Co-BusinessMate

作り手、買い手、売り手、送り手、伝え手さんを一綴りに考える。
ビジネス情報共有ブログです。

PDCAは使えない?

2024年10月18日 12時30分00秒 | あえて誰も言わない雑記
マーケティング系の講座に限らず、様々なビジネスセミナーにおいて頻出するワードの一つとして「PDCA」があります。
その内容や講師は違えど、頻繁に提出されるという事は重要で有用な方法論に違いない!と、そう思ってしまうのですが…
一方では、時代遅れ、成果が出ない、実践できない、など散々な言われようで実務レベルの評価はさほど高くはない、という印象のワードでもあります。
事実、私たちもPDCAを持ち出す場面はほとんどありませんし、付き合いのある大手の売場統括責任者の方も「PDCAとは言いたくない」との発言をしていましたので、やはりその評価は低めなのでしょう。
教科書にある事が実践では役に立たないというのは、別に珍しくもありませんが、本当にただそれだけの事なのでしょうか? ビジネスセミナー講師先生たちは、揃ってアップデートが出来ておらず、時代に合わない教科書を信じて講座を続けている。と、そういう事なのでしょうか?
そこで今回は、自戒の意味を込めPDCAについて改めて考えてみたいと思います。
ちなみにPDCAとは事業(業務)の「継続的な改善運用手法」の一つです。



【今さらのPDCAって何?】
まずは各工程についてポイントをザックリと復習しましょう。用語は有名でも内実は意外と理解されていないって事も多々あると思いますので…一応です。

1:Plan(計画)
まずは計画作りです。そもそも「計画立案」自体が、非常に多くのカロリーを必要としそうですよね? まぁ、どの程度練り込んで策定するかにもよりますが…
ただ計画がお粗末だと、その後の工程が回らなくなる可能性が大と言えそうです。
別にPDCAに限った話ではありませんが、プランニングに際しての基本的な留意点は、以下の通りです。
●5W1Hを明確に設定
いつ、どこで、誰が、何を、何故、どのように、を設定してその優先順位を決めましょう。ここが曖昧だと適切な戦術(計画)を組むことが出来ません。
● 情報を収集する
5W1Hの設定をもとに必要な情報を集めます。外に目を向け、可能であれば当事者(社内外)に意見を求めましょう。会議室で頭にある既成知識に頼っていると実情とズレた情報を優先選択しかねません。
● 実現可能な目標を設定
得られた情報から現状のリソースで実現可能な範囲の目標を設定します。
目指すべき具体的な目的、目標がないとプランも曖昧なものになってしまいます。
ありがちな目標設定として「競合が100だからウチは200!」のような安易な判断は禁物です。
 ◀計画作りは意外と難しい
● 実施スケジュールを設定
目標に至るまでのフローとスケジュールを想定します。いきなり最終ゴールを目指すようなオペレーションではなく、複数の段階を踏んで最終目標に到達できるようにします。段階ごとに数値目標を盛り込むと、次のC(評価)で精度の高い評価が可能になります。

さて、既にこの時点で挫折しそうな人もいるのではないでしょうか?
恐らく、計画を単なる思い付き程度の感覚で済ませると、実践できない、成果が出ない、といった結論になる可能性は高いかもしれません。
つまり、それなりの計画に基づく
運用が、PDCAを上手く回す前提条件になりそうです。
PDCAサイクルは日本の製造業において、品質管理の向上に貢献したと聞かされると、妙に納得してしまいます。
 ◀継続的な品質向上

2:Do(実行)
計画が整ったら、それを実行に移します。留意点としては、以下の3つです。
● 記録を残す
数値類はもちろん、業務行動やその結果の記録を取る事によって、次の工程の「評価」におけるデータとしての客観性を持たせる事が可能となります。逆に記録が無いと、心象や印象に偏ったり、恣意的だったりと、誤った評価を下す事態になりかねません。
● 計画の完成を目指さない
意外に思われるかもしれませんが、計画とは常に完璧ではありません。計画の不備を見出す事も重要となりますので、確実、着実な計画の履行を第一義とします。PDCAの目的は継続的な効率化なので、無理な計画の完遂行動はむしろ避けなければなりません。
● 計画の有効と無効を確認する
計画の何が有効で、何が無効なのかを確認しながら行動します。計画の過程での安易なシステム変更は厳に慎み、システムの修正は次のサイクルへと回します。でないと適切な評価・改善が出来なくなってしまいます。

3:Check(評価)
計画行動の結果分析と解析です。この工程の精度いかんで改善策の効果が大きく変わる事になります。留意点としては2つです。
● 結果の良し悪しで判断しない
良い結果であれ、悪い結果であれ、何故そうなったか?という「理由」を求めます。
仮に良い結果の理由が計画の中に見つからないならば、それは計画不備になります。
● 定量データを優先しない
評価軸として数値は必要ですが、数値での成否の判断は避けましょう。
定性的な結果、例えば、行動しやすかった、意欲が増した、顧客が喜んだ、などのその裏付けとして数値を使用します。
行動がスムーズ(効率的)で売上が上がった場合と、ひどく手間取った(非効率)結果としての売上では、数字が同じでも行動評価は真逆になるはずです。
 

4:Action(改善)
評価で見出された課題(問題点)を踏まえ、計画(行動)内容の改善点を決定します。
留意点は2つです。
● 複数の改善点を一度に解決しない
見出された問題の原因が常に明確であるとは限りません。むしろ多くの場合で、複数の要因(行動)が関係していたり、あるいは原因の切り分け作業が必要だったりします。その場合、考え得る全てを一時に修正してしまうと、起因不明となり、再び同種の別問題が発生する可能性が生まれます。
● 改善点に優先順位を設定する
複数の改善点に対しては、得られる今後の成果を踏まえた優先度を検討しましょう。

ちなみにですが Action=改善 と言われてもイメージしづらくないでしょうか?
「A」の元ネタは、Act(演じる)で「評価に従った行動」って事らしいです。
昔々、日本のとある先生がActionとしてPDCAの講義を行い、以後Actionとして世に広まったようです。そして評価に従った行動を、より分かり易く意訳し「改善」となったようですね。
しかし、ザックリと復習のはずが、もうかなりお腹一杯な感じじゃないでしょうか?
 ◀運用できる気がしない?

【PDCAは誰のために?】
ここで、あえて結論めいた事を言わずとも、何故PDCAが実務者レベルであまり評価されないのか?
その理由がお解りいただけたのではないかと思います。
そもそもマネジメント管理の継続的な改善を目的としたPDCAは、非常にカロリーが高く、しかも有効実践には、それなりに専門的な複数のスキルを必要とします。
大きな企業ならともかく、小規模の事業体が自力で実践するには厳しいものがあるでしょう。
もちろん専門のコンサルを入れるなどすれば、その限りではありませんが…

もう一つの問題は時間です。
PDCAはサークルを何度か回さないと成果が得られません。短期的な事業修正には向かないのです。また、導入時の制度設計(計画)にもそれなりの時間を要する事になるでしょう。
ただ逆に言えば、中長期的な事業運営には、現在でも非常に有効性の高いマネジメント管理手法であると言えます。
PDCAのロジックは非常に合理的で隙が無く、継続的な成果を上げ続ける企業では、PDCAサークルなどといったものを意識せずとも、結論として、必ず同種のマネジメントシステムを社内に構築しているはずです。
ビジネスセミナーの先生たちが今もPDCAを持ち出すのは、その導入の推奨ではなく、常にプランを持って行動し、必ず見直しをする、というビジネスにおける基本を伝えたいのだと想像できます。
そうした思いの根底には、計画も、検証も、見直しもないままに、ただひたすら同じ行動を繰り返し、成果のない理由を外的要因に求め続けるといった事例が、相当に多いからなのかもしれません。
 ◀PDCAが紹介し続けられる…


【カジュアルなPDCA?】
世の中にはPDCA以外にも、OODAや、STPDなど、様々なマネジメント手法が存在します。
どのような手法を採用しようとも、要点はほぼ同じで「周りを見て、考え、そして行動せよ」という事なのだと思います。

仮に天才であればこうした手法は必要ありません。
考えずとも「勘」や「感覚」「感性」で行動し、すぐに成果を得るでしょう。
ただし継続性の獲得には、必ずロジックが必要になります。どんなに優れた才能も永続はありませんし、多くの場合、その有効性は短く有期限なのですから。
それがビジネスである以上「継続」は、最も重要な目的の一つでもあるはずです。
何も既製品であるマネジメント手法を導入する必要などありません。
皆さんも自分に見合ったカジュアルなPDCA(事業継続運用手法)の構築を目指しましょう。

次回は「バイアスの恐怖」です。


キービジュアルって何だ?

2024年10月04日 12時00分00秒 | あえて誰も言わない雑記
どんな商材であれお客様に注目されて、はじめて「販売」への道が開かれます。そして年々、獲得が厳しくなるお客様の「注目」を得るには視覚的な訴求が必要です。
もとより視覚訴求の優劣で、集客や売上に差が出るというのは当然の事でしたが、今後は、お約束(形式)を求め、同じようなプレゼンテーションを繰り返す者と、その時、その場、その人に応じた訴求を考える者との格差はさらに開いていくと予想できます。
 ◀店頭オブジェも注目の獲得に復権か?

キービジュアルも近年では、ティザービジュアルと呼ばれるように、訴求要素(焦らす)をより明確にした使われ方が主流となりました。
これは単に強いインパクトで、不特定多数の目に止まる事を期待した昔ながらの手法から、訴求対象を絞って既視性と注目度のバランスを考慮する制作手法へシフトしたとも考えられます。
その理由は単純で、従来通りでは期待する結果が得られなくなったからです。
キービジュアルもティザービジュアルもその目的は同じで、商材であるコト・モノの存在に注目を集める事になります。そこで今回は「キービジュアル」について改めて考えてみます。
▲商業撮影をアピールするキービジュアル

【その画は何のために?】
最初に「キービジュアル」についての確認です。
キービジュアルとはPR用途の静止画像(写真やイラスト)で、主な目的はお客様の注目を得る、次いで興味喚起です。環境によって「メインビジュアル」とも呼ばれます。
そしてキービジュアルには以下のような特徴があります。

1.メッセージ性の付加
 コンセプトやベネフィット(客の利益)などが表現されている
2.複数の媒体で共通使用
 複数媒体(紙やWEB)での共通使用が前提に画面設計される
3.強いアテンションバリュー
 ありきたりでない独自性やインパクトを持つ
4.比較的長期の露出が前提
 多くの場合、1クール(3カ月)~4クール(1年)

映画(興行)やファッション、化粧品、自動車業界など多くの分野で世界的に古くから使われてきました。

▲複数の画面比率に対応した画面設計

15年ほど前に、その有用性が再評価され、近年に至っても様々なアプローチが続いています。改めて周囲を見渡せば、皆さんにも多くのキービジュアルと思しき画が見つけられると思います。
ただ一つ残念の事に、このビジュアル手法やその有用性については、中小規模の国内事業者さんたちには浸透していないという事実があります。
もちろん積極活用している企業さんもあるにはあるのですが、私たちの肌感覚としては 1~2%といった印象です。理由としては、販促・広告宣伝を不要、あるいは過小評価しているという事が挙げられるでしょうか。知り合いの中小企業診断士の先生によれば、事業計画に販促・広告宣伝費を全く含まない事業者さんは本当に多くて、金融審査でもその点を指摘される事があるのだとか…
 
◀要望を伝えて見積を取る

話は少し脱線しますが、キービジュアルに限らずプロモーション・PRに必要なツール制作には、当然それなりの費用が発生します。実はそのコストを嫌って自作で済ませようと考える事業さんが少なくありません。過去にはロゴやパッケージ、包材まで自作するという強者も…
これは販促・広告宣伝に対する認識の問題だけではなく、相場感や対費用効果などの知見が薄いといった事情もあると思われます。適正な予算判断がないと、先の話とは逆に、ムダに多額の販促・広告宣伝費をつぎ込んでしまうといった事態に陥る事もあります。
ただ必要なツール制作にコストを投下できない事情がどうであれ、マーケットにおけるビジュアルの重要性は販路側も認めるところです。むしろビジネスであるなら周辺ビジュアルはきちんと整備されていて当然!という認識は、販路関係者に限らず消費者、つまり皆さんも同じなのではないでしょうか?
店舗や商材によっては、手作り感が市場の好感に繋がるという現象は確かにあります。
しかし一般論として、全てにおいてプロ級の腕前を自認するのでなければ、自作のプロモーションツールが威力を発揮する売場は限られる、という現実は承知しておく必要があるように思います。
 
◀小型の印刷物は今も有効

【独自性をどう作る?】
キービジュアルの目的は、商材であるコト・モノの存在に注目させる事です。それは不特定多数の人にではありません。ある特定の人たちに、です。
つまり「それ」を欲しがる人、あるいは興味を持つだろう人たちの注目です。参考:
3秒の壁って何だ?(攻略編 その1) - Co-BusinessMate
注目を求める範囲は広ければ、それだけ多くの注目が得られる!と考え、誰も彼もをターゲットに据えると、以前に何処かで見たような訴求となってしまい、結局は注目を得る機会を喪失するかもしれません。
そしてビジュアルの露出機会は、ほとんどの場合で複数になるはずです。それらには必ず何某かの共通性やメインとなる “場” が見つけられるはずです。参考:
3秒の壁って何だ?(攻略編 その2)
そして、その時点でのトレンドをどう取り入れるのか?を検討します。ただしキービジュアルに限れば、流行りにのる事はお勧めしません。原則的には独自の主張を目指した方が注目の獲得を期待できるでしょう。参考:
3秒の壁って何だ?(攻略編3) - Co-BusinessMate

▲レザークラフトを知る人に向けた訴求
これで作画プランの発想に必要な条件(外部要因)は決められると思います。すなわち、誰に向け、いつ頃どのような媒体で、どうトレンドを加味するのか?という事柄です。人と場所と時期については、ある程度明確な想定が可能でしょう。
しかし、こうした条件だけで「独自な画作り」は難しいかもしれません。
実はさらにコアとなる重要なファクターが2つあります。

“何” を “何故” 伝える?を決めましょう。
キービジュアルにとって最も重要で、他のビジュアルと異なる点として「メッセージ性」の付加があります。
それは、カッコイイ! カワイイ! キレイ!などその外観の内に、企業や製品あるいは提供サービスは “何” をお客様に提供し、それは “何故” なのか?を盛り込むという作業になります。

冒頭の撮影レンズがモチーフの画像は、商業写真の制作サービスを示すキービジュアルです。特殊レンズと企業ロゴらしき文字でそれを表現しています。背景の青はコーポレートカラーで、奥を明るく手前を影にする事で「ビジュアルで企業の未来を明るく」というコンセプトをメッセージしています。
物を浮かせて魅せるという手法自体はよくあるものですが、その影に投影されるロゴであまり見ない表現としました。


上の画像は、薬師如来の持つ薬壺をイメージして制作された作家物の漆器です。新型コロナ期で「病患が祓われますように」という作り手の願いを表現しました。物が置かれた鏡面表現はありきたりな手法です。これに波紋をつけて仏の静謐を、添えられた山帰来(赤い実の植物)は治癒をメッセージしています。

さて、皆さんの中には「言葉の説明はともかく、画でそれは解らない!」と疑問を感じた人がいるかと思います。その通りで、メッセージ性の付加はその伝達が目的なのではなく「独自性」の獲得手法の一つです。
独自性!と言ったところで、そうそう簡単に発想できるものではありません。そこで製品やサービスに込められた願いや動機の視覚翻訳を試みれば、必然的に他と違った表現になるという訳です。
それに外観(見た目)だけを追った表現と、テーマ性を追求した表現を人は意外と敏感に感じ取るものなのです。皆さんも普段の生活の中で、形式通りの対応と、心ある対応との差を容易に判別しているのではないですか?

今回は「キービジュアル」の意義と作画設計について、コスト面の話を交えつつ考えてみました。販促費を予算にどう組み込むか?は、私たちにとっても常に悩ましい問題なのです。
作画設計の次は「PDCAは使えない?」です。
マーケティングの話題で頻出するPDCAですが、実践運用は無理!って思った事…ありますよね?


3秒の壁って何だ?(攻略編3)

2024年09月10日 12時15分00秒 | あえて誰も言わない雑記
商材を求める人(その1)と、売場の環境(その2)の想定が決まったら、3つ目の条件である「その時点での既視性」を考えてみましょう。
少し難しそうな言葉に聞こえるでしょうか?
ザックリ言うなら、トレンドをどの程度加味するか?を考えよう!というお話です。
既視性とは、商材だったり、その広告だったりがリリースされた時点で、初めて見たはずなのに同じようなモノ・コトを過去に見たように感じるその度合です。
この度合いが、注目度の獲得にどう影響するのかを整理してみたいと思います。
 ◀初見でも前に見た気がする

【視覚的要素は重要?】
今回もまず最初に前提を確認します。
多くの人は主に視覚情報によって様々な判断をしていて、その割合は 80%以上(83~87%)とされています。
そしてもう一つ、ビジネスシーンでも有名?なメラビアンの法則(3Vの法則)によればコミュニケーションにおける視覚の優位性(優先度)は 55%、聴覚 38%で、この二つで実に93%となり、残る言語の7%を圧倒しています。
これらの事実から、初動で人に何某かを訴えるなら、これはもう「視覚的な要素」一択!と、断じて差支えないでしょう。
逆に言語を主とした訴求で、3秒の壁の攻略は厳しいかもしれません。
キャッチコピーなどは確かに有力な要素ですが、認知の仕組み上、厳密に言えばこれも壁を越えた後でないと効かない?と考えられます。
聴覚訴求については、駆使できる環境が限られます。まさか売場で鳴り物(サウンドギミック)を常時使うという訳にはいかないですからね?
 
◀よく見る言語のみによる訴求

では視覚要素を駆使するとして、あえては誰も言わないその仕組みをもう少し堀ってみましょう。
昔々、アメリカの映画館で、ある市場調査が実施されたそうです。その調査とは、上映中の映画に「コーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」というメッセージを繰り返し表示させるというものです。メッセージの表示時間は1/3000秒で、鑑賞者は誰もこのメッセージに気づけません。
調査の結果、売店の売上は、コーラ 18.1% ポップコーン 57.5% 増だった…と。
いわゆる「サブリミナル効果」の話ですね。
この調査の真偽はともかく、重要なのは「人は無意識下で認知が成立する」という事実です。
皆さんを含め、お客さまが1秒に満たない短時間で、自分に必要な情報の取捨選択を行えるのは無意識下認知のおかげと言えます。
これは要る、これは要らない、といった思考による判断の必要なく、人は無意識下で情報を切捨てます。どんなに長くても3秒で情報が判断されるという「3秒の壁」の正体は、精神構造としての脳の情報処理の仕組みだったという訳です。
 
◀映像認知は言語に勝る?

ちなみに、先の市場調査の結果は、言語の優先度が低いとする3Vの法則に矛盾する。と思った方もいるかと思います。
少し脱線しますが、実はこの衝撃的な市場調査は、テレビ放送による再調査が行われました。結果、短時間のテキストメッセージに反応した視聴者は認められませんでした。
ただ無意識下での認知は今や公然の事実となり、公共性の高い媒体における恣意的サブリミナル効果の行使は、公平性を欠くとして日本はもちろん他国でも禁止されています。
筆者の勝手な憶測ですが、映画館の調査はテキストメッセージだけではなく、実はコーラとポップコーンの映像があった。としたらどうでしょう?
であれば、法則の矛盾も、再調査の逆転結果も、商品の売上差が大きかった理由(ポップコーン映像の方が判りやすく美味しそうだった)にも説明がつくような気はします。
さて、根拠のない憶測はともあれ、
「人は無意識下で認知が成立する」との前提を踏まえ「既視性」という事を考えてみましょう。既視性と注目度には、いったいどのような関係性が見出せるのでしょうか?
▼ありふれたトレンドに埋没しない工夫を

【A社のようにして下さい?】
ある時期、A社製品が大いに国内市場を賑わせました。すると競合、関連製品はもちろん、様々な企業がA社製品の広告イメージを踏襲するビジュアルを求めてきたのです。
この傾向は、A社が広告イメージを刷新するまでの2~3年の間続きました。
こうした事例は枚挙にいとまがありません。
セピア調が流行れば誰もが温調を望み、教科書体が当たれば教科書体が望まれ、俯瞰(ふかん)の画が流行れば俯瞰を求めます。
他者の成功やトレンドを追うというのは、しごく普通の行動ですし、別に悪いという事はありません。
それが目的に適ってさえいれば。ですが…
どうでしょう?皆さんにも、そういった覚えがあったりしますか?
皆さんと3回にわたり考えを進めてきたのは壁の攻略(注目の獲得)です。



トレンド(多勢)に寄せる行為は、その他大勢と同じになるという事です。
皆と同じならば、自分が注目を得るという目的からは遠のくでしょう。
他者に似せるのは、必ず先行する成功者がいるからです。大抵の場合は、二番煎じ、模倣(類似品)といったネガティブな印象を与えるリスクを負います。
ではオリジナルを追求し、他とは全く違う!となると、それはそれでスルーや批判を受けるリスクが生まれます。
何故なら、少しの既成情報もないモノ・コトを見せられても理解できないからです。
なので適度な既視性は必須と言えるでしょう。
また前例のない試行は、それなりの勇気が要りますよね?ウケれば良いのですが、スベる可能性もある訳ですから。
 ◀理解不能だと注目されない

ではいったいどうすれば良いのでしょうか?
結論すれば、消費者の無意識下判定に自分たちの情報を通すには、視覚表現が最も有効だと解っても、結局は、“お客さま”や“場”の環境を見て、程よいバランスの既視性を持つ訴求を目指すしかない。という事になります。
ただ以下を徹底して心がければ、あるいは合格判定に近づけるかもしれません。

1)最優先を1つだけ!
2)複雑を避けシンプルに!
3)自分の満足ではなくお客様の満足!
4)トレンドは隠し味に!

“人” や “場” をよく見て、自分の振舞い(訴求)を決めましょう。
こうして考えを進めてみると、プロモーションに慣れた大手も情報の収集や発信(訴求)には大いに苦労していて、時には失敗もあるのだと解ります。
つい最近も、外食大手のAIによるCMが不興を買っていました。
けれども個人的には、既視性の薄い訴求に踏み出せる胆力と試行力はさすがで素晴らしい!と感じました。後追いではなく、先駆けを目指す姿勢は忘れたくないものです。
▼薄い既視性に賭ける事も重要

そしてどうやら「これをやればOK!」などという魔法(ツールや方法)はないのだという事が解りました。
といって、全てを自分一人で考え、決めるのは大変すぎですね?
分からない事は、周りの人たちに聞いてみて下さい。
それで解決しなければ、ぜひ分かりそうな人に相談してみましょう。
Co-BusinessMateも、そうして仕事を続けています。

さて壁の攻略編は、今回で一旦おしまいです。
本当は個別案件についてのソリューションをご紹介したかったのですが、宣伝臭くなるので概論で止めておこうと思います。
長文にお付合いいただき、ありがとうございました。

視覚訴求の話が出ましたので、次回は「キービジュアルって何だ?」です。


3秒の壁って何だ?(攻略編 その2)

2024年09月02日 12時15分00秒 | あえて誰も言わない雑記
お客さまの注目を得るには、その商材を求める人が誰なのか?を具体的に知る必要があります。「3秒の壁って何だ?(攻略編 その1)
誰に向かうでもなく、ただ大声を張り上げても、ポジティブな興味で足を止める人は少ないでしょう。
自分が話しかける相手はしっかりと定めましょう。
さて、考えるべき2つ目の条件は「隣に並ぶ商材」です。
競合商品の事?と、そう思われたでしょうか?もちろん競合も含みます。が、文字通り、隣に並ぶものが何かを想定してみるという事になります。
 
◀群は注目されるが個は埋没する

【選択肢は“必ず存在”する】
最初に前提を確認します。
一切、他を考えず、常に全て決まったものだけを買う。そうした人はいないでしょう。
選ぶのが面倒なので、大体買うもの、行く店は決めている。そうした人でさえ購入体験全体を通してみれば、実に多くの場面で何らかの選択を経て購入を判断し、そして決定しているはずです。
逆に、あれこれと比較検討し、最も納得できるものだけを購入するという人もいるでしょう。
さて皆さんはどうでしょうか?
少なくとも買い物が楽しい!と感じた経験は誰にでもあると思います。
では「買い物の楽しさ」の本質とは何でしょう?
まずは自分の要望に相応しい選択肢を見出し、複数を比較、検討して最も満足できる商品を決める。いろいろ見て、試して、期待するメリット(ハッピー)を得た自分を想像する。それが買い物の楽しさではないでしょうか?
 
◀選択肢が買い物が楽しくする

つまり買い物(全ての商材)には、必ず他に選択肢となるモノ・コトが存在すると思われます。
そしてその選択肢の存在が、お客様にとっての豊かさに通じているのだと考えられます。
ではこの前提を踏まえ、「競合」という事を考えましょう。競合とは何でしょう?

【うちの商材に競合はない?】
もしかすると、そう考える事業者さんは意外と多いのかもしれません。
何故なら、過去、数多の国内事業者さんのプロモーションを拝見してきて、正しく競合を意識していた企業さんが稀だったからです。
商材の独自性を強く推し、他に比較して勝る。そうした主張を希望する場合が多かったように思います。
ひょっとすると皆さんにも、そうした独自性の主張があったりするでしょうか?



ここで改めて、私たちが考え進めている事を思い出して下さい。

3秒以内で。

その独自性の訴求は、行き交うお客様の足を止め、商材に目を向けさせるでしょうか?
製品、パッケージ、POP、陳列方法、広告…いずれにしろ、秒で伝わり、お客様の注目を得られそうですか?
競合意識分布図の「1」エリアの、さらに右上にマッピングされる商材なら、あるいは可能かもしれません。
さて、皆さんの商材はどのエリアにありますか?
そして隣に並ぶ商材はどのエリアにあるでしょう?
 
◀競合商品群が並ぶ

隣(記憶を含む)に並ぶ商材を想定して、何を訴えかけるべきか?を考えてみましょう。
どれだけ優れた独自の仕様や性能、造りへのこだわりも、全てはお客様が商材に気づいた後でなければ伝える事は叶いません。
そして競合とは、何も類似、代替品ばかりではありません。

前回投稿では知育玩具を例として取り上げましたので、踏襲して考えてみます。
現実的には、親が知育玩具を買い与えたいと考えても、子供が興味を示さなければ購入判断は厳しいものになります。
その場合、競合するのは図鑑や、自然に親しむキャンプになるかもしれません。
親は子供の知育(教育)が目的だからです。
また祖父母が購入者の場合は、ゲーム機やゲームアプリ、あるいは服やスニーカー、商業施設のイベントになるかもしれません。
祖父母は孫に喜んでもらう事が目的だからです。
 ◀知育玩具は超激戦区

すなわち御社製品を選択しなかった際に、お客様が選ぶ他のモノ・コトはその売場以外にも存在します。そしてこれらも全て競合なのです。
実のところ、競合は誰に何をどう訴求するかで変化します。
知育玩具を子供ではなく、高齢者に向けた脳トレツールと訴求すれば、競合はまったく違う相手となります。

【隣に並ぶとは?】
競合を含めて、売場には必ず隣に並ぶ商材があるはずです。競合になり得ない商材でも、可能な範囲でこれを想定します。
例えとして知育玩具・・・いえ、もう少し具体的にブロックを考えてみましょう。
競合意識分布図にマッピングします。



今、売場にはLブロックとRブロックがあります。
見ての通り、Lブロック一強と言える状況ですが、売場も取扱うからにはRブロックも等しく売りたいはずです。
なので、もろに競合するこの二つを並べるような事はしません。
Lブロックは専用の棚を作り、Rブロックは離れた別の棚にパズルや積木と一緒に置きます。
専用棚はお客さまにLブロックを強く訴求できます。
一方、Rブロックはパズルや積木を検討するお客様の選択肢の一つとして注目を得る可能性が生まれます。
パスタを買いに行って、横にパスタソースやチーズやワインが見えると、つい手を出したくなりませんか?
つまり関連商品として陳列すれば、注目を作れるという事です。
 
◀世界的なシェアを持つ強力な競合

しかし、Lブロックには隣に並ぶ商材がないのでは?
実体としては確かにそうなりますが、比較的知名度があり、よく似たデザイン性を持つDブロックや、12歳以上を対象としたNブロックなどが、お客様の記憶や購入体験にあるかもしれません。
つまり単独の売り場では、常にお客さまの記憶や購入体験が商材の隣に並ぶ事になります。

「商材が置かれる環境」を可能なかぎり想定しましょう。
もちろん全ての状況を事前に確定できる訳ではありません。
重要なのは「想定する」という事です。
前稿の「それを欲する人」もそうですが、初手から正確な設定など誰にも出来ないと思います。
結果として、想定と違えば、何が?どの程度?どう違ったのか?を知る事が出来ます。
ただし想定の無いまま幾度同じ事を繰り返しても、成果を上げるための正答は決して得られず、場当たり的な対応となります。
店舗データの取得も、解析もより確度の高い想定を得るためのものです。
 ◀客観的データが想定の確度を上げる

プロモーションはコミュニケーションですから、一方的に自分の事を発信するのではなく、お客さまや売場、そして隣に並ぶ商材を知ることから始めましょう。
“彼を知り己を知れば…”の故事ではありませんが、相手と自分が解れば絶対に負けはありません。
「隣に並ぶ商材」が見出せたら、そこから訴求を考え、認知の壁を超える武器としましょう。

壁の攻略編その2では「隣に並ぶ商材」について考えてみました。
競合や隣にあるモノ・コトを想定するという事は、お客様の意識を、そして皆さん自身の買い物体験を考えるという事になると思います。

次回、壁の攻略編その3では「その時点での既視性」について考えます。


3秒の壁って何だ?(攻略編 その1)

2024年08月23日 20時30分17秒 | あえて誰も言わない雑記
3秒の壁とは「販売」に至るための入口です。
スタートラインと言っても良いでしょう。
商材の「存在」を欲する人に気づかせる。たったそれだけの事が近年では難関なのです。だからこそ壁と呼ばれるのでしょう。ともあれ、この壁は必ず突破する必要があります。でなければ売るためのスタートラインにすら立てませんからね。
そこで3回に分け、その攻略を考えてみたいと思います。壁の突破とは単純な話、お客様の「注目を得る」という事です。
 
◀お客様に気づいてもらう。その壁は高い

【“必要”を繋げる】
単純な話、存在に気づかせるなら「目立たせれば良い!」と思うでしょうか?
間違いではありませんし、そうした意図の広告や展示、パッケージを目にする機会も多いように思います。問題はその目立たせ方です。
言うまでもなく「悪目立ち」でも良い!とする手法はお勧めしません。炎上マーケを含め “危機感を煽る” “大げさに効果を謳う” “商材と無関係の話題で釣る” など故意に誤解や意識の隙を狙うような手法は、別機会として今回は除外します。
期間限定の売り抜けではなく、中長期的に成果を上げ続ける事を目指す正攻法での攻略を考えてみましょう。
 
◀ネットには気になる情報が…?

まずは前提として「壁」を超え、商材に気づかせたところで、それで売れる!とはなりません。
「店舗データって何?」(解析編)の「購入システム」の考え通り、最初の判定(壁)を越えた後にも、さらに2つの判定に当選し、最終的に購入の検討に辿り着かねばなりません。そこでそのために“必要な要件”を「購入」から逆算して考えます。



購入には → 「十分な購入動機」が必要
購入の検討には → 「十分な必要性や好感」が必要
必要性や好感を得るには → 「十分な興味」が必要
興味を得るには → 「求める人に向けた訴求」が必要
求める人に向けた訴求 → 「注目」の可能性が生まれる
つまり、お客様の「注目を得る」には、単に目立たせるという事ではなく、その商材を必要とする、あるいは好むであろう人に向けた訴えかけが必要になるわけです。

【商材を求める人とは?】
今、自社の商材を欲しがる(求める)、その可能性があると思われる人に向け、訴求を考えましょう。けれども、いったい具体的には何をどうすれば良いのでしょうか?
当然、商材や販売フェーズ、事業環境により異なりますが、いずれにしろ共通した「考えるべき条件」と呼べるものが3つあります。

1. それを欲する人
2. 隣に並ぶ商材
3. その時点での既視性

まずは「それを欲しがる(求める)人」をきちんと想定
 ◀誰が何故欲しい?
これはいわゆるターゲット層の設定とは違います。
ちなみに事業者さんにターゲットを尋ねると「30~40代の女性」「海外の富裕層」といった答えが多く返ってきます。ただ、こうした答えは単なる希望販売先であって、現状に整合しない場合が多いように思えますし、訴求相手と定めるには範囲が広過ぎます。
「誰が?」だけではなく、その人は「何故」それを求めるのか?をセットで考えましょう。

例として、仮に知育玩具を考えます。
 
◀親以外の購入者カテゴリーとは?
◆ 知育玩具を欲しがる(求める)人とは主に「誰」でしょう?
 ・子育て中の両親 (30~40代)
 ・孫のいる祖父母 (50~70代)
 ・子育て中の知人や友人がいる人 (30~60代)
◆ その人は何処にいる?
つまり「何処」で「いつ」購入するか?要は購入の機会と方法(場所)の想定です。
子どもと一緒か?別なのか?により、主な購入機会は変わります。
 ・誕生日、記念日
 ・子供が来た時
 ・子供を訪ねる時
 ・子供と売場に行く時
都市部か地方(遠隔地)かにより、主な購入方法(場所)も変わります。
 ・大型商業施設
 ・オンラインショップ
 ・専門店
◆ その人はどんな価値観を持ち、どのように暮らしている?
商材の特徴、仕様、価格との親和性になります。主に「何」を重視し「どのように」購入判断を下すのかを想定します。
 ・安全
 ・素材
 ・知育実効性
 ・既存の評価
 ・メーカー、ブランド(または生産国)
重視する価値観と経済事情の兼ね合いを想定します。
 ・余裕あり
 ・多少の余裕あり
 ・余裕なし

これらの想定から商材を欲しがる(求める)人を考えます。
商材例:1)樹脂製のカラフルなブロックで価格帯が数千円なら…

子育て中の両親かもしれません。
子育て世代は経済的な余裕がありません。
安全性を重視するでしょう。
素材も重視されそうですが、子供が興味を示さなければ買いません。
売場は大型の商業施設か、オンラインになるでしょう。
購入の機会は特別なイベント事がなくても買ってもらえそうで、頻度も望めそうです。

商材例:2)木製の海外ブランドで価格帯が2万円以上なら…

両親の希望を受けた祖父母か、経済的余裕のある両親かもしれません。
自然派志向で、ブランドやメーカーは重視するでしょう。
インテリア性も重視され、子供は少しの興味さえ示せば購入するかもしれません。
売場はセレクト系の専門店か、オンラインになるでしょう。
購入の機会は節目となるイベントや、特別な機会でそれほどの頻度は期待できないでしょう。

一口に、知育玩具と言っても想定が少し異なれば、それを欲しがる(求める)人も異なります。人が違えば優先すべき「言い方」「見せ方」「置き方」と「場所」が変わってきます。
ただ人通りが多いという理由だけで、ビジネス動線となる場所にPopUpストアを出店し、高額な知育玩具を置いたとして、皆さんには行き交う人達の足が止まる場面が想像できるでしょうか?
今、それでも足を止めようとすれば、どんな訴求が必要になりますか?
必然、そこに在る人と、その人達が求め、好むものが何か?を想像する必要があります。

壁の攻略編その1では「商材を求める人」について考えてみました。
商材のコンセプトや訴求すべき対象者が見えない商材をただ売場に並べても、ほとんどの場合、消費者の目には止まらないと思われます。

次回、壁の攻略編 その2では「隣に並ぶ商材」について考えます。


3秒の壁って何だ?(概略編)

2024年08月09日 20時00分00秒 | あえて誰も言わない雑記
それが、自分にとって必要か?好きか?などの判断。
人はそれを3秒以内で決める。と、そう言われています。いつから誰が言い始めたのか?は判りません。ただメディア関係者をはじめ、一部の業界関係者はこれに異を唱えません。実感としての覚えがあるからです。

【自分の日常を思い出す】
話を皆さんの日常に移しましょう。
皆さんはスマホで何某かの情報にアクセスした際、順にじっくりと全ての内容を吟味するでしょうか?
あるいは雑誌や新聞の記事はどうでしょう?
 ◀全ページは注目しない
服を見に入った店舗で、端から全商品をチェックするでしょうか?
レストランを探す時、またはメニューで注文を決める時はどうでしょう?
いずれの場合も、ざっと見渡して、必要性や好みで注目すべきものを選びますよね?
しかもその行動は特に意識的ではないと思います。
そうして最初の選択肢になったモノが「3秒の壁」を超えた情報です。
 ◀全SNS投稿には注目しない
「3秒」と言いつつ実際には、1秒程度でこれを決定している事も多いかと思います。決して最初から詳細な内容の吟味などはしません。何かを探す時のご自身の振舞いを思い出して頂ければ納得できるのではないでしょうか?

結論として、3秒判定に当選しなかったモノ(情報)は存在しない事になります。
皆さんもスっ飛ばした情報が何か?なんていちいち覚えていないでしょう?

【壁はどんどん高くなる?】
話を表題に戻します。
特に意識することなく皆さんは日々、膨大な情報の取捨選択を行っています。
2006年、総務省は報告で選択可能情報量(98.8%はネット情報)は、1996年からの10年間でおよそ530倍に増加し「情報爆発」と定義しました。この時点で、すでに個人が処理する情報量を超えつつある、との見解が各方面に散見されました。
現在、国内の情報流通量(トラフィック)は2006年の約55倍です。もし今「選択可能情報量」なる概念を情報流通量に比例すると考えれば単純計算で、17年間で29,000倍に増加したと言えます。そして当然ですが、これはこの先、世界規模でにさらに急拡大していくと想定されます。
出典:総務省(令和6年版 ICT白書)
数字の話はさておき、では一体この話題の何が問題なのでしょう?
3つあると考えます。

1)情報のほとんどは切捨てられる
2)国内のビジネスパーソンに、その意識が薄い
3)情報の発信側に回ると情報は全て届く!を前提に考える

爆発的な情報流通量の増大により取捨選択というよりは、主に情報の切捨てが行われるようになりました。情報のほとんどは「3秒の壁」を超える事なく次々に切捨てられ、その現状認識がないままに、多くの個人と組織が情報発信を続けています。
日本の会社さんはプロモーションが苦手、、昔からそんな話をよく耳にしました。時には当事者自らがそう宣言(何故か少し嬉しそうに?)します。これを裏付けるような一つのデータがあります。
各国企業におけるパーソナルデータの活用状況(出典:総務省令和5年版 ICT白書)

パーソナルデータの活用とは、つまり情報を伝える相手を知り、伝え方を考えるという事です。
日本は「ある程度」を含めても活用が53%弱と低水準です。が、問題はそこではありません。
約30%の企業が活用の意義を感じていないという事実です。他国が10%前後なのでこれは「突出」と言って良いでしょう。
自分の事は知って欲しいが、その相手には興味がない。
「プロモーション = コミュニケーション」と考えるなら、日本の企業はプロモーションが苦手と言われても仕方がないのかもしれません。
 ◀壁の向こうにいる相手は?
相手を考えず、一方的に自分を語る情報発信で、3秒の壁を超えるのは厳しいのではないでしょうか?
かつて消費者が積極的に製品情報を求め、評価したのは30年以上も昔の話です。当時は高性能、高品質、希少性など優位な点を謳えば、物やサービスは売れました。要は購買動機を提供するだけのプロモーションです。その成功体験が今も多くの人の心に残っている気がしてなりません。
市場情報(製品・サービス)は労せず手に入るようになりました。常に推奨する提案もなされます。また誰もが簡単に情報を発信できる環境を手に入れました。必然的に今も情報の選択性は拡大を続け、ますます商材は選ばれ辛く、壁は高くなり続けているのだと思います。

【今、必要な事】
現在、情報発信に成功する人は限られています。
いったい何が必要なのでしょう?
一方で、
「~すれば良い」と回答する人達がいます。
他方で、
「ECは何処に出せば良いですか?」
「SNSはどうすれば注目されますか?」
「ネット広告は何処が良い?」
「若い人に売るには?」
「富裕層に売りたい!」
そう尋ねる(最後のは宣言ですね)人達がいます。
仮に「~すれば良い」が在るなら、その方法を共有する全ての人が成果を収めるでしょう。
当然ですが、百社には百様の環境があり、その解法は個社個社によって異なります。
 ◀全ては「注目」されてから!
ただし成果を目指す入口は明確です。
それは必要とする人に「見つけてもらう!」です。
そのためには何をどう考え、どう行動すれば良いのでしょうか?

次に「壁の攻略」を考えてみたいと思います。


店舗データって何?(解析編)

2024年08月02日 23時06分03秒 | あえて誰も言わない雑記
モノやサービスを売る際には、その買い手(お客さま)を知る必要があります。
そして皆さんには豊富な買い物体験がありますので、つまりは買い手の立場に立った販売を想定できると言えます。さらに客観的な裏付けとしての店舗データを活用できれば、より確実に成果を得る可能性が高まるはずです。
そこで店舗データを有効活用するためにも「買う」という行動を、個人の経験から漠然と想像するのではなく、一つの仕組み(システム)として考えてみたいと思います。


POS分析が示せる範囲は「購入」の赤丸部分のみ。その他のピンクが動線追跡による分析範囲。
広大な範囲を占める非購入者の行動を知る事が成果を出すための重要なカギになる。

【購入者の心理推移】
1.見つける(注目の獲得)
皆さんが何かを買う時の、最初の行動とは何でしょう?
まずは商品(サービス)を探す。ですよね?
購入すべき商品(銘柄)が決まっている場合でも、選択する場合でもそれは変わりません。
リアルでもオンラインでも売場に行って必要な(好みの)商品を見つける事から買い物は始まります。
 ◀市場には必ず競合商品が存在する
厳密には売場(ショップ)選びも必要ですが、今はシンプルに商品の購入という行動に絞って考えます。
理想は、目当ての商品がすぐに見つかる(銘柄が決まっている)、あるいは目的に適う商品が見つかる、です。
逆に売る側は商品に気づいてもらえなければ、その商品自体が存在しない事になります。
 ◀客の購入選択肢に入るのか?
皆さん自身がそうであるように、通常、消費者は1、2秒…長くとも3秒以内で、それが目当ての商品か否かを判断します。現在はこの判定、つまり特定の商品を認識させる事が最大の難関なのです。これが所謂「3秒の壁」と呼ばれるものです。

2.興味を持つ(興味喚起)
目当てと思しき商品が見つかると、次にその商品が自分にとって本当に必要か?あるいは好きか?を判定します。銘柄が決まっていれば購入判定に進みますが、そうでない場合、デザインや特徴などを競合品と比較検討します。どの程度の検討がなされるかは個人差があるでしょうが、皆さんもよく分からないままに、ただ最初に目についた商品を買い物カゴに入れるような買い方はしないと思います。
ちなみに競合品は何もその場にある商品とは限りません。記憶にある商品も含みます。覚えがないですか?
 ◀他の商品に興味が移る事も…
つまり売る側は、ごく短時間(数秒)で消費者の興味を喚起させるコピーライト、パッケージデザイン、陳列、POPなどが必要になります。そう考えると「注目の獲得」と「興味喚起」はセットである事が解ります。ただし獲得の順序が違いますので、そこは強く意識する必要があります。

3.購入の決断(購入動機の提供)
実際に購入するか否かの判断は、一定の興味(必要性)に満足を得ている事が前提です。
その上で商品を手に取り、より詳細に製品仕様を確認します。価格を確認し、妥当性を肯定できて「買い物カゴに入る」になるでしょう。
 ◀手に取る=購入の可能性
あるいは妥当性を見出せず、購入を取りやめるか保留にするケースも少なくないはずです。
売り手の気持ちとしては、来店した以上は買って欲しいところです。逃してはなるものかと即断を迫り、それで売ったという経験があるかもしれません。しかし売り手に説得される買い物体験は、消費者から常に好ましいと思われるとは限りませんよね? はたして皆さん自身はどうでしょう?

【分析と解析】
人が相手である以上、購入システム(購入心理の推移)に例外はありません。国も時代性も無関係です。ただし、システム内の何処を問題にし、また重視(優先)するかについては、個社と市場の環境が大きく影響します。
店舗データの「分析」は現状を客観的に知るためです。数値やトピックス(製品に関する話題)により現状のシステム構成を明らかにします。
次に解析ですが分析結果を基に、システムの問題点と重要視すべき点を論理的に明らかにする作業となります。基本ロジックは先の購入システムを利用します。実は動線追跡リサーチの仕組み自体もこれを礎に設計されています(前投稿の推移グラフを参照)。
またどのように解析するかについては各社のトップシークレットです。同じような調査データを得て、成果に差が出るのは解析の差によるかも?しれません。(あるいは施策の優劣かもしれませんが…)
 ◀デモデータを統合して解析
例えば分析の結果、
  • 注目されない → ターゲット層が注目する周知を改善施策
  • 興味は得られるが、手に取られない → 興味の育成要素を変更・追加
  • 手に取られるが、カゴに入らない → 購買動機の提供、価格妥当性の再確認。
など、得られたデータを基に個社環境と目的とする市場環境を鑑みて推定していきます。
ただ残念ながら、分析で満足し、それで終わる企業さんが少なくないそうです。
私たちは、店舗データの取得はあくまで成果を出すために実施されるべきとの考えから、必ず解析報告を添付するようにしています。

【結び】
自分が消費者の立場で具体的な満足や不満を挙げる事はできます。
けれど、いざ自分が売る側に回ると、自社の販売条件は動かし難いと考え、買い手を自社都合に合わせたい…そう考えるのも仕方ない事なのかもしれませんね。
データから課題や問題点が判明しても、対応策を講じられない事情もあるでしょう。
 ◀最低1月分のデータ量は必要
常に短期間での収益を求める経営戦略にとって、データの活用はあまり相性が良くないかもしれません。最低限のデータ集積と分析、解析にも一定の期間を要します。また改善施策の準備とその実施にも時間が必要でしょう。つまりデータの活用とは、そもそも中長期的な事業展望がないと活かしづらい。という結論になります。
せめて半年~1年後の事業目標を見据えての利用が望ましいと思われます。

次回は、3秒の壁を超えるには?
「注目の獲得」を考えてみたいと思います。


店舗データって何?(概略編)

2024年07月26日 20時00分00秒 | あえて誰も言わない雑記
近年、日本でも市場調査(マーケティングリサーチ)が可能な店舗(常設もしくはPopUpストア)というのもが増えているようです。なかでも2000年に上陸した「b8ta」は、よく知られていると思います。そして現在では、リサーチ主体の体験型店舗だけでなく、販売を主とした売場などでもデータ収集と提供を謳ったサービスがあるようですね。
 ◀動線追跡が可能な体験型店舗
「データが取れる」という事に興味を持つ経営者の方は多いようで、私たちも過去に何度かそうした店舗を利用しました。そこで改めて「データが取れる」とはどういう事なのか?を考えてみたいと思います。何故なら「店舗データ」が示す意味、そしてそれらデータの活用については、存外、理解が浅く、なかなかその後の事業成果に結びつけられないといったケースが多かったという印象があるからです。

【店舗データあれこれ】
1.POSシステム
店舗データとして、最もよく知られるのは「POS(販売時点情報管理 )システム」でしょう。
これはその名の通り、実際に販売が成立した時点でのデータとなります。
POSの活用は、CVS(コンビニ)がその母体であるSM(スーパーマーケット)の売上を凌駕する躍進を遂げるに至った主要因とされます。その後はPOSレジの普及により個人でも販売データの取得が可能となりました。
POSから得られたデータは、効率的な仕入れや在庫の管理に利用できます。
 ◀レシート枚数も重要基軸の一つ
データには、商品とその販売数や価格のほか、客数や日時、天候、顧客の年代や性別などのデモグラフィックデータなどが含まれます。以前は年代や性別を店員さんの主観で手入力していましたが、現在はAIカメラによる判定が主流で、これがまた相当に正確だったりします。年齢不詳と言われる筆者も一発で実年齢を判別されました 😅 
またID-POS分析により顧客の特定(ポイントカードはお持ちですか?ってやつです)も可能となり、感覚に頼っていた頻度の数値化も実現され、売れ筋と頻度品を正確に判断できるようになりました。

2.AIカメラによる動線追跡
 ◀商品毎のデータ取得が可能
近年、重要な店舗データのひとつに顧客の動線(挙動)追跡があります。
顧客が店舗内をどのように動くのかを追跡する事で、特定の商品(棚)にコミットしたか?しなかったか?を判別します。POS同様、デモグラフィックデータの取得が可能なAIカメラもあります。
動線追跡は主に購入に至らなかった顧客の「心理フェーズ」の解析に利用します。
要は、商品に気付いたか?() 興味を持ったか?() 購入を検討したか?() などを数値化するというものです。
上の推移グラフは店舗全体の動線データを分析した一例ですが、実に多くの人が商品に気付きながらも、その半数しか興味を抱かず、さらに購入を検討した人は数%だったという事実が解ります。そして実際に購入(POSにデータを残す人)する割合は、さらに少ないのです。

3.デジタル端末(スマホ、タブレット、PC)の位置情報
スマホの位置情報を利用する事で、店舗外の人流を知る事が出来ます。
 ◀Wi-Fiのアクセスポイントなどで取得
もちろん全ての人の位置情報を取る事は出来ませんし、法的な問題もありますが、仮に1割程度であっても人通りの何%が入店したか?などを気象条件や時期、時間帯とともに知る事ができます。

4.アンケートや聴き取り(定性データ
アンケートの自由記述や聴き取りによって顧客から直接得られるデータですが、これはやや取扱いの難しいデータと言えます。
設問や接客の在り方によりデータの信頼度も変わってきますし、取得データの解析にも特別なスキルを必要とします。しかしながら、非常に重要で有力な情報である事に間違いはなく、特に商品やブランド(店舗)のファンから得られる情報というものは非常に貴重です。逆に大量サンプル数のデータを平準化するリサーチのみで、個社が現在のマーケットを切り開いて行く事はひどく難しいかもしれません。
 ◀回答を話題と是非で定量化
私たちは比較的少ないサンプル数や短いリサーチ期間で得られた定性データを、複数のTOPIX(話題)で切り分け、是非のランクで定量化する事である程度のマーケット傾向を読み取るノウハウを持っています。

5.結論
店舗データについて最も重要な事は「データの取得」ではありません。
「データから~が解った」
で終わっては何ひとつ解決はありませんし、また活かせない情報を得ても意味はありません。
もしPOSデータの活用によりCVSが飛躍したのであれば、全てのCVSが躍進したはずです。皆さんが知る事実はどうでしょうか?
データとは単なるツールでしかありません。その使い方こそが重要となります。
使い道は大きく分けて、以下の2通りになると考えます。
「自社の都合が有利になるように使う」
・例)在庫を絞り、発注を絞り、売れ筋と頻度品を増やし、低頻度品は扱わない
「顧客の都合が有利になるように使う」
・例)顧客タイミングを考慮した発注と品出し、一定頻度が在れば品揃えを増やす
もちろん二極に分けて、どちらを選択するのか?という話ではありません。
前稿でもお話しました通り、事業の躍進にはお客さまの事を知る必要があります。
店舗データは、そのための一つの術であると私たちは考えます。

次回は、物を「買う」という行為について考えてみます。


購買心理と販売心理

2024年07月19日 20時00分00秒 | あえて誰も言わない雑記
 過去に買い物をした経験がない。
お金の使えない幼児を除けば、おそらくそんな人はいないでしょう。
しかし商売の経験がない。つまり製品やサービスをお客さまに販売した経験がない。そうした人は確かにいるかもしれません。
私たちが事業者さんからよく聞くセリフとして、
「作る事は得意だが、売り方がよく解らない」
「良い商品だが、宣伝が苦手」
というのがあります。
どちらも非常に率直で、何ら矛盾のない申告のように思えます。つまりは期待する販売実績ではない自覚から、そうした自己評価になったのでしょう。そしてこれは何も規模の小さな企業さんに限った話ではありませんでした。
広報などの専門部署を持つ、それなりの規模の企業さんであっても同様の申告があり、またそうした企業さんはブランド名やスペックの訴求ばかりを最重視するPRの希望が多かったのです。
つまりは自己申告の通り、売り方やプロモーションが苦手だったのです…
 ◀最重視すべき訴求点とは何か?
今は訴求点云々の話は脇に置き、本稿の冒頭に戻って考え直してみます。
そう、買い物経験のない人はいない。という事です。
年齢やライフスタイルで違いはあれ、皆さんの買い物体験は何件くらいになるでしょう?数千?あるいは普通に万単位になるのではないですか?
それだけ多くの購入(個人)、購買(組織)を体験しているという事実を、先ずは思い出して下さい。そしてそこには様々なケースがあったはずです。
自分で調べて、人に勧められて、店員に聞いて、広告を見て、偶然見つけて、長い期間迷ってなど。
場所についても、個人店、量販店、セレクト系ショップ、百貨店などの実店舗だったり、あるいはECモールやフリマアプリなどオンラインであったり。
そしてそれらの体験には大小の満足や不満があり、時には大きな感動や納得を得た事でしょう。また逆に不快感や憤りを覚えた体験も含むはずです。皆さんは、それら買い物体験の良し悪しを、それなりに厳しい消費者の目線でジャッジして、日々を暮らしているのではないでしょうか?
「売る」と「買う」は真逆の構造でありながら、その表裏は一体で切り離して考える必要はありません。というか切り離せないのです。皆さんが消費者である以上は、売る事もまた考えられるはずなのです。
単純な話、あなたとあなたの周囲の人が持つ買い物体験の満足を採用し、不満を排除すれば必然、モノやサービスは売れるようになります。
要は、買う側の立場で売り方を決めましょう!という事ですが、それを実際の販売戦略(計画)や戦術(実践)に落とし込むには、「買う」という行動を今より「少し深く理解」する必要があります。
そしてその理解は、プロモーションのみならず、製品とサービス、売場の選択と商材の見せ方を考える上での必須要素となります。
 
次回は店舗データについてお話ししたいと思います。
ではでは。

オンラインミーティングは暫定会議?

2024年06月28日 20時30分00秒 | あえて誰も言わない雑記
コロナ禍をきっかけに、オンラインミーティングが普及し、今や特別なものではなくなりました。
距離的な制約がなく、移動時間の必要もないため遠隔地はもちろん、忙しい業務の合間にも打合せが可能。おそらく皆さまの中にも、労力やコストを軽減できるオンラインミーティングによる効率化を実感された方がいらっしゃる事でしょう。
  

ただそれとは裏腹に、できればオンラインではなく対面での打合せを希望する方もまた多いはずです。それはいったいどういった理由からなのでしょう?
以下にその代表的な理由として挙げられたものを列記しました。

 1)相手の表情がイマイチ分からない
 2)対面より疲れる
 3)必要な会話だけで相手の人となりが見えない
 4)アプリやデバイスの使い方がよく分からない

例えば、対面では聞き手の表情やちょっとした仕草から、自分の話がどう伝わっているのか?を想像しながらお話しますよね?
同様に相手の話を聞く際も、話し手の表情や身振りなどが内容を理解する上での重要な要素となっているはずです。
つまりオンラインを忌避する理由の 1) 2)は、微妙な表情の判別が困難だから。
と言えないでしょうか? 
実は 3)についても同じ理由なのだと思われます。
皆さんも表情が判らない相手と、必要以上の会話をする気持ちにはならないのでは?

 ◀表情が判り辛い

私たちもコロナを経て、実に多くの事業者さんとのオンラインミーティングを経験しました。
その結論として、相互に明るくクリアな映像、そして音声を通して行われるオンラインミーティングについては、上記1)~3)のストレスは相当に軽減され雑談も苦になりません。
しかし、残念な事に一部を除く7~8割の方はオンラインミーティングの環境については、ほぼ頓着が無いように感じられました。多くの場合、会話さえ可能であればその他の事は構わない。そんな雰囲気です。

カメラが天井を向いて逆光
・極端に顔が近い
・1台の端末を複数の人間が集まって使う
・通信状態が悪く途切れ途切れになる
・デバイスやアプリの操作で頻繁な待ち時間が発生する

皆さんも対面の打合せでは、事前の準備やスムーズな資料の提供、発声、身だしなみ等々、そこには相手に対する様々な気遣いがあるのではないでしょうか?
対面で当たり前の気遣いが、オンラインになると抜け落ちてしまう…
もしかするとオンラインミーティングは暫定的な措置でやむを得ない、そうした判断があるのかもしれません。
ただ多数の取引先を抱える人などは、一日に何件ものミーティングやプレゼンをこなすため、そうした人たちの印象はけっして良好なものではありません。


お金をかけて新しい機材を導入する必要はありません。今すぐに改善できる要点をまとめた動画がありますので、よろしければ参考にして下さいね?


冒頭で申し上げた通り、労力やコスト面で有利なオンラインミーティングが、この先、全て対面に戻るという事はないでしょう。同様に遠隔地への出張動機も多くの企業で変遷しました。
また世代が進み、経営者が若返るにつれて徐々にオンラインコミュニケーションへの依存率は高まっていくと思われます。
そうした中で「ウチはオンライン対応しない!」とキッパリ打ち出す事業者さんもいます。
もちろん事業環境は100社100様、それで事足りるのであれば無理にオンライン環境の整備を考える必要はありません。
ただ必要性は認めるが、ITは苦手でよく解らない…という人もいるでしょう。
そうした方は、とりあえず解る人を捕まえて聞いてみましょう!
かく言う私自身も実は苦手です…


大容量ファイルの受渡し方法は?

2024年06月22日 20時24分02秒 | あえて誰も言わない雑記
(2024年6月18日更新)
みなさんはお仕事を進める上で、写真や動画など比較的データサイズの大きなファイルの受渡しを必要とする機会はありますか?
広報やメディア関係の仕事であれば、そうした機会は日常的でしょう。ただそうした人でも大容量データの受渡しにおいては、思わぬトラブルに遭遇する場合があります。
送ったはずのものが届かない。
届いた写真の解像度や画質が劣化していて使えないなど…
また先方の対応によって、意外な手間がかかってしまう。といった事態も起こります。
大容量データの受渡しには様々な方法がありますが、要点は以下の3つになるでしょう。
  1. 操作がシンプルで分かり易い
  2. 容量や対応ファイルなどの制限が少ない
  3. 相手(取引先)の作業ストレスが少ない
結論として、ファイル転送サービスを利用するのが無難と思われます。
無料で使えるファイル転送サービスの中でも、先の要点を満たせるものとしてここでは「ギガファイル便」をご紹介しておきます。
「ギガファイル便」は、容量無制限(1ファイル300GBまで)で使い方も簡単です。
比較的シンプルな操作性で、アップロード、ダウンロードともにページの遷移などもありません。
アップロード:(ファイルの送り方)  
  1. ファイルの保存期間(3,5,7,14,30,60,100日)を選択します。
  2. 送りたいファイルを指定されたエリアにドラッグ&ドロップするとアップロードが始まります。複数ファイルの場合には「まとめる」ボタンをクリックします。あるいは事前にzipファイルにしておくのも良いでしょう。 
  3. アップロード完了後に表示されるURLをコピーし転送相手にお知らします。その際、ダウンロード期限をお知らせする事も忘れずに(必要に応じ「削除キー」もお伝えしましょう)
ダウンロード(ファイルの受け取り方)
  1. 知らされたURLにアクセスします。
  2. 「ダウンロード」ボタンのクリックでダウンロードが始まります。
  3. ダウンロード後、zipファイルは必ず解凍(展開)処理をします。
注意点としては、先の要点3.について見落としがちという事です。
先様が新しいビジネスパートナーとなる可能性がある場合などには、とくに注意が必要でしょう。
  1. 原則、ファイルは1つにまとめる(重複zip化に注意)
  2. 機密性を考慮の上、むやみにパスワード化しない
  3. 必要な保持期間を設定し、削除キーもお知らせする
自社の都合で使い慣れたwebサービスを利用した結果として、お相手に登録やログイン操作を要求するような方法は避けるべきと思います。
 
【その他の方法の注意点】
◆ メール添付によるデータの受渡し
複数の写真や製版用途の高品位データ、または動画などの大容量データはメール添付では送れない場合がほとんどです。メール添付可能なデータサイズの上限は利用しているメールサービスによってまちまちです。つまりあるメールアドレスに送れたとしても、違うメアドには送れない(受け取れない)…といった事は普通に起こります。
一例としてG-mailの添付上限サイズは、25MBと比較的大きなデータの添付が可能です。しかし送信先が許容する添付ファイルの上限が10MBだった場合は、添付ファイルが削除されるか、あるいはメール自体を受信しないという可能性があります。
目安として合計5~10MBを超えるデータを送る場合には、ファイル転送サービスを利用した方が確実です。
写真データなどを無理に圧縮してサイズを小さくしてしまうと、本来の画像品位を損なってしまいます。目的によりますが原則、オリジナルデータをそのまま送る事を考えましょう。
 
◆ SNSによるデータの受渡し
SNSやメッセージアプリでもデータの受渡しは可能です。ただし、これらのサービスは本来コミュニケーションを目的としていますので、データの受渡しには向いていません。
ほとんどのサービスでは、サーバーの運用負荷を減らすため、写真や動画データのダウンサイジング(間引きと圧縮)を行っています。
仮に設定を変更してデータ品位を維持しようとしても、オリジナルをアップロードできるとは限らず何某かの変換処理を施される可能性があります。
そのため必要なデータ品位を確保できない場合のある事を覚えておきましょう。
 
今回のお話は以上です。
ほんの少しの気遣いが、大きなお仕事に繋がっていくかもしれません。
相手に極力ストレスをかけない気持ちは大切にしたいものです。