カステルといえば、その博識を大部の著作にまとめあげるタイプの社会学者だが、本書に限っていえば、問題意識が希薄で、正直、なにを言いたいのか、あまりよくわからなかった。キャス・サンスティーンやデヴィッド ハーヴェイの著作と比べると、物足りないことこのうえない。いくらマルクス主義から距離をおくようになったとはいえ、ニューエコノミーやグローバリゼーションへの批判的視点があまりに希薄であり、現状を追認するだけであれば、こんな本を書くまでもないだろう。耄碌したのか。
目次
ネットワークはメッセージである
インターネットの歴史から見えること
インターネットの文化
eビジネスとニューエコノミー
バーチャル・コミュニティとネットワーク社会
インターネットと政治1―コンピューター・ネットワーク、市民社会、国家
インターネットの政治2―サイバースペースにおけるプライバシーと自由
マルチメディアとインターネット―収斂の先にあるハイパーテキストとは
インターネットの地理―ネットワークされる場所
グローバルなデジタル・デバイド
結論 ネットワーク社会の挑戦
インターネットは、まさにグーテンベルクに始まる印刷術の普及に匹敵する、人類史上における「もう一つの銀河系」に成長しつつある。我々はその優れた柔軟性と適応力を生かし、個人と外部世界との新たな結合を発展させつつ、情報の氾濫と悪用がもたらす乱気流への失墜を避けることができるか。「技術は社会的実践によって変化する」との確信の下、その草創、現在、将来にわたり、独自の視力でITの全域を俯瞰した名著、待望の翻訳。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事