NFTというと、アートや音楽を思い浮かべる人が多いでしょう。
確かに、アートや音楽の世界にはNFTが徐々に浸透しつつあります。
最近では、ファッション業界にもNFTの波が押し寄せているのです。
今回は、NFTファッションがどのようなものか、現在どんなブランドが参入しているのかをご紹介します。
現在NFTファッションや、NFT市場全体に興味がある方はぜひ参考にしてください。
■そもそもNFTファッションとは?
はじめに、NFTファッションとはどのようなものか説明します。
NFTファッションは、その名の通りNFT(デジタルデータに唯一性を持たせられるブロックチェーン技術)を活用したファッションのことです。
アート作品や音楽の海賊版が出回ることは問題視されるようになってきました。
著作権や真贋性をいかに確保するかが課題となっていたのですが、NFTの登場により課題を解決へと導けるようになりました。
ファッション業界でもその技術を応用し、盛り上がりを見せつつあります。
大手企業の参入によって、さらに盛り上がっていくことは予想されるのがNTFファッションなのです。
■NFTファッションにはどのような特徴がある?
次に、NFTファッションの特徴やメリットについて解説していきます。
・コピー品が出回ることを防ぐ
人気が高いブランドや廃ブランドの商品は、コピー品が横行しています。
真贋の判別は非常に難しく、問題視されていました。
しかし、NFTファッションであればトークンと紐づけを行ってオリジナルだと証明できます。
コピー品を本物だと偽って流通させることは難しくなります。
ブランド側は、利益を侵害されずに済むだけではなく、買い手側にとってもメリットが生まれるのです。
買い手のメリットには、偽造品を買わずに済むこと、オリジナルを所有したいというコレクター心理を満たせることなどが挙げられます。
デジタルファッションはもちろんですが、リアルなアイテムにNFTデータを読み取れるようなQRコードなどをつけておけば、オリジナルだと証明可能となります。
そうすることで、コピー品なのか、それとも本物なのかを判別しやすくなるでしょう。
・コレクションに最適
ファッションアイテムをコレクションしているという人も一定数存在します。
そのような人にとって、NFTファッションは魅力的だと感じられるでしょう。
同じようなアイテムをいくつも購入し、身に付けずに飾っておくことも悪いわけではありません。
しかし、近年注目されているSDGsの考え方や地球にやさしい持続可能な暮らしとは逆行するものだと思われてしまう可能性があります。
一方、NFTファッションの場合はデジタルデータなので廃棄物や有害物質を生むことがありません。
つまり、サステナブルなアイテムだと言えるでしょう。
実態もないので、たくさん持っていてもクローゼットなどを圧迫せずに済みます。
リアルなアイテムからNFTファッションへとシフトしていけば、無駄のない環境に優しいコレクションも実現可能となります。
・ブランドやデザイナーがロイヤリティを得られる
リアルなファッションアイテムの中には、プレミアがついて高値で取引されるものもあります。
ハイブランドのバッグやスニーカー、時計などが元値の数倍や数十倍で転売されるといった事例は少なくありません。
しかし、二次流通でアイテムの価値が高くなったとしても、ブランドやデザイナーが利益を得られるわけではないのです。
一方でNFTファッションなら、二次流通でもブランドやデザイナーにロイヤリティを還元できるように設定できます。
ブロックチェーン上で取引履歴が公開されて、照会ができるという仕組みになっているからです。
転売が繰り返されれば、その度にロイヤリティを還元できるようなプログラムを最初に組んでおくだけなので、面倒な作業は必要ありません。
■NFTファッションにはどのようなブランドが参入している?
NFT自体の注目度が高まり、NFTファッションも徐々に知名度が上がってきました。
そのような中で、ファッションブランドが参入するケースも増えてきたのです。
最後に、どのようなブランドが参入しているのか見ていきましょう。
・ヴィトン
ヴィトンは、2021年8月4日にアート作品を取り扱うNFTゲーム・LOUIS THE GAMEをリリースしています。
ブランドを創業したルイの生誕200年を祝うための企画で作られました。
ブランドのマスコットキャラクターとなっているヴィヴィエンヌが誕生日を祝う場所まで冒険するというストーリーです。
ブロックチェーンゲームとしては珍しいステージクリア制を採用しているのも特徴です。
すべてのステージをクリアすると、ゲーム内に出てくる30種類のNFTアートの抽選権を獲得できます。
NFTアートの中には、約75億円で落札されたことで話題になったBEEPLEという名のアーティストの作品もありました。
NFTアートを直接手にできるわけではありませんが、画期的なアイディアなのでブロックチェーンゲームの歴史における価値は大いにあると言えます。
・グッチ
グッチは、イギリスのNFTアートオークション・PROOF OF SOVEREIGNTYにNFTアートを出品したことによって話題を呼びました。
グッチの最新コレクションをデジタルアニメーション化した作品で、約218万円のスタート価格で出品されたのです。
売却によって得られた利益に関しては、すべてアメリカのユニセフに寄付することが発表されていました、
NFTファッションアイテムを出したわけではありませんが、今後は出品する可能性があると予想できるでしょう。
・Nike
大手のスポーツ用品メーカーであるNikeは、2021年12月にRTFKTを買収しました。
RTFKTは、バーチャルアパレル(デジタルファッションアイテム)を手掛けているデザイナーズグループです。
バーチャルスニーカーも手掛けていることから、Nikeは注目したと考えられます。
アーティストであるZaid Kirdseyとコラボした作品は、約273万円で落札されました。
そのような経歴を持つグループを買収したことから、NikeがNFTファッションを手掛けるのではないかという声も聞かれています。
さらに2021年11月には、オンラインゲームのプラットフォームであるRoblixとも提携を発表しています。
そして、NIKELANDというバーチャルワールドを設置したため、スニーカーでNFTファッションに関わっていくと予想できます。
・TERAPOD
TERAPODは、日本発のアートプロトタイピング集団です。
社会とアートを結び付けることをテーマとし、様々な関わり方に挑戦しています。
その取り組みの一つとして、NFTアートを活用したファッションアイテムを制作したのです。
アイテムの中には、NFTタグを付けたTシャツがあります。
Tシャツはリアルな世界にもある一般的なファッションアイテムですが、NFTのタグが付いているという点が他とは違うポイントです。
このタグが付いていることによって、誰がどのタイミングで購入したのかわかるようになっています。
品質や形状にアップデートが行われ、新しい商品が出た時は、前モデルのNFTを持っている人なら差額分だけで交換可能という点も魅力的です。
今回はNFTファッションの特徴や現在参入しているブランドについてご紹介してきました。
NFTは、様々な業界から注目を集めている分野です。
それは、NFTの技術が魅力的だと感じるからです。
真贋を見極めなければいけないハイブランドアイテムも、NFTの力で見極めやすくなります。
そのため、ヴィトンやグッチなどもNFTに参入しているのだと考えられます。
今後はさらにNFTファッションが身近なものになっていくと想定されるため、要チェックです。