異議申立書
平成26年11月7日
文部科学大臣 殿
東京都品川区東五反田1丁目2番38号
宗教法人幸福の科学法務室
申立人代理人弁護士 佐 藤 悠 人
同 水 谷 共 宏
栃木県那須郡那須町大字梁瀬字扇田487番地1
申立人学校法人幸福の科学学園
代表者理事長 木 村 智 重
申立人は、以下のとおり異議を申し立てる。
第1 異議申立てに係る処分
申立人が行った幸福の科学大学の設置の申請に対する平成26年10月
31日付の不認可処分(26受文科高第1465号、以下「本件処分」とい
う)
第2 異議申立てに係る処分があったことを知った年月日
平成26年10月31日
第3 異議申立ての趣旨
「本件処分を取消し、幸福の科学大学の設置を認可する。」
との処分を求める。
第4 異議申立ての理由
1 本件処分の理由
(1)処分の経緯
平成26年10月29日、「大学設置・学校法人審議会 大学設置分科
会」は、「学校教育法」(昭和22年法律26号)83条1項、「大学設置
基準」(昭和31年文部科学省令28号)19条1項及び2項に基づき、
申立人が認可申請していた幸福の科学大学(以下「幸福の科学大学」と
いう)の設置を「不可」とする答申(以下「本件答申」という)を行い、
文部科学省は、同日その内容を公式ウェブサイト上に公開した。
これを受けて、文部科学大臣は、平成26年10月31日、本件処分
を行い、同日、申立人に通知した。
本件処分は、その理由として、大きく以下の二点を摘示している。
(2)「霊言(霊言集)」の存在
第一に、幸福の科学大学の背景に、以下のとおり、「霊言(霊言集)」
が存在していること。
ア 申立人が設置を申請した幸福の科学大学の必修科目である「創立者
の精神を学ぶⅠ」及び「創立者の精神を学ぶⅡ」、並びに人間幸福学部
の自由科目の「幸福の科学経典学A」、「幸福の科学経典学B」、「幸福
の科学経典学C」、「幸福の科学実践教学」及び「説法・修法実習」に
ついて、その科目の内容と創立者である大川隆法総裁(以下「大川総
裁」という)の著作が深く関連していることが明らかである。
イ そして、大川総裁は、「ある意味での(霊言の)『科学的証明』をし
ていると思っています。」とその書籍(「幸福の科学大学創立者の精神
を学ぶⅠ(概論) ―宗教的精神に基づく学問とは何か―」)で述べて
いる。
ウ しかし、「『霊言(霊言集)』については、新聞に全面広告として掲載
された事実により『妄想や虚言、詐欺などと思われないだけの社会的
信用がある』」とはいえず、「一般化・普遍化されているとはいえない
ため、学問の要件を満たしているとは認められない」。
また、「『霊言(霊言集)』は、大川隆法氏のみが行えるとされており、
科学的方法に基づく実証可能性や反証可能性を有しているか否かとい
う点でも疑義があるため、このような『霊言(霊言集)』を根拠とした
教育内容そのものが学問として認められるものではなく、専門の学芸を
教授できる体系的な教育課程の編成が可能とは認められない」。
エ したがって、「学校教育法第83条第1項の『学術の中心』としての
大学の目的を達成できるものとは認められない。
また、大学設置基準第19条第1項の『体系的に教育課程を編成する』
及び同条第2項の『専門の学芸を教授し、幅広く深い教養及び総合的な
判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮』の各要件を満
たしているものとは認められない」。
オ そこで、「設置の趣旨・必要性、教育課程」については、
(Ⅰ)「霊言現象」が、科学的方法による実証可能性や反証可能性を有
しているか否かという点に疑義がある
(Ⅱ)「霊言現象」が、一般化・普遍化されているとはいえず、学問の
要件を欠いている
(Ⅲ)宗教的精神が建学の精神の根底にあること、創立者が「霊言現
象」の科学的証明を試みている旨を明らかにし、その創立者の精神
を学ぶ授業及び僧職者を養成する課程が存在している
(3)“不正の行為”
文部科学省に対して、“不正の行為”が行われたこと。
すなわち、第一に、文部科学省宛てに「『下村博文守護霊の霊言パー
ト2』の要約」と称する書簡を送付した人物がいること。第二に、同守
護霊との会話内容を要約した書簡の内容が不当であること。第三に、申
立人の理事長及び副理事長の発言について、「設置の可否の判断にあた
って心的圧力をかける意図が」あり、これが、「公正な審査を妨害する
など設置認可制度の根幹を揺るがす恐れのある行為」である。従って、
「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」
(平成15年文部科学省令第45号)2条1号の「不正の行為」に該当
すること。
2 霊言に関する判断の不当性
しかしながら、上記第一の「霊言(霊言集)」に関する判断は、以下のと
おり、明白に憲法に違反する極めて不当なものである。
(1)「学問の自由」の観点
ア 日本国憲法は「学問の自由」(憲法23条)を保障しているところ、
同条の趣旨は、大学等による「学問の自由ないしは学説の内容が、直
接に国家権力に侵害された歴史を踏まえて、特に規定されたものであ」
る(芦部信喜『憲法(第5版)』岩波書店(平成23年)164頁)。
また、同条は、「学問の自由の実質的裏付けとして、教育機関におい
て学問に従事する研究者に職務上の独立を認め、その身分を保障する
ことを意味する。すなわち、教育内容のみならず教育行政もまた政治
的干渉から保護されなくてはならない。」と解釈されている(同166
頁)。
イ そして、日本国憲法がこのように「学問の自由」を保障している以
上、日本国憲法の下にある「学校教育法」及び「大学設置基準」等に
ついても、この憲法23条の趣旨を踏まえて解釈すべきである。
すなわち、大学における設置認可については、その組織の十分性、
収容定員、教育課程の体系性、校地、校舎等の施設及び設備等の客観
的基準によるべきであり、教育行政の政治的干渉に至らないように学
問の当否に対する国家機関による不合理な介入は厳に禁じられるべき
ものである。
ウ しかるに、本件処分の第一の理由は、憲法によって国民に保障され
た「学問の自由」を真っ向から否定し、侵害するものである。
(2)「信教の自由」の観点
ア さらに、「霊言現象」は、宗教的行為として、「信教の自由」(憲法2
0条1項前段)の保障の下にある。
イ そして、日本国憲法は、少数者の信教の自由を保障するための制度
的保障として政教分離(憲法20条3項)を定めており、国家機関が
「その行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、
助長、促進又は圧迫、干渉になるような行為」(最判昭和52年7月1
3日・津地鎮祭事件)を行うことを禁じている。
ウ しかるに、文部科学大臣は、国家機関が慎重な検証過程を経ること
なく宗教的行為の科学的合理性を判定した旨明言した本件答申の内容
をウェブサイト上に公開し、それに基づき処分を下したものである。
この行為は、たとえ本件答申に“学問的見地からのみ判断したもの”
などと付加的に断り書きを付していたとしても、宗教行為を対象とす
る学問該当性の当否の審査にあたって、慎重な検証過程を経ることな
く極めて安易に国家機関としての学問的価値判断を公にしたものであ
り、宗教行為に対する萎縮的効果をもたらし、宗教団体に対する国家
機関による「圧迫、干渉」の効果をもたらしている。
エ したがって、本件処分の第一の理由は、憲法によって国民に保障さ
れた「信教の自由」をも甚だしく侵害するものであるのは明白である。
(3)本件処分等の判断の誤り
ア 上記(Ⅰ)について
大川総裁及びその弟子が行う霊言現象は、既に数百事例、延べ数千
時間に渡ってその映像が記録され、その内容は、映像及び書籍により
一般人が客観的に検証可能である。
したがって、霊言現象について「科学的方法に基づく実証可能性や
反証可能性を有しているか否かという点でも疑義がある」との判断が
誤りであることは明らかである(なお、霊言現象は大川総裁のみが行
えるものではなく、その弟子も一定の条件のもと行うことが可能であ
り、本件処分は、その点についても理由に誤りがある)。
イ 上記(Ⅱ)について
上記(ア)で述べたとおり、「霊言現象」の内容及びその社会的意義
などについて、一般化・普遍化して教育・研究することは可能である。
また、「学問の自由の中心は、真理の発見・探究を目的とする研究の
自由である」(芦部信喜『憲法(第5版)』岩波書店(平成23年)1
64頁)ところ、現に数百事例、延べ数千時間において記録されてい
る霊言現象の内容及び当該現象がもたらす社会的意義などの探究も、
真理の探究の一内容を構成し、学問の対象とされるべきことは明らか
である。
すなわち、霊言現象が現に観察され、映像及び書籍等の大量の記録
が残っているにもかかわらず、何らその現象の全体像を客観的に検証
することなく学問の対象から除外することこそ、学問的態度に反し、
真理の探究という使命を放棄した不合理な判断である。
したがって、「霊言現象」の教育・研究活動が学問の要件を満たさな
いとの理由についても、誤りであることは明らかである。
ウ 上記(Ⅲ)について
実際にも、「上智大学は、キリスト教精神を基底とし、真実と価値を
求めて、人間形成につとめるものの共同社会である。」(上智大学ウェ
ブサイト)、「青山学院の教育は キリスト教信仰にもとづく教育をめ
ざし、神の前に真実に生き 真理を謙虚に追求し 愛と奉仕の精神を
もって すべての人と社会に対する責任を 進んで果たす人間の形成
を目的とする。」(青山学院大学ウェブサイト、青山学院教育方針)な
ど宗教的精神ないし信仰を根底に据えた大学が数多く存在する。
また、例えば、上智大学神学部神学科では、「1~2年次では旧約聖
書、新約聖書を中心にキリスト教の歴史と倫理、哲学との関係につい
て学びます。」(上智大学ウェブサイト)と、カトリック司祭聖職者な
どの養成を念頭に置いて宗教的教義について解説する授業が数多く存
在する。
したがって、宗教的精神が建学の精神の根底にあること及び僧職者
養成課程の存在等は、対象の及び教育課程の体系性を否定する理由と
はまったくならない。
エ 結局、本件処分の判断は、いずれも合理性を有する判断とはいえな
い。
(4)認可申請手続の不当性
ア そのうえ、本件処分にあたって、2度にわたる詳細な審議会による
審査意見が申立人に示されたことがあったが、上記の不認可理由で指
摘された「霊言(霊言集)」に関しては、これまで申立人に対して一切
指摘されたことはなく、申立人には、上記の点について説明・弁明す
るする機会は一切与えられなかった。
イ にもかかわらず、何の慎重な検証過程を経ることなく宗教的行為の
学問的合理性を否定する本件処分を行ったことは、とうてい適切な行
政行為と言うことはできないものである。
(5)小括
したがって、「霊言(霊言集)」が学問の要件を満たさないことなどを
理由とする本件処分は、「学問の自由」(憲法23条)、「信教の自由」(憲
法20条1項前段)を侵害し、また「政教分離」(憲法20条3項)に反
する国家権力による不合理な介入であり違憲無効であるとともに、行政
裁量を逸脱するものである。
3 “不正の行為”に関する判断の不当性
次に、上記第二の“不正の行為”に関する判断も、以下のとおり、明白に
憲法に違反する極めて不当なものである。
(1)「信教の自由」及び「表現の自由」の観点
そもそも、前述のとおり、「霊言現象」は、信教の自由により保障され
る宗教行為であり、それを公表することは「表現の自由」(憲法21条1
項)により保障され、その真実性は社会全体で広く検証されるべきもの
である。
(2)「不正の行為」の不存在
ア 本件処分は、文部科学大臣宛に「『下村博文守護霊の霊言パート2』
の要約」と称する書簡を送付した人物がいること及び同守護霊との会話
内容を要約した書簡の内容、申請者の理事長の発言内容及び申請者の副
理事長の発言について、「設置の可否の判断にあたって心的圧力をかけ
る意図がある」行為があり、これが、「公正な審査を妨害するなど設置
認可制度の根幹を揺るがす恐れのある行為」であるなどとする。
しかしながら、これらの行為により、実際に審議委員が心的圧力を受
けるなどして、設置判断が妨害されたなどの事情は一切認められない。
イ また、本件処分において、文部科学大臣宛に「『下村博文守護霊の霊
言パート2』の要約」と称する書簡を送付した人物は、申立人の役職員
でもなんでもないから、同書簡の送付を、申立人に対する処分の理由と
すべき事情ではないのは明白である。
ウ さらに、申立人の理事長の発言についても、申請者の理事長としての
実体験を率直に述べているに過ぎず、当該発言内容も相手を威迫する効
果をもたらす発言ではない。
エ そのうえ、「霊言現象」に関する書籍の内容は、映像等に残っている
内容から明らかな通り、現実に生じた現象が客観的に記述されたもので
ある。この点、「霊言本」につき相当な根拠を示すことなく「当人の意
思・考えとは全く異な」ると断定する本件処分の理由部分には、“科学
的根拠及び学問的態度”などまったく存在していない。
オ したがって、申立人の所属する幸福の科学グループの宗教法人が憲法
上の「信教の自由」の保障の下にある「霊言現象」を行い、これを憲法
上の「表現の自由」として保障された範囲内で発表すること及び申立人
の総長就任予定者がこのように憲法上正当な行為である「霊言現象」を
記載した書籍の出版の可能性があることを告げるなどした行為は、いず
れも憲法で保障された正当な宗教行為及び表現行為であり、「不正の行
為」に該当するとはとうていいえない。
申立人に存在しない「不正の行為」を前提とする本件処分は前提事実
が誤りであり、行政裁量を逸脱するものであるのは明白である。
4 行政不服審査法における審査可能性
(1)学校教育法139条には、「文部科学大臣がした大学又は高等専門学校
の設置の認可に関する処分については、行政不服審査法(昭和37年法
律第160号)による不服申立てをすることができない。」とされている。
当該法規の立法趣旨は、「審議会…の意見に基づいてした処分」という
「慎重な手続によって行なわれた処分であるので、不服申立を認めても
結局は同じ結果になるものと予想される」ことによるものである(鈴木
勲編著「逐条 学校教育法(第7次改訂版)」[平成21年]学陽書房10
96~1098頁)。
しかしながら、上記のとおり、「霊言現象」を取り扱うことの学問性及
び「霊言現象」を取り扱う教育課程の体系性等については、これまでの
本年5月及び同年8月の2度にわたる審議会の審査意見に一切示されて
いない内容である。
にもかかわらず、この不意打ちというほかない理由を大きな理由の一
つとした本件処分は、審議会による「慎重な手続によって行なわれた」
とは到底言えないものである。
(2)また、本件処分は、憲法上認められた権利である「学問の自由」(憲法
23条)、「信教の自由」(憲法20条1項前段)を侵害し、「政教分離」(憲
法23条)を甚だしく侵害する行為である。
これについて、行政庁への異議申立てを認めないことは、憲法上認め
られた権利に対する不当な制約であるから、学校教育法139条はこれ
に反する限りで違憲無効である。
(3)したがって、本件については、特に行政不服審査法に基づく不服申立
てが認められるべきことが明らかである。
仮に、行政不服審査法に基づく不服申立てが認められないとしても、
本件処分が憲法の「信教の自由」及び「学問の自由」を不当に侵害し、
行政庁の裁量を逸脱するものであることは明らかである。
当該行政庁である文部科学は、自らの裁量的判断により、本件処分を
取り消し、幸福の科学大学の設置を認可するべきである。
5 よって、本件処分を取消し、幸福の科学大学の設置を認可することを求
める次第である。
第5 処分庁の教示の有無及びその内容
特になし。
附 属 書 類
1 委任状 1通
以上
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