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本と音楽とねこと

カウンター・デモクラシー

ピエール・ロザンヴァロン(嶋崎正樹訳),2017,カウンター・デモクラシー──不信の時代の政治,岩波書店.(11.28.2020)

 専門的な内容の政治史の書物であるが、「民主主義とは常にみずからを問い直すことでしか確立しえない体制」(p.158.)なのだから、選挙による「信任」には「不信」の制度化が付随してきたのは、なるほど当然だ。
 デモ、集会、リコール、メディアでの異議申し立て等、不信が表明される機会は多々あれど、それらがじゅうぶんに活かされているとはいえないというのは、フランス、イギリス、アメリカ合衆国だけでなく、日本にもみられる問題である。
 「記者クラブ」制度による政治家とメディアとの癒着や、統治行為論による最高裁の違憲立法審査権の放棄は、あってはならないことであるし、まして、内閣による検察庁人事への介入など、とうてい許されることではない。

なぜ政治は信用されないのか?いま多くの人々は、自分の言葉が政治に届いていないと感じている。階層や社会集団が崩れた現在、政党が社会を代表することはますます難しくなっているからだ。民主主義を担保するのは、選挙によって代表を送り込む「信任」と政治への監視・否定・審判という「不信」の二元性である。デモや集会、SNS、そしてメディアの機能など、代表制を補完し、支える「松葉杖」としての対抗民主主義を歴史的に論じた画期的著作。

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