NPO法人静岡県環境カウンセラー協会

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[会報4号] 雨と水の季節に

2004年09月13日 | 環境カウンセラー通信 しずおか No.4
雨と水の季節に
市民部門 小関 幸子/裾野市
 
今年7月の新潟豪雨、福島県田子倉湖上流での土砂崩れ、新潟県湯之谷村での雪渓の崩落の3件は、それぞれ人命に関わる事故となっていて、その発生場所は80km四方に収まる範囲で起こっています。決壊した刈谷田川の源流となる守門岳と湯之谷村の荒沢岳は南北直線に40kmの距離にあり、その結んだ線から田子倉湖までは15kmという距離でしかありません。新潟豪雨前夜の天気予報では、はっきりと新潟県から福島県にかけて雨雲がおおっている予測画面を出しており、これは来るな、という感じの強い印象を持ちました。いつもは当たるも八卦、当たらぬも八卦という見方をしがちな天気予報ですが、今年ほど同じパターンを繰り返して豪雨、暴風に襲われると、当たらないかも、とは思えなくなっています。
 昨今、地球温暖化防止がらみで、森林のCO2吸収効果ねらいから、「森林」がそこここでクローズアップされてきています。森林が持つ機能に、雨水を溜めて徐々に吐き出す水は川の源流となる、という項目がありますが、今回の降雨量は集中度から森林に染み込む許容量をはるかに超えたため吐き出されたもので、降雨量と森林の保水機能の限界を知るという課題を与えられたものと思われます。今年2月には、静岡県東部山沿いで積雪があり、北側に公道のある我家では翌日の日中に溶けきれなかった積雪わずか3cmを夜間凍結の前に取り除こうと水をまいて溶かしました。約1時間、水を出しっぱなしにしていたので、風呂のシャワーより強めに出していたとして、1分間15Lとして900Lの水(風呂桶3杯分)を使い、間口13m、幅1m、高さ3cmで0.39m3、約400Lの雪を溶かしたということになりました。たとえ、例年みごとな雪渓を見せる残雪で、日常の常識から推測すれば危険極まりない場所であると判断しなければならない場所に、あえて近づく人間の持つ自信とは、かくも命を守る本能を超越しているのかと思い知らされます。
 「環境」が「問題」となったとき、何か特別な能力を持って取り組む課題となってしまったような昨今ですが、生命に関するリスクマネジメントは誰にでも必要最低限出来なければならない訳で、野山に出かける人は特に自然の驚異を忘れない事を自覚したいものです。「環境」を正しく捉えることの意義が、まず生きることにありたいものです。
 もし、同じ降雨量が富士山周辺にあったらどうなるかと、つい考えてしまいますが、希望的観測の域を出ませんが、富士山麓は全部吸収し、三島楽寿園の小浜池および周辺湧水群はたちまち満水になると思われ、富士山はえらい、ということになるのではないでしょうか。裾野市(市民)は何もしないと公言してはばからない某団体は、富士山麓に植樹をし、各家庭が節水をすれば湧水量を取り戻すことが出来ると、機会あるたびに発言されています。日本一水道代が安い沼津市と、雑誌広告に大書される富士山麓は、家庭向け上水道事業は順調です。行政の立場からは、上水が売れなくて困る事になるわけです。        今年明らかになったもうひとつの事件で、温泉が実は水道水やただの井戸水だった事件がありました。温泉量には限界があると思うことというのが専門家の見解です。地下水だって限界があると考えるべきと思いますが、富士山麓の地下水の本当の構造は謎のままで、県も市町村も事業者にとっても、それはアンタッチャブルのことのようです。富士山の裾野をそっとめくって見たいものです。「小浜池を常時満水に」をライフワークに定めて活動をしていきたいと思っています。多くの方々のお知恵を拝借したいと思います。よろしくお願いします。

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