二俣川散歩

生まれたのは横浜の根岸湾に近い堀割川沿いだが、小学校の二年生になった春、二俣川に引っ越した。そしてサラリーマン生活が板に付き、一人住まいをしたくなるまでの二十数年間をこの地で過ごした。その後も頻繁に訪れてはいたが、一人住まいだった母が亡くなると、いつか疎遠となっていた。



運転試験場周辺も子供の頃の遊びエリアだ。国際免許の申請は短時間で済んだので、久しぶりに昔住んでいた辺りまで歩いてみた。空き地や雑木林はほとんど無くなり、ビルや住宅、知らない道がずいぶんと増えている。しかし子供の頃に使った、子供しか使えない抜け道の痕跡は、いくつか残っていた。



昔懐かしい名前の表札を眺めながら歩いていると、まるでタイムスリップしたように、薄暗い神社にたどり着いた。僕の住んでいた家からは、子供が走って３分ほどの遊び場、日吉神社だ。大人になってから来たのは、今日が初めてだろうか。子供の頃の記憶だけが一気によみがえった。



祭りの賑わいとテキ屋の屋台。夏休みのラジオ体操。そして神楽舞台の軒下のアリジゴク。よくアリを落として遊んだっけ。居場所は分かっているぞ。そう思ってのぞき込むと、あった！あ、あそこにも！