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ロシアと近隣諸国の音楽を中心とした芸能情報を紹介するコーナー「ユーラシア音楽芸能情報」を発信中!(^_^)v
大混戦のユーロヴィジョン2014
今年5月にデンマーク・コペンハーゲンで行われた欧州音楽コンテストユーロヴィジョン2014は、欧州のみならず世界中の注目を浴びる、異例の大祭典になった。なぜならばこの祭典は文字通りの音楽コンテストだけでなく、審査や投票時に政治的な要素も絡んでくるからだ。例として、仲がいい国同士ハイスコアをあげる。ロシアとベラルーシ、ベルギーとオーストリアなど。現在、反政府グループの暴動が、ソチ冬季五輪が終わるか終わらないかの時期にウクライナの首都キエフで勃発し、今もなお内戦の様子を呈しているウクライナ。ネオナチ右派セクターの襲撃から守る名目でどさくさまぎれでクリミア半島を奪取し、今もなお親ロ派の背後で糸を引いていると噂されているロシア。欧州視聴者がこれをどう見ているか、全世界の注目が集まった。
実は今年のコンテストではもうひとつ大きな見所があった。自らトランスジェンダーであることを公にしているオーストリア代表のコンチータ・ウルスト(本名トーマス・ニューワース)だ。彼(彼女?)は本来男前な顔立ちをしているが、コンチータとしてステージに上がる時は、女気たっぷりの巻髪ロングヘアに黒々としたヒゲ面で登場する。「黒ヒゲの美人歌手」と日本のメディアが紹介したので、皆さんの記憶に新しいと思うが、遠くから見るとキリストにも見えるのが、また面白い。オーストリア代表として出場することに反対した人3万人が、FACEBOOKで署名活動を起こした。更に宗教上の理由から、ロシア・ウクライナ・ベラルーシの要人たちによる出場取消しの強い要請もあった。それを押し切っての出場とあって、本大会ではもう一つの台風の目となった。
財政難などで多くの国々が出場キャンセルしたが、予戦で残った旧ソ連諸国はロシア、ウクライナ、ベラルーシ、アゼルバイジャン、アルメニアの5カ国が、本戦で競い合った。この5カ国の紹介をしよう。
ロシア代表は、双子のトルマチョヴィ姉妹。子供版ユーロヴィジョンで優勝経験がある実力派。ツキを呼ぶ男である露芸能界の帝王キルコーロフの強力プロデュースの下臨んだ。
ウクライナ代表は、チェルノフツィ出身のマリア・ヤレンチュク。父がウクライナ国民的芸術家ナザリーヤレムチュク。才能を受け継いで、国内のオーディション番組で開花させた。自身の作詞作曲「Tick-Tock」を熱唱。
ベラルーシ代表は、ヒドラ村出身のTEO(本名ユーリー・ヴァシュク)。「Cheesecake」を歌った。現在は本業の歌手の他、作曲編曲に専心している。
アゼルバイジャン代表は、バクー出身のディララ・カズモヴァ。「Start a Fire」を歌った。歌手活動の他に女優活動もしている。
アルメニア代表は、エレヴァン出身のAram MP3(本名アラム・サルキシャン)。地元の国立医科大学卒という異色のキャリアを持つ。始めはコメディアンとして番組に出演していたが、2007年ごろから歌手活動を開始。大会では「Not Alone」を歌った。
結果は、ウクライナ情勢などが大いに反映されたものとなった。好演したロシア代表トルマチョヴィ姉妹が、予戦時そして本戦時に観客から大ブーイングを浴びたのだ。そして各国からの得点発表の際も、ロシアに最高得点を得たときだけ高い歓声と明らかに違う低い声の野次が飛び交ったのだ。彼女達は全く悪くないのに。ウクライナ代表よりも下の7位という結果になった。
その代わり、先のオーストリア代表コンチータ・ウルストが、世相を反映した陰鬱な雰囲気を打破するかのように見事優勝したのだ。2位と52ポイント差という圧勝だった。彼(彼女?)の出で立ちに圧倒され、その歌唱は揺るぎない底力があり、誰よりも上手だった。文句なしということで各国高得点をあげたのだろうか、それともLGBTに抵抗を強めているロシアにNOを叩きつけたのか。いろいろな見方ができ、面白い結果発表だった。
大会後プレスで露大統領へのコメントが求められた時に発言した「もし見ているなら、はっきりさせたい。私たちは止められないのです。」も、とても力強く印象的だ。正教を基盤とする国々では今もなおバッシングが続いている。その彼(彼女?)の次なるターゲットは、ロシアでのコンサートだと言う。人生を賭した大勝負はまだ続く。
ユーロヴィジョン公式HP http://www.eurovision.tv/
コンチータ・ウルスト(オーストリア代表)公式HP http://conchitawurst.com/
トルマチョヴィ姉妹(ロシア代表)公式HP http://sisterstolmachevy.ru/
マリア・ヤレンチュク(ウクライナ代表)公式HP http://mariyayaremchuk.com/ua/
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今年5月にデンマーク・コペンハーゲンで行われた欧州音楽コンテストユーロヴィジョン2014は、欧州のみならず世界中の注目を浴びる、異例の大祭典になった。なぜならばこの祭典は文字通りの音楽コンテストだけでなく、審査や投票時に政治的な要素も絡んでくるからだ。例として、仲がいい国同士ハイスコアをあげる。ロシアとベラルーシ、ベルギーとオーストリアなど。現在、反政府グループの暴動が、ソチ冬季五輪が終わるか終わらないかの時期にウクライナの首都キエフで勃発し、今もなお内戦の様子を呈しているウクライナ。ネオナチ右派セクターの襲撃から守る名目でどさくさまぎれでクリミア半島を奪取し、今もなお親ロ派の背後で糸を引いていると噂されているロシア。欧州視聴者がこれをどう見ているか、全世界の注目が集まった。
実は今年のコンテストではもうひとつ大きな見所があった。自らトランスジェンダーであることを公にしているオーストリア代表のコンチータ・ウルスト(本名トーマス・ニューワース)だ。彼(彼女?)は本来男前な顔立ちをしているが、コンチータとしてステージに上がる時は、女気たっぷりの巻髪ロングヘアに黒々としたヒゲ面で登場する。「黒ヒゲの美人歌手」と日本のメディアが紹介したので、皆さんの記憶に新しいと思うが、遠くから見るとキリストにも見えるのが、また面白い。オーストリア代表として出場することに反対した人3万人が、FACEBOOKで署名活動を起こした。更に宗教上の理由から、ロシア・ウクライナ・ベラルーシの要人たちによる出場取消しの強い要請もあった。それを押し切っての出場とあって、本大会ではもう一つの台風の目となった。
財政難などで多くの国々が出場キャンセルしたが、予戦で残った旧ソ連諸国はロシア、ウクライナ、ベラルーシ、アゼルバイジャン、アルメニアの5カ国が、本戦で競い合った。この5カ国の紹介をしよう。
ロシア代表は、双子のトルマチョヴィ姉妹。子供版ユーロヴィジョンで優勝経験がある実力派。ツキを呼ぶ男である露芸能界の帝王キルコーロフの強力プロデュースの下臨んだ。
ウクライナ代表は、チェルノフツィ出身のマリア・ヤレンチュク。父がウクライナ国民的芸術家ナザリーヤレムチュク。才能を受け継いで、国内のオーディション番組で開花させた。自身の作詞作曲「Tick-Tock」を熱唱。
ベラルーシ代表は、ヒドラ村出身のTEO(本名ユーリー・ヴァシュク)。「Cheesecake」を歌った。現在は本業の歌手の他、作曲編曲に専心している。
アゼルバイジャン代表は、バクー出身のディララ・カズモヴァ。「Start a Fire」を歌った。歌手活動の他に女優活動もしている。
アルメニア代表は、エレヴァン出身のAram MP3(本名アラム・サルキシャン)。地元の国立医科大学卒という異色のキャリアを持つ。始めはコメディアンとして番組に出演していたが、2007年ごろから歌手活動を開始。大会では「Not Alone」を歌った。
結果は、ウクライナ情勢などが大いに反映されたものとなった。好演したロシア代表トルマチョヴィ姉妹が、予戦時そして本戦時に観客から大ブーイングを浴びたのだ。そして各国からの得点発表の際も、ロシアに最高得点を得たときだけ高い歓声と明らかに違う低い声の野次が飛び交ったのだ。彼女達は全く悪くないのに。ウクライナ代表よりも下の7位という結果になった。
その代わり、先のオーストリア代表コンチータ・ウルストが、世相を反映した陰鬱な雰囲気を打破するかのように見事優勝したのだ。2位と52ポイント差という圧勝だった。彼(彼女?)の出で立ちに圧倒され、その歌唱は揺るぎない底力があり、誰よりも上手だった。文句なしということで各国高得点をあげたのだろうか、それともLGBTに抵抗を強めているロシアにNOを叩きつけたのか。いろいろな見方ができ、面白い結果発表だった。
大会後プレスで露大統領へのコメントが求められた時に発言した「もし見ているなら、はっきりさせたい。私たちは止められないのです。」も、とても力強く印象的だ。正教を基盤とする国々では今もなおバッシングが続いている。その彼(彼女?)の次なるターゲットは、ロシアでのコンサートだと言う。人生を賭した大勝負はまだ続く。
ユーロヴィジョン公式HP http://www.eurovision.tv/
コンチータ・ウルスト(オーストリア代表)公式HP http://conchitawurst.com/
トルマチョヴィ姉妹(ロシア代表)公式HP http://sisterstolmachevy.ru/
マリア・ヤレンチュク(ウクライナ代表)公式HP http://mariyayaremchuk.com/ua/