満月が笑う

警察が

無線を聞いて

いつもより驚いたよう

ほとんど全員が警察署へ向かう

その端の方で

誰かを待っている様子の女の子が

おかっぱでどこにでもいるような服装

満月をじっと見つめていたのに

警察が走り出した瞬間

涙を一筋流れ

両手で顔を覆い

しゃがみこんで

号泣しはじめ

次から次から来る警察は

報奨金だ懸賞金だと

みなが息を弾ませ集まり

1人の警察官が

その女の子を振り返り

またその警察官たちの方へ

ほかと同じ走り去って行きました。

満月は

ゆかこ

やっぱり戦争か

パパはおじいちゃんに言って

誰も信じてくれなかった

やっぱり戦争か

見つけたのはゆかこか

と

パパの授業の理科のテストで

最高点を取ったときと

同じ笑顔で

ハハハと大声で笑いました。

と

その女の子に

お話したようです。

その女の子のパパは

本当にたくさんの男たちから

理由なき嘘の罪を着せられて

暴力と悪口で死んでいった

その男たちのリーダーが

その警察無線で流れた

犯人の名前だとは

満月とパパと女の子しか

知らない内緒のお話でした。

パパは入院病棟で

みんなが

死亡保険金のパンフレットと

退職金死亡年金の紙をたくさん持って

大笑いして

女の子が病室の入口に現れた途端

笑いを噛み殺して

いつものように病室を

バツ悪そうに出て行き

パパのベットのそばに座った女の子に

理由なき何回もの

生きたままの拷問のような脳手術のあと

動けない点滴だらけの

動かない腕の手のひらを

女の子の両手に包むと

パパを心配してくれるのは

ゆかこだけだな。と

閉じることさえできない目から

一筋の涙が流れました。

いつものメールを終えて

これで逮捕だ。

着たままのジーンズのポケットから

やっぱりネットでトップに出ていた

リサイクルショップで買ったばかり

ビンテージのジッポで

タバコに火をつけて

ベットに置いた缶の灰皿

カーテンからの朝日を横目に

寝タバコダメだよね。と

細い煙をずっと見ている。

リラックスしすぎの

子犬たちは

いびきが聞こえそうなくらい

お散歩も忘れたように

安心してまだぐっすり眠っている。

パパは警視総監賞受賞の

警視総監だった。

女の子は

警視総監教育係に

見張られていた。

それだけだった。

事件被害者　みんな

DV被害通報及び

犯人家族捜査用身元固め　女の子

犯人による第一死亡者及び国家賠償判決非合法被災者　パパ

犯人　　パパの親友　戸籍の無い子の親

戦争　香港テロ及びアルカイダ国の同一団体による戦争

日本北海道本部函館

永久無罪天王宮内