アンデルセンが愛用したスーツケース ・・
生涯に幾度となく旅に出て、
自分探しを続けたと思われるアンデルセン ・・
その旅の中には、彼の人柄を偲ばせる逸話が残っています。
Charles Dickens
チャールズ・ディケンズ (1812年ー1870年)
産業革命による経済の発展がめざましい
ヴィクトリア期のイギリスを代表する小説家です。
1847年、作家としての地位を築いたアンデルセンは、
初めてのイギリスへの旅行中、
あるパーティでディケンズと出会います。
その時の様子を、アンデルセンは日記にこう記しています。
『私とディケンズはベランダで談笑した。
私はとても幸せだった。
私が最も敬愛する作家と出会えたのだから ・・』
それから10年後、アンデルセンは再びディケンズを訪ねます。
アンデルセンは、ディケンズの家に数週間滞在しますが、
この滞在は、ふたりの友情を育むものではなかったようです。
むしろ、アンデルセンは、
ディケンズから疎まれる存在になったと後年伝えられています。
William Somerset Maugham
ウィリアム・サマセット・モーム (1874年ー1965年)
『月と六ペンス』 で知られる作家 = サマセット・モームが、
世界の10大小説のひとつにあげるディケンズの作品
『David Copperfield デイヴィッド・コパフィールド』 ・・
アンデルセンの滞在後ディケンズが書き上げた
この作品の中に登場する、いつも人にへつらっている
『Uriah Heep ユーライア・ヒープ』 という人物は、
アンデルセンがモデルになっているといわれています。
人付き合いが苦手な、内気で自分をうまく表現できない
アンデルセンのキャラクターが想像できます。
また、経済的に絶頂のイギリスと、
歴史はあるが北欧の小国デンマークとの
国民感情がそこには潜んでいるような気がします。
アンデルセンはまた、70歳での死の直前に、
こんな話をしていたという逸話があります。
『自分の葬式には多くの子供たちがやってくるだろう。
だから、葬送の音楽は、子供たちの小さな歩調に合わせて
つくって欲しい ・・ 』
アンデルセンの優しい人柄が偲ばれます。
『人生は一番美しい童話である』
アンデルセンが残した言葉です。
jfk-world