できる高価なモニターを買う必要はありません。
正直に言いまして、私が10台ほど評価画像でテストしましたところ、
ある規準で合格点を出せるモニターは数台でした。
Adobe RGBまで再現するモニターを買うなら、
今現在の定価で10万円以下のモニターはダメです。
しかもダメなモニターは、sRGB空間でさえまともに奇麗に再現できないのです。
これはメーカーのずるい戦略のワナです。
もともと大した能力のないモニターに、Adobe RGBが再現できますと、
無理やり名前だけの機能を付けて、その実はとんでもない商品である。
こんな代物を買わされてはたまりません。
また私が使用した感想を言いますと、
モニターによっては経年変化の差が激しいです。
某メーカーの安価な製品では、
すぐに色がずれだし、頻繁にツールでの測定調整が必要でした。
くれぐれも気を付けて下さい。
多少経済的に余裕があり、
Adobe RGB まで再現出来て、長く使いたいと考えるのなら、
今現在(2012年10月20日)では、
「ColorEdge CG246」をお勧めします。
15万円もしますが、それに見合う素晴らしいモニターです。
いずれはPCと同じでどんどん安くなり、10万円を切るでしょうが、
今現在はこれ以下のモデルはお勧めできません。
予算がなければ、まずはsRGB空間で構わないので、
しっかりと再現できるモニターを買うべきです。
それならそんなに高価でなくても良い商品は多数あります。
そして将来Adobe RGB空間に手を出してもおそくはありません!
しかも将来的には後日書きますが、写真家なら2台あった方が便利です。
アマチュアはプロとは違い、減価償却出来ないのですから無理する必要はないです。
ただし、今後どうしても用意しなければいけないのが、
モニター・プロファイルを作成するための「ツール」です。
これだけはどうしても必要です。
少なくとも自他ともに写真家を自任するなら、これだけは必要な道具です。
このツールについては後日書きます。
さてその点をお話しした上で、今日これから書くのは白色点(色温度)についてです。
モニターの白色点(色温度)は一番大切な基準点です。
この数値が画像データの「色彩」の基準になると考えて下さい。
皆さんが普通のモニターを買いますと、
白色点の基準の色温度を調整できるはずです。
一番多いのが5000K(ケルビン)か6500Kのどちらかに最初から設定されています。
ここからが問題です。
例えば、私が6500Kに自分のモニターを設定して観ている画像データを、
誰かの5000Kに設定しているモニターで見ますと、
それだけで色彩が大きく違って見えます。
これが大きな問題なんです。
この白色点の色温度についての知識がないと、
自分のモニターと他人のモニターとの見え方の違いの意味が分からず、
「・・・さんのモニターは色が悪い!」
そういう結論になってしまいます。
それほどに大切で重要な問題なんです。
結論から言いますと、
私が今まで書いてきたように、「撮影データを出来るだけ正確に見る。」
この観点から考えるならば、設定は6500K(ケルビン)にして下さい。
理由は前回の「ガンマ」と同じです。
カメラ内部のプロファイル設定が、6500Kだからです。
5000Kでは、撮影データと色彩が違い過ぎます。
我々写真家はまず最初に、モニターでその色温度で画像を見るべきだと思います。
そして最後に輝度、これはモニターを見る際の明るさと考えて下さい。
買ったままのモニターでは明るすぎる場合が多いです。
しかしモニターが良くないと、実は輝度を保つのは難しいのです。
メーカーやモニターによって推奨輝度は違いますが、
画像データを見るなら100~120cd(カンデラ)に合わせましょう。
ちなみに上記ColorEdge CG246でしたら、100cd位が良いと思います。
70cd~80cdは印刷する際の色合わせには良いと思いますが、
データの色を正しく見るためには暗すぎます。
さあこれで以前のブログ「写真家は色に拘る」に書いた、
三つの事項が決まりました。
すなわち、
1、ガンマ
2、輝度
3、白色点(色温度)
もう大丈夫ですね!
では続きはまた次回に・・・
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さて、この一連の記事で1点だけ今でも悩んでいる部分がありますので、質問という訳ではなくコメントということで書かせて頂きます。
画像データの真の色を見るためにはモニターの明るさは120cd(カンデラ)とするということで、実際に私もそのようにしております。
しかし、120cdのモニターでRAW現像を行いWEBにアップすると、私のPCではもちろん適正に見えるのですが、ほかの多くの(いいえ、ほとんどの)PCで見ると画像が明るすぎるのです。
昼間の写真はハイキーになり、夕暮れの写真は明るくて色も薄く、雰囲気は台無しです。
PCはメーカーの工場出荷状態で販売されているでしょうし、その明るさは200cd、300cd、場合によっては400cdといったものかも知れません。
ユーザーも普通は、モニターは買ったときの明るさが適正だと信じて疑わないはずですので、そのまま使うでしょう。
そうなりますと、世の中のモニターの明るさの割合は、99%が工場出荷状態で1%が適正値120cdということになります。
しかし、そうなりますと、自分がいかに120cdの適正なモニターで現像した画像をWEBにアップしたとしても、こちらの意図した色で見てもらえる方は100人に1人ということになります。
これでは自分のモニターを120cdにする意味がありません。むしろ、自分のモニターも300cdなどにして、それでRAW現像する方が、99人に自分の写真を適正に見てもらえます。
つまり、結局、数が多い方が正解、適正というようになっていくのだと思います。120cdが、本来は適正というのは十分に承知しておりますが、200cd、300cdで使用されているモニターの比率が圧倒的に多ければ、もう120cdが適正というのは過去の話になるような気もしております。
質問という訳ではありませんが、一応、記事を読んで、現実を見渡して、私が感じたことを書かせて頂きました。
これからも記事を楽しみにしております。どうもありがとうございました。