「プロレタリア文学」を代表する傑作小説。
筆者自身の争議体験にもとづいており、小気味よい「講談調語り」は、主たる読者を自らと同じ「労働者階級」に据えんガゆえである。
米騒動、関東大震災と伊藤野枝、大杉栄の虐殺、治安維持法、これらと、満州事変、五・一五事件、二・二六事件、日中戦争のはざまにあって、労働運動が弾圧されていくなかに、国家総動員体制のもと戦争に突入していく狂気がその醜悪な正体を曝け出す。
労働者への同志愛か、哀惜か、郷愁か、行間から迸るのは、これを書かずにおられようかという筆者の情念である。
ここは東京随一の貧民窟。印刷工場の労働者がひしめき暮らす。ある日工場が行った首切りは大争議に発展。「太陽のない街」の住民たちも苛烈な闘いの渦に巻き込まれていく。実際の争議の中心にいた作者(1899‐1958)が、労働者の言葉をもって読ませることを第一条件として描く、プロレタリア文学の代表的作品。
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