
ベネチアのゴンドラには、
1000年近い歴史があるといわれています。

「Gondoliere ゴンドリエーレ 」 と呼ばれるゴンドラの漕ぎ手は、
私たち日本人にはちょっと想像の出来ない特別な職業のようです。

実に長きにわたり、
ゴンドリエーレになるには世襲しか方法がありませんでした。

さすがに現在は世襲制度はなくなり、
替わって厳しい資格試験が実施されるようになりました。
試験の内容は、ゴンドラの操作はもとより、
ベネチアの地理、歴史、(外国 ) 語学、一般教養など
多岐にわたるそうです。
また、イタリア人であることが条件です。
(実際にはベネチア生まれであることが不文律のようである )

およそ1000年にわたり男性の職業だったゴンドリエーレに、
2009年、史上初めて
女性の漕ぎ手 (ゴンドリエーラ )が誕生しました。
(彼女の父はゴンドリエーレ )
それだけでも大変なニュースですが、
さらに、国籍差別を訴え裁判で勝訴し、
漕ぎ手となったドイツ人女性もいるという話を聞きました。
(現在はふたりの女性漕ぎ手がいることになる )

未来の火星の観光都市 『ネオ ベネチア 』 で、
ゴンドラの漕ぎ手を目指して頑張る少女を描いた
日本の漫画 『ARIA 』 の影響でしょうか ・・

私は、個人的に、イタリア人女性の漕ぎ手には賛成ですが、
ドイツ人 (イタリア人以外 ) の漕ぎ手については、
男女を問わず異を唱えたく思います。
何故なら、ゴンドリエーレが話すイタリア語は、
まるで音楽を聴いているようで、実に心地よいからです。

多分、他愛のない世間話をしているのでしょうが、
他のゴンドラとすれ違う時に交わされる彼らの会話は、
美しいメロディのように耳に響きます。
ゴンドリエーレがしゃべる
ベネチア訛りのイタリア語に耳を傾けることも
ゴンドラの楽しみ方のひとつです。

ゴンドラが狭い水路を 2台 3台と連なって進む時などは、
長い時間彼らが交わす会話を
BGMのように楽しむことが出来ます。
まわりの美しい風景とあいまって、
それは、旅情をかきたてられるひと時となります。
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