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聴刻堂日乗

映画「そばかす」

映画「そばかす」を観た。

2022年の日本映画。
監督は玉田真也。
原作・脚本はアサダアツシ。
出演は三浦透子、前田敦子ほか。

三浦透子演じるソバタ・カスミ。
異性にも、同性にも、恋愛感情を
持つことは無い。本人は平気だが、
家族や同僚など周りの人たちは、
なかなか理解してくれない。

人間嫌いとか、孤高の人という訳
ではない。友達としてなら、一緒
に何かをしても楽しめる。だけど
解かってくれる人は少なくて。

印象に残ったシーンが2つあって。

1つめはカスミがデジタル紙芝居
のシンデレラを幼稚園で披露する
シーン。定番の話と異なる物語に、
観てる人がザワザワとし始める。
その空気に耐え切れず、カスミは
途中でパソコンを閉じてしまう。

自分の主張をストレートに表現す
ることに怖れを感じてしまう。そ
れはカスミの姿だが、同時に映画
の作者の姿にも重なって見えた。

もう1つは、カスミの家族の朝食
シーン。鬱気味の父親が晴れ晴れ
と転職を宣言する。一瞬、驚きの
沈黙が訪れるが、カスミがこらえ
きれず笑い出し、ついには食卓は
笑いに包まれる。

見えない束縛から自らを解放する。
映画で最も爽快に感じられる場面
だった。

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