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自身が行った調査の知見を織り交ぜながら、実に説得力ゆたかに少子化の原因を探り当てている。
女性の多数が、「(好きな)仕事を続けたいのに出産・育児との両立が難しいから子どもをもつことを断念している」のではなく、「ほんとうは仕事を辞めて子どもをもちたいのに(相手の)男性の賃金だけでは食べていけないからしかたなく子どもをあきらめて仕事を継続している」というのはたしかに真実なんだろう。仕事と子育ての両立を支援するにしても、前者と後者とではずいぶんとそのなかみが変わってしまうわけで、前者を前提にした子育て支援策が失敗したのもむべなるかなである。
社会的事実に即した、データの的確な取捨選択がひかる一冊だ。
目次
序章 少子社会日本の幕開け
第1章 日本の少子化は、いま
第2章 家族の理想と現実
第3章 少子化の原因を探るにあたって
第4章 生活期待と収入の見通し
第5章 少子化はなぜ始まったのか―一九七五~九五年
第6章 少子化はなぜ深刻化したのか―一九九五年~
第7章 恋愛結婚の消長
第8章 少子化対策は可能か
少子化のスピードが加速している。この三〇年で出生数は半減、未婚率は急上昇し、日本は人口減少時代に突入した。なぜここまで深刻化したのか。その決定的な理由を探るために、若者の不安定な職業状況、様々な格差の拡大、パラサイト・シングル現象の進行、恋愛・結婚観の変容などを分析。とるべき少子化対策は何かを考える。
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