素人、考古学・古生物学を学ぶ

人類の起源・進化・移動や太古の昔、日本に棲んでいたゾウ類にも関心があり、素人の目線で考えてみます。

絶滅した日本列島のゾウのはなし(1)中本博皓

2020年11月03日 08時35分46秒 | 絶滅した日本列島のゾウたち
      絶滅した日本列島のゾウのはなし(1)中本博皓  

  「絶滅した日本列島のゾウのはなし」の前に、少しばかり現生のゾウ事情をわたしの個人的な視点から「最近のゾウの情報から」と題して何回か、《はしがき》と言いますか《プロローグ》のような意味で述べておきます。

 1.最近のゾウの情報から(その1)
 南アフリカの野生ゾウの生息地ボツワナからの悲しい情報です。アフリカ南部に位置するボツワナ共和国政府が報じたニュース(2020年9月21日)によりますと、今年の5月から6月にかけて、ゾウの大量死が発生したということです。

 ボツワナ政府の原因調査結果の報告によりますと、ゾウが相次いで死亡したのは、「密猟などの人為的な行為が原因ではなく自然現象によるものだった」、ということです。しかし、いろいろ疑問がないわけではないようです。ボツワナ政府の報じているところでは、「分かっているだけでも合計356頭の象が死んだ」、ということです。そしてそのほとんど、「約70%が水飲み場付近で発見されている」、ということなのです。

 大変関心のあることなので情報を収集してみますと、いろいろな見方があることも分ってきました。その一つ、ボツワナ野生動物・国立公園局のシリル・タオロ副局長は、2020年9月21日の政府見解として、会見の中で次のように述べています。
 「象の死骸には銃創や牙を切除して持ち去った形跡が見られなかった」と指摘し、今回の356頭の大量死が密猟で死んだという一部の疑問を否定しております。今回の大量死が人間によるものではないとの考えを示しました。

 また、先の9月21日の政府の公式発表に同席していたボツワナ野生動物・国立公園局のムマディ・ルーベン主任獣医師は、ゾウの遺骸の血液から神経毒が検出されたこと、また水辺が乾燥する時期である6月下旬頃からは「象の不審死が発生しなくなった」ことなども指摘し、「象の死因は水辺で繁殖したシアノバクテリアの一種による水質汚染である」、との見解を報告しています。ルーベン主任獣医師の指摘した「シアノバクテリア」とは、「海や陸上の淡水などに広く分布し、光合成を行う単細胞生物」だということです。

 世界の専門家らの中には、「自然界に当たり前のように存在している微生物が、巨大な象を大量死させるほどの毒素を生み出したのは、気候変動が引き金になっている」のではないか、と指摘する者もおります。気候変動に関する政府間パネル(専門家会議)の調査では、とくに、「南アフリカの気温は世界平均の2倍のペースで上昇している」、ことも明らかにしています。

 次回に続く。


  
 
 

                  


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