五所純子,2021,薬を食う女たち,河出書房新社.(2.20.24)
本作は、「ドラッグ・フェミニズム」の傑作小説だ。
小説、といっても、五所さんは、アルコール、ニコチン、覚醒剤、マリファナ、コカイン、大麻、LSD、エクスタシ-、マイクロドット、ハルシオン、セニラン、デプロメール、ロヒプノール、デパス等々の薬物に溺れ、墜ちていった、「酔い、醒め、病み、癒え、痺れ、薬を食う女たち」(p.235.)をきちんと取材し、この作品を書いている。
だから、ブレイディみかこさんの『ザ・シット・ジョブ』同様、ノンフィクションに近いフィクションとして読むべきだろう。
それにしても、不快になる、エグい小説だ。
このわたしが、エグいと言うのだから、そうとうなものだと思っていい。
かといって、個々の言葉がエグいというわけではない。言葉は、むしろ、美しい。もっともエグいのは、薬物に溺れる少女たちを性搾取する男たち、そのありようである。
向精神薬が欠かせない18歳の女の子を、グルーミングした挙げ句、月20万円で愛人となるよう唆し(のちに月30万円)、薬物漬けにして、化粧品や服を買い与え、チャットの返信に数分かかっただけで激怒し、女の子の首を絞めながらセックスする精神科医の男、、、男が腰を振るところが目に浮かび、、、吐きそうになった、、、マジ勘弁してくれよ、、、
(前略)<三万どうですか><八万円応相談><五万でハメ撮りさせて><十万円でいかがですか>・・・競売、最高入札者こそが紳士・・・サラリーマンってなに食べてる人・・・グレンチェックの襟、苔の匂い、四十年分の昼が溜まった・・・やさしいホテルのベッドのうえで・・・現金・・・お金を見ると撫でてしまう、つめたいやさしい・・・やさしくなるわたし・・・泣く、吸う、掻く、縋る、漏らす、とかの可能性については、断念連続・・・退行の、夢の、見てるの、ロマンスの・・・(中略)でもだって、そんなことよりわたしはやさしいホテルへの直行直帰でなく、やさしい公園の、やさしい喫茶店の、やさしい映画館の、やさしい美術館の、やさしい本屋の・・・ロマンスのほうへ行きたかった・・・
(pp.181-182.)
「三十年ほど前、時代感覚で援助交際する女子高生たちが流行ったでしょう。流行らせたのはわたしどもですがね。彼女たちは高度資本主義社会のただなかで経済主体としてめざめた戦士であり、売春という自傷行為によって承認欲求を確かめようとした患者であり、ようするに誇り高き自己喪失者だったんですよ」と社会評論家が言う。「女子どもを担いで築きあげたポジションはどうだ。見晴らしいいか。ところであんた、わたしを買った人ですよね」と元高校生が言う。
(p.199.)
、、、揶揄されてるのは宮台かな、、、愛着弱者の女の子のまんこを食って、、、食った後は冷淡にあしらって自殺にまで追い込み、、、あるいは鬼畜系AVに売り飛ばしたりした挙げ句、、、東大教授の娘と結婚し三児のパパかよ、、、おめでてーな、、、おまえ人のことクズと呼ぶのが好きだけど、、、おまえが一番のクズだよ、、、
覚醒剤や大麻、睡眠薬……女性ドラッグ中毒者たちを取材。トラウマと逸脱、カネとセックス、生きざまと死生観。ルポ文学の金字塔!
覚醒剤や大麻、睡眠薬…そして現代を生きる女性たちの身に起こるさまざまな事柄、葛藤し抵抗する姿を丹念に描き、新たな表現へと昇華る、“ルポ+文学”の新たな金字塔、ここに誕生。
目次
インタビュー
産毛
三つの神様
勝ち逃げ
矛盾脱衣
少女AAA
キウイパパイアマンゴー
Hey Little Rich Girl
住めば都
蟻
こつこつ
美と美