沖縄の公認会計士佐藤晃史のブログ

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アパート建設による消費税の還付についての誤解

2012-11-06 15:03:12 | 消費税
平成22年の消費税改正により、いわゆる「自動販売機スキーム」を活用した、アパート建築費に係る消費税の還付は受けられなくなったと言われています。

この「自動販売機スキーム」というのは、アパート事業を新規に始めようとする場合に、まず、建設現場に「飲料の自動販売機」を設置して、課税売上の実績を上げた上で、「消費税課税事業者選択届」を提出します。そして、建物の完成を年末に完成させて、入居を年始にすることで、アパート建築に係る消費税全額の還付を狙うわけです。
ただし、当該アパートは調整対象固定資産に該当し、このままでは、3年後に還付額を払い戻すことになるため、建物が完成した翌年に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することで、還付の返還を免れるようにしていたわけです。(課税売上が1,000万円超ある場合は「消費税簡易課税選択届出書」を提出することで同様の効果あった)

ところが、平成22年度の消費税の改正により、免税事業者が「消費税課税事業者選択届」を提出した場合は、その後3年間は免税事業者にもどること及び簡易課税を選択することが禁止されました。これにより、アパートは調整対象固定資産に該当し、初年度に還付を受けた消費税は3年後に返還を求められることになりました。

ここで、注意が必要なのは、免税事業者が「消費税課税事業者選択届」を提出した場合という文言です。つまり、もともと課税売上高が1,000万円超5,000万円以下で、非課税売上がない事業者の場合は、事業年度末にアパートが完成するようにすれば、アパートの建築費にかかる消費税の全額還付を受けることができます。そして、アパート取得年度末までに簡易課税の選択届出を提出し、簡易課税に移行します。

簡易課税適用の場合は、調整対象固定資産制度の適用はありませんので、還付金の3年後返還の必要もありません。

以上からわかるように、アパート建築に係る消費税の還付は受けられなくなったのは、限定的なケースであり、原則的には還付可能なのです。


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