祝婚歌 吉野弘
ふたりが睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気づいてるほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだとうそぶいているほうがいい
ふたりのうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと気づいているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったり
ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
ふたりにはわかるものであってほしい
この詩と出会って十数年経つが、いつ読んでも胸が熱くなり、涙がこぼれ出てしまう。
この詩はもともと吉野氏が、結婚する自分の姪のために書いたらしい。
吉野氏はこの詩の著作権は問わないそうである。
民謡のように(民謡には著作権がない。)皆に口ずさんでもらいたいからだそうだ。
普段思ってはいるものの、恥ずかしくて口に出せない事を飾らない言葉達で表した
この詩が僕は大好きです。
この詩のように毎日を過ごしたいとは思うけれど、とてもとても‥。
僕たち夫婦には子供はいないけど、将来、甥や姪の披露宴の親族代表のスピーチで(俺にやらしてくれるのか?)
この詩を朗読して列席者を「泣かせて。」 温泉に浸かったサルの様に凄く気持ちのいい顔をしてやろうか
と思っています。
吉野氏は他にも素敵な詩を発表していますが、他の詩は著作権が発生しますのでここでは控えさせていただきます。
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ヒデ→erikoさん
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