2、3日前、東京都のローカル局,MXで、神戸市の長田区の「再開発問題」がとりあげられていた。
長田区はもともと貧困者が多い地域で、住宅も「文化住宅」などが多かったので倒壊、焼失する家屋が多く、「震災」を機に、文化的でおしゃれな町にしようということで、予算2700億円を投じて、40棟近い新しいビルをつくったが客足がまったく伸びず、テナントとして入った被災者たちは、他の町に引っ越したいと思っても、物件が全く売れず、又貸ししようとしても、借りる人はゼロで、これでは「復興災害だ」と新語もできた、という話だった。
例によって途中から見たので詳しいことはわからないが、「売ろうとしている」のだから、店舗の所有者ではあるのだろう。ただ、昔の店舗との差額を銀行かなにかで借りているのでローンが残っているのだろう。
多分、復興担当の役人には、「とてもきれいなオシャレな店になるから、もし商売が不振でも、売れば大丈夫ですよ」とかなんとか言われたのだろう。
ところが、番組に出ていた不動産屋の話では、「もう17年経つのにひとつも売れていない」のだそうだ。
理由は、空き店舗の所有者である市が、80平米の店舗を1万円というむちゃくちゃな安値で貸しているため、新しい借り手、買い手が現れるわけがない、というのだ。
誰か借りてくれないと格好がつかないということでそうしているのだろうけれど、市が資産価値をゼロにしてしまっているのだ。
番組の話では、客足は昔の2割もいかないということだったが、だとしたら、客足が昔通り、せめて7、8割で止まっていたらなんとかなったという話なのだろうか?
役人たちはどうもそう考えているみたいで、「家賃一万円は自分たちの資産を犯すもの」という抗議にはまったく聞く耳を持たない様子だったが、一ヶ月ほど前のEテレのドイツ語講座で、ドイツのある新しく作られた街が紹介されていたが、そこは大変にオシャレな街で,住人も比較的裕福な人が多いのだそうだ。
しかし市の当局者だか、都市設計の当事者か、どちらだか忘れたが、「裕福な人ばかりの街ではバランスを欠くので、低所得者のためのアパートを建設中です」ということだった。
「貧乏人向け」というのはちょっと語弊があるかもしれない。
ここは、流動層向けとかそういう言い方でもいいと思うが、いずれにせよ、こういう発想が必要だったのだと思う。
役人たちの頭の中は、かつての貧しく,汚い街のイメージがあり、それをなんとかきれいにしたい,清潔にしたい、豊かにしたいという気持ちがあったのだと思うが、そういう発想は根本的にまちがえているのだ。
私は「復興災害」の番組を見て、またぞろ、Mさんのことを思い出した。
Mさんは、横浜市の市営住宅に住んでいたが、10数年前、そこが改築になり、セントラルヒーティング、洗濯室,乾燥室まで備えた高層マンションに姿を変えた。
当初は,家賃は据え置きだったので、なんとかやっていけたが、数年後から急上昇し、やがて家賃を払うことができなくなり、ホームレスになったMさんは,南原企画の新宿事務所に一週間、寝泊まりをした後,赤羽の4畳半に引っ越していったのだった。
これはその数年後に起きたサブプライムローンと同じ構造ではないか。
民間業者が利益のためにそうするのならともかく、「市」が何のためにそんなことをする必要があるのか。
「諸悪の根源は貧困にあり」とか、国連の事務局だか、保育局だか,IMFだかが言うのを真に受けた役人どもの妄想だ。
実際は、そんなことを言いつつ、彼らはキリストが「貧しきものは幸いである」と言ったことを知っているし、仏陀だって,孔子だって、マホメットだって、同様のことを言っていることを、まともな為政者なら知っている。
貧困退治は結構だが,貧困者退治になってはならない。
長田区はもともと貧困者が多い地域で、住宅も「文化住宅」などが多かったので倒壊、焼失する家屋が多く、「震災」を機に、文化的でおしゃれな町にしようということで、予算2700億円を投じて、40棟近い新しいビルをつくったが客足がまったく伸びず、テナントとして入った被災者たちは、他の町に引っ越したいと思っても、物件が全く売れず、又貸ししようとしても、借りる人はゼロで、これでは「復興災害だ」と新語もできた、という話だった。
例によって途中から見たので詳しいことはわからないが、「売ろうとしている」のだから、店舗の所有者ではあるのだろう。ただ、昔の店舗との差額を銀行かなにかで借りているのでローンが残っているのだろう。
多分、復興担当の役人には、「とてもきれいなオシャレな店になるから、もし商売が不振でも、売れば大丈夫ですよ」とかなんとか言われたのだろう。
ところが、番組に出ていた不動産屋の話では、「もう17年経つのにひとつも売れていない」のだそうだ。
理由は、空き店舗の所有者である市が、80平米の店舗を1万円というむちゃくちゃな安値で貸しているため、新しい借り手、買い手が現れるわけがない、というのだ。
誰か借りてくれないと格好がつかないということでそうしているのだろうけれど、市が資産価値をゼロにしてしまっているのだ。
番組の話では、客足は昔の2割もいかないということだったが、だとしたら、客足が昔通り、せめて7、8割で止まっていたらなんとかなったという話なのだろうか?
役人たちはどうもそう考えているみたいで、「家賃一万円は自分たちの資産を犯すもの」という抗議にはまったく聞く耳を持たない様子だったが、一ヶ月ほど前のEテレのドイツ語講座で、ドイツのある新しく作られた街が紹介されていたが、そこは大変にオシャレな街で,住人も比較的裕福な人が多いのだそうだ。
しかし市の当局者だか、都市設計の当事者か、どちらだか忘れたが、「裕福な人ばかりの街ではバランスを欠くので、低所得者のためのアパートを建設中です」ということだった。
「貧乏人向け」というのはちょっと語弊があるかもしれない。
ここは、流動層向けとかそういう言い方でもいいと思うが、いずれにせよ、こういう発想が必要だったのだと思う。
役人たちの頭の中は、かつての貧しく,汚い街のイメージがあり、それをなんとかきれいにしたい,清潔にしたい、豊かにしたいという気持ちがあったのだと思うが、そういう発想は根本的にまちがえているのだ。
私は「復興災害」の番組を見て、またぞろ、Mさんのことを思い出した。
Mさんは、横浜市の市営住宅に住んでいたが、10数年前、そこが改築になり、セントラルヒーティング、洗濯室,乾燥室まで備えた高層マンションに姿を変えた。
当初は,家賃は据え置きだったので、なんとかやっていけたが、数年後から急上昇し、やがて家賃を払うことができなくなり、ホームレスになったMさんは,南原企画の新宿事務所に一週間、寝泊まりをした後,赤羽の4畳半に引っ越していったのだった。
これはその数年後に起きたサブプライムローンと同じ構造ではないか。
民間業者が利益のためにそうするのならともかく、「市」が何のためにそんなことをする必要があるのか。
「諸悪の根源は貧困にあり」とか、国連の事務局だか、保育局だか,IMFだかが言うのを真に受けた役人どもの妄想だ。
実際は、そんなことを言いつつ、彼らはキリストが「貧しきものは幸いである」と言ったことを知っているし、仏陀だって,孔子だって、マホメットだって、同様のことを言っていることを、まともな為政者なら知っている。
貧困退治は結構だが,貧困者退治になってはならない。