Let's Enjoy Kayak Life !

愛知県の三河湾周辺をベースに気ままなカヤックライフと娘と過ごす日常を綴るパパのブログ。

ニューモデル投入について。

2016年03月26日 | フィロソファー156

今年も各地で開花宣言~

桜の花びら舞う季節も、もうそろそろですネ☆

そして花粉

自分もすでにやられてます


さておき、

昨年立ち上げたカヤックメーカー

「ベイロマンス カヤックス」



現在は15.6ftのフィッシングカヤック「フィロソファー156」のパドリング仕様のみ。

そして、現在も引き続き足漕ぎバージョンの開発中~

そんな中、
足漕ぎユニットが完成するまでの期間を利用し、

早くも新しいラインナップを設ける事にしました☆


新たに加わるカヤックは、
長さ10.5ft(3.2m)の軽量コンパクトサイズ。

開発ネーム「XVエックスブイ



このカヤックの開発経緯について~


ちょっと長く、いやだいぶ長くなります

どうぞお付き合い下さいm(__)m







昨年の夏にフィロソファー156の市場投入。




その後各地で開催した試乗会にて多くの方々にも見て触れて乗って頂き、高い航行性能と、親子で楽しめるカヤックであると認識して頂いたと思います。









そして、
市販開始以降はオーナーさんから実釣報告、屋久島での性能テスト等、外洋でのカヤックフィッシングに威力を発揮している様子に嬉しくなりました。











開発時に狙っていた性能が、非常に良いバランスで形になったと我ながら思います。

ですが、残念ながら狙いと外れている部分もあり、現在でもその問題と向き合っています。

それは艇体重量。

開発当初の目標値は25kg以下。

そして現在の最軽量は28kg。
※標準仕様での数値。成形時の状況および、オプション追加により変動します。

現在、成形完了時の重量は25kg前後で安定しておりますが、その後の工程(カップリング、艤装等)で重量が大幅に増加しています。

冬場になるとこの傾向が顕著に表れるのですが、成形後重量が25kgを超えると完成時は30kgを超えてしまいます。

その1番の要因は樹脂の粘度です。



気温が低い冬場は成形時に使用する材料(ポリエステル樹脂)の粘度が上がり、ガラス繊維にまとわりつく樹脂の量が大幅に増加します。

この事が具体的にどう影響するか?

フィロソファー156の場合、

ハル(船底)面積→約6.5㎡
デッキ面積→約7.0㎡

トータル面積は約13.5㎡です。

成形時に使用する樹脂量はガラス繊維重量の約2倍がベストとされています。

1㎡当たり約600gのガラス繊維(ガラスマット#600)を使用し、1㎡成形するとしたら樹脂量は1.2kg使用する事になります。

なので、
1㎡当たりの重量はガラス繊維重量プラス樹脂量で、約1.8kgとなります。

これをフィロソファーに当てはめて計算してみます。

まずガラス繊維の重量から

13.5(㎡)×0.6(kg)=8.1(kg)

次に使用する樹脂量(繊維重量×2)

8.1×2=16.2(kg)

繊維+樹脂量トータル

8.1+16.2=24.3(kg)

フィロソファーを#600番のガラスマット1枚だけで成形した場合、成形後の重量は約24.3kgになります。

実際には#600番だけでなく、様々なタイプの繊維を複合的に使用するのでガラス繊維トータル重量はこれより多くなり、本来は樹脂量も多くなる計算です。
更には添加剤や充填パテ等も同時に使用するので総合的重量を算出するにはもっと複雑な重量計算が必要になります。

要するに最低限でもこのくらいの使用量があり、重量があるという事です。

ところが、
気温が上がる夏場は樹脂の粘度が下がる為、繊維重量の2倍で樹脂を使用すると樹脂が余る傾向にあり、逆に気温が低い冬場では樹脂が不足してしまうのです。

この結果、夏場に成形した物は軽く、冬場に成形した物は比較的重くなる傾向にあります。


現在成形完了後重量→25kg前後。。。

フィロソファー156でこの数値が何を意味するのか…

なかなか伝わらないし伝えにくい部分ですが、わかる人にはわかるであろう、実は驚異的な数値なのです…



ですが!!!!

理由はどうあれ、
そういった部分は結果的にオーナーさんへ負担を掛ける事となってしまうので、作り手としてとて申し訳無く、心が痛む部分です。

自分がオーナーだとしたら、やっぱり軽いに越した事はないと思いますので、
少しでも改善出来るように今後も改良を重ねていくつもりです。

ですが…

さすがに限界を感じている今日この頃…

オープンデッキをやめるか…

イケスを無くすか…

サイドの小物ホルダーを無くすか…

もっと全体的に小さくするか…


そもそもの表面積を減らす対策が必要だと感じております…





以上の様な経緯もあって、本来は軽くて丈夫という特徴を持ったFRP素材を、

もっとわかりやすく、しっかと表現したい!

こう思った次第です。



はじめはフィロソファー156を一回り小さくし、14ftクラスにサイズダウンする案を模索しました。

ですが、これは明らかに航行性能がダウンする選択です。。。

やるならばフィロソファー156同等、若しくはそれ以上の性能を兼ね備えたカヤックにしたい!

どうしたらそれが可能か?日々アレやコレやと悩み続け…

ものづくり人間の性とでも言いますか…

新しく作るものは過去に作ったものを必ず超えると思えないと、製作意欲が湧いて来ず…

最終的には今自分が持っているパフォーマンスでは現行フィロソファーを超えられないと判断。。。


もっと修行が必要です…



そもそも…

自分はカヤックを作る以前に、FRP素材の特性を活かした製品を作る会社の代表です。

とりわけFRPのハンドレーアップの手法で軽く作る事は誰にも負けない自信もあり、負けたくないという気持ちも常に持ちながら仕事にあたっています。

過去に作った物より確実に劣る物をあえて作る事はあり得ないし、常に良いものを追求するのが本来であり、少なくとも自分はそうしてきました。


ユーザー側からしたらどうでも良い話しかもしれませんが、自分的にはどーしてもこの思いを断ち切れず、
やるならば全く違うタイプだ!思うようになり、選択したのがFRP艇で恐らく最小サイズの10ftクラスです。

これまた、分かる人にしか分からない部分ですが、

カヤックは小さければ小さいほど流体に対する抵抗が大きく、高い航行性能を追求する事は極めて困難になります。

ちなみに、
フィロソファー156が速いのは長さの恩恵が最も大きいのです。

船底形状や船体重量が同じなら、12ftより14ft、14ftより16ftが速いのは物理的に当たり前の事。

長いカヤックが速いのは当たり前。

ならば、短いカヤックで速いのが作れたら⁉︎


軽くて~♪

パドリングがラクで~♪

そしてどっ速い~♪


そんなカヤックが作れたら面白くなるんじゃなかろうか~~☆


そしてようやく製作意欲が湧いてきました☆


問題は、
安定性を維持しつつ、どうやって高い航行性能を持たせるべきか?

そして人知れず、またまた思案する事数ヶ月。。。

その間いろんな案が浮かんでは消えていきました。

そんな中、ひとつの方向性が見えてきて、
今回それを具現化する運びとなった次第です☆

1/10模型↓↓↓




フツーのフィッシングカヤックに見える画像ですが、その中身はかなり特徴的です。

詳細は完成までお楽しみに~☆



しかし…

フツーに作ったらもっと楽なハズなのに、何で毎回毎回変わった事をしたがるのか…

自分自身に疑問が湧いて来ます



以上です。

長文にお付き合い頂き有難うございましたm(__)m


こんな感じですが、
今後も陰から応援、または時々覗きに来てくださいネf^_^;

追記
facebookではフィロソファー156を筆頭に、ベイロマンス カヤックスの取組みをより詳しく掲載しております。
こちらも是非ご覧ください☆