同族会社の同族個人株主から、関係法人へ株式を譲渡する場合及び逆に関係法人から同族個人へ譲渡する場合における注意点は以下の通りです。
1.個人から法人へ譲渡する場合
(1)高額譲渡
時価100、原価50、譲渡価額200の場合は以下のようになります。
A.個人(役員の場合)
譲渡所得の計算は譲渡価額と原価の差ではなく、時価100と原価50の差額50となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は給与所得となり、所得税等が課税されます。
B.法人
取得価額は譲受価額の200ではなく、時価の100となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は役員給与になります。この役員給与は全額損金不算入となりますので法人税等が課税されます。
(2)低額譲渡
時価150、原価50、譲渡価額70の場合は以下のようになります。
A.個人(役員の場合)
譲渡所得の計算は譲渡価額と原価の差ではなく、時価150が譲渡価額とみなされて、時価150と原価50の差額100となります。
なお、譲渡価額が時価の1/2以上であれば、みなし譲渡の適用はなく、通常通り、譲渡価額-原価が譲渡所得になります。
B.法人
取得価額は譲受価額の70ではなく、時価の150となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額80(150‐70)は受贈益となり、法人税等が課税されます。
2.法人から個人へ譲渡する場合
(1)高額譲渡
時価100、原価50、譲渡価額200の場合は以下のようになります。
A.個人(役員の場合)
所得価額は譲受価額の200ではなく、時価の100となります。
B.法人
株式譲渡益は譲渡価額と原価の差額ではなく、時価100と原価50の差額である50となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は受贈益となり、法人税等が課税されます。
(2)低額譲渡
時価150、原価50、譲渡価額70の場合は以下のようになります。
A.個人(役員の場合)
譲渡価額と時価の差額80(150‐70)が給与所得となり、所得税等が課税されます。
B.法人
株式譲渡益は譲渡価額と原価の差額ではなく、時価150と原価50の差額である100となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額180(150‐70)は役員給与となります。この役員給与は全額損金不算入となりますので法人税等が課税されます。
以上の通り、同族会社における法人・個人間の株式譲渡の税務は難しいため、譲渡を検討されている場合は、事前に顧問税理士にご相談されることをお勧めします。
1.個人から法人へ譲渡する場合
(1)高額譲渡
時価100、原価50、譲渡価額200の場合は以下のようになります。
A.個人(役員の場合)
譲渡所得の計算は譲渡価額と原価の差ではなく、時価100と原価50の差額50となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は給与所得となり、所得税等が課税されます。
B.法人
取得価額は譲受価額の200ではなく、時価の100となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は役員給与になります。この役員給与は全額損金不算入となりますので法人税等が課税されます。
(2)低額譲渡
時価150、原価50、譲渡価額70の場合は以下のようになります。
A.個人(役員の場合)
譲渡所得の計算は譲渡価額と原価の差ではなく、時価150が譲渡価額とみなされて、時価150と原価50の差額100となります。
なお、譲渡価額が時価の1/2以上であれば、みなし譲渡の適用はなく、通常通り、譲渡価額-原価が譲渡所得になります。
B.法人
取得価額は譲受価額の70ではなく、時価の150となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額80(150‐70)は受贈益となり、法人税等が課税されます。
2.法人から個人へ譲渡する場合
(1)高額譲渡
時価100、原価50、譲渡価額200の場合は以下のようになります。
A.個人(役員の場合)
所得価額は譲受価額の200ではなく、時価の100となります。
B.法人
株式譲渡益は譲渡価額と原価の差額ではなく、時価100と原価50の差額である50となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額100(200‐100)は受贈益となり、法人税等が課税されます。
(2)低額譲渡
時価150、原価50、譲渡価額70の場合は以下のようになります。
A.個人(役員の場合)
譲渡価額と時価の差額80(150‐70)が給与所得となり、所得税等が課税されます。
B.法人
株式譲渡益は譲渡価額と原価の差額ではなく、時価150と原価50の差額である100となります。
加えて、譲渡価額と時価の差額180(150‐70)は役員給与となります。この役員給与は全額損金不算入となりますので法人税等が課税されます。
以上の通り、同族会社における法人・個人間の株式譲渡の税務は難しいため、譲渡を検討されている場合は、事前に顧問税理士にご相談されることをお勧めします。