
なるほど、システィーナ礼拝堂の天井画500年と言うことか。去年のRaffaeloと並び、美術展ではイタリア・ルネサンスがちょっとしたブーム。
基本的にはシスティーナ礼拝堂の壁画がメインで、そのための習作デッサンの展示が多数。まあ500年も前の作家だから、10億のカトリック信者を束ねるヴァチカン公国の中心的建築物の壁画以外は目立った作品の展示はないが、基本的に彫刻家と言う認識だったので、絵画に始まり、建築設計、そして彫刻と多彩なところはまさにルネサンス期の芸術家。
当然ながら、礼拝堂の壁画の実物はヴァチカンからは持って来れない、複製パネルでお茶を濁すことになるが、その代わり4Kなる撮影方法で撮影された10分間のショートフィルムの映像が圧巻。なんと言ってもミケランジェロのすごいところは、躍動感のある人間の肉体美を絵画表現したところ。そのダイナミックな存在感こそが500年の時代を超えて語り継がれる作品になるのだが、逆に言えばその官能的とも言える肉体美で教会の壁画を埋め尽くした訳で、当時論争になったことは想像に固くない(実際、ミケランジェロの完成の後に別の職人が衣服を描き加えたらしい)。それでもミケランジェロ自身は当時から神格化されていたのだそうだ。それにしても、UKのプログレッシブハウスレーベル、Renaissance UKを知ってる人間には、ジャケットデザインでふんだんにミケランジェロの壁画が使われているので、タマラナイ展覧会。
帰りに常設展も観たが、スペインの現代アート(まあスペインにはピカソを筆頭にダリやミロ、あるいはガウディなどがいるから裾野は広いだろうね)とイタリア版画の企画展も入っていて、西洋美術館の常設展で楽しみにしていたロセッティ、クールベらの作品が観れなかったのは残念。